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日の丸ディスプレー仙台(前編) 企画から製造まで まちのサインを一貫生産

例えば仙台駅を出て目に飛び込んでくる光景を思い浮かべてほしい。ビルが立ち並び、企業や施設、商品の名称やロゴが掲げられた巨大な看板や屋外広告物、いわゆるサインが連なる。それら一つ一つにクリエーターが関わっていることは想像しやすいが、実際に形にしている人たちがいることに思いをはせたことはあるだろうか。金属加工やアクリル加工を中心に企画から製造まであらゆるサインを一貫生産する日の丸ディスプレー仙台を訪ねた。

企画から製造まで まちのサインを一貫生産

―御社の業務内容について教えてください。

遠藤弘(以下、遠藤) 日の丸ディスプレー仙台は宮城県利府町に約3000坪の工場を持っていまして、そこでサインを一貫生産しています。製作工場ですので名前が表に出ることはありませんが、仙台駅をはじめとする駅前にある屋外広告物や商業施設のサインや看板、仙台市の地下鉄や誘導サインなど、まちなかで皆さんが目に付く主だったものは、うちで作ったものが多いと思います。

日の丸ディスプレー企画営業部取締役部長の遠藤弘さん。日本サインデザイン協会会員

工場の設備は、大型の鉄板を切るシャーリングという機械、ベンダーという曲げる機械、レーザー加工機、焼き付け窯などがあります。サインを一貫生産する工場は少なく、焼き付け窯まで持っているところはほとんどありません。溶接をするための定盤という台もあります。これは溶接によるゆがみを抑えるために、水平が取れた厚い鉄の台に対象を固定するものです。

材料はラックに収めてあり、自動で出すことができるので、昔のように並べておくことはなくなりました。そのほか、仕上げ工事のためのアクリル加工をしたり、出力したシートを貼ったり、塗装したりする作業場があります。

金属を加工する大型の機械や溶接用の定盤、材料を収めるラックが並ぶ第1工場

―本社は東京・練馬にありますが、仙台に工場ができた経緯は。

遠藤 日の丸ディスプレーは1963(昭和38)年創業と業界では老舗で、東京を拠点に長く屋外広告物を製作していました。やがてサインが大型化したり多種多様化したりしてきましたので、サインの「理想的な工場」を国内のどこかに作りたいと、先代の社長(現会長)の思いがあって、縁があって利府のこの場所を見つけ、拠点を作ることになりました。

「理想的な工場」ということで機材も最先端のものを導入しました。当時の最先端ですので、いまでは足りない設備もあるかもしれませんが、材料から形になるまで一貫でできる工場を作りたいという理想があって、それに合った設備でスタートしました。

それまでは都内で手分けして作っていたんですが、大きな場所ができたことで一貫して作るだけでなく、まとめて出荷できるようになりました。工場ができた当時はショッピングモールが花盛りの時代で、サインアイテム一式全てを受けて、作って、ここからトラックで運んでいきました。先見の明があったのか分かりませんが、工場を作った後に利府しらかし台ICもできて、すぐ高速に乗れるので便利になりました。

利府工業団地にある日の丸ディスプレー仙台の社屋と工場

―一貫生産によるメリットにはどんなことがありますか。

遠藤 私たちのお客さんの先のクライアントさんからすると、取り付ける前に完成品を見たいというニーズがありますよね。小さいものでしたらどこでも見せられるんですが、やはりお金のかかる大きなものの方がニーズは高くなり、それを完成品で見せるとなると、それなりの敷地や重機が必要になります。

それがこの工場ですと、例えば10メートルの看板を立ち上げて見せることもできますし、暗くなってから明かりを付けて、暗いときの見え方を再現することもできます。それでちょっと光漏れしているから何とかしてほしいなど、そういう部分もチェックしていただけます。現地に運んでしまった後ではもう何もできないですからね。

道路標識などの場合は市内に何台も取り付けるものですが、多くの工場では検査する方に1台ずつしか見てもらえません。うちでは30台なら30台全部並べて見せることができ、検査する方も一度に見られるのでやりやすいと言って、喜んでもらえますね。

巨大なサインがいくつかのパーツに分かれて置かれ、配送を待つ第2工場

―ほかにも一貫生産ならではのことはありますか。

遠藤 この頃、こういうものはできますかとか、こういうものを作りたいんだけど知恵を貸してくれませんか、といったご相談を受けることも増えました。仕事につながるかどうかはまた別にして、お客さんとのつながりを持つ意味でも、計画をお聞きしてどう作ったらいいかを検討します。コストの面で困っているお客さんには、例えば大きさを少し変えれば材料のサイズを下げられるので安くなりますよ、といったことを提案できるのも一貫生産ならではですね。

そういった部分はデザインする方にしてみると分からないことなので、時々、東京の得意先でデザイナーさんを対象に講義をさせていただくことがあって、なぜコストが上がるのかとか、材料の素材やサイズの話や、作業の流れなどを説明しています。

2018年からは工場見学会も始められていますね。

遠藤 作業工程を説明して写真で見せることはできるんですが、やっぱり製作現場で実物を見て体験しないと分かりにくいですよね。ほとんどの方が、一枚の板から立体のサインとして完成する工程を見たことがないと思いますので、じゃあ見ていただこうということで始めました。

日本サインデザイン協会を通じて案内したところ、多くの反応がありました。それだけサインに特化して一貫でものを作る工場は少ないんだなと、あらためて感じます。

取材・構成:菊地 正宏
撮影:松橋 隆樹

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株式会社日の丸ディスプレー仙台

〒981-0134 宮城県宮城郡利府町しらかし台6-7-1
TEL:022-356-6789 FAX:022-356-6780
URL : https://www.display.co.jp/

企画デザインから製造まで、サインのことなら何でも自社一貫生産ができる体制を誇りにしています。金属加工、アクリル加工の技術はもちろんのこと、サイン業界では東日本一の機械設備を持つ仙台工場をはじめ、設備の充実も怠らず発展させてまいりました。仕事はきれいに、素早く、責任を持って。商業ユース中心のサイン業界で培ったこの「常識のレベル」を、より広範囲に皆さまにご利用いただけるよう、開発を続けてまいります。

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