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日の丸ディスプレー仙台(後編) 変化する業界の中で変わらない、ものづくりの誇り

単なる看板からコミュニケーションの媒介へとサインの概念が広がるとともに業界の垣根が取り除かれ、仕事の流れも双方向になり柔軟な協力体制が生まれた。若い世代や女性の担い手も増え、現場の様子にも変化がある。その一方で変わらず受け継がれているのが、ものづくりへの思い。自分が手掛けたサインがまちの景観の一部となる——その喜びをやりがいに、社員らが汗水たらして形にしたものが仙台、宮城、そして全国へと運ばれていく。

変化する業界の中で変わらない、ものづくりの誇り

―サイン業界で時代とともに変化したことはありますか。

遠藤 私が入った40年前はサイン業者イコール看板屋さんという世界でした。映画の看板を描いている方やホテルの「何々様御一行」と筆で書いている方がまだいらっしゃった時代なんです。その後、私たちが入ってから変わってきたのは、看板とサインのくくりがなくなってきたこと。印刷したものがまちにあふれて、印刷業界とサイン業界の垣根もなくなってきました。

当時はまだ印刷だけする人とベースを作る人に分かれていたんですが、いまは一括でやることが多くなってきていますし、印刷は印刷でやったとしても本体とセットで現場に持っていくとなると、うちのような会社が必要になります。

仕事の流れも一方向ではなくなりました。私たちが印刷をお願いしている印刷屋さんが営業活動でクライアントさんのところを回っていると、その印刷物を貼るベースとなるものが欲しいという話があって、私たちに一緒にやってくれないかと相談してくる場合もあります。昔のように、仕入れ先イコール下請けなんていう考え方はもう古くて、いまはパートナーという考え方じゃないと、いいお付き合いができないですね。取引先だ、なんていばっているような時代ではありません。

―それによって相乗効果も生まれそうですね。

遠藤 そういう協力体制ができればお互い余分な営業をしなくても済みますし、うちに出入りしているので当然うちのこともよく知っていて、そうした方を通じて紹介を受けることも増えました。逆に、うちが頼まれている仕事で、うちはいっぱいなのでいいところを紹介してほしいとお願いする場合もあります。

板金をしている人たちは鉄鋼メーカーさんの方がよく知っていますから、いいところを紹介してもらってそこに頼んだり、レーザー抜きを何十枚もするとなると型で抜いた方が安いので、それができるところにお願いしたりします。同業者間でも、お互い得意不得意があるので協力してやりましょうという時代ですね。

大型のレーザー加工機も有するが、量によっては型抜きを外部に依頼する

―入社してくる人たちに変化はありますか。

遠藤 最初は経験のある人を中途採用していましたが、ここ数年は新卒を採って、技術の伝承というんでしょうか、下の者に伝えていこうとやっています。

女性も多くなりました。昔と違って、男性だから女性だからという分け方はしなくてもよくなってきたみたいですね。機械化しているので重たいものもつり上げられますし、汚れる仕事はやりたがらないんじゃないかという先入観が私たちの方にあったんですが、みんな積極的に楽しんでやっているみたいですし、昔とは違うんだなと感じます。現場で一緒にやっている左官屋さんや壁紙屋さん、ペンキ屋さんも、このところ女性が増えています。

名前が日の丸ディスプレーなので、ウインドーディスプレーを作るようなおしゃれな仕事だと思って来る方も最初の頃は多かったですが、そういうこともなくなりましたね(笑)

工場の至る所で女性社員が作業に当たる様子が見られた

―会社としては時代の変化に対応して順調に成長を遂げてこられたんでしょうか。

遠藤 そうですね。ただ、やっぱり震災でいったん落ちました。サイン工事はそう長いスパンではなく、1カ月後のオープンに向けて行うような間隔でして、2カ月ほど動けない時期があると、そのブランクは大きいですよね。東京にも拠点があったので生き残れましたが、そうでなければさらに大変だったと思います。

―震災後の再建に伴って仕事が急増するようなことはなかったんでしょうか。

遠藤 私たちも震災復興関連で忙しくなるかなと思っていたんですが、見ているとなかなか進まないようですね。海沿いなどは規制があって、昔あった商業施設が流されても、そのまま再建を見送る場合も多いようです。いまは公園関係のためのサインをまとまって受注しているので、それはそれでありがたいんですが、本来うちが得意としている商業施設、公共施設などの箱物があるとうれしいんですけどね。

―自分たちが作ったサインがまちの景観の一部となっているというのは、社員の方もやりがいを感じるのはないでしょうか。

遠藤 中で働いていると作るので精いっぱいだと思いますから、社員にはなるべく完成して設置されたものを知らせて、見に行くように言っています。工場内ではばらばらのパーツごとに作っていて、完成するとすぐに出ていってしまうため、作った社員も完成品を見ていないことが多いんです。見たとしても、どういうシチュエーションで取り付けられているのか、どういう貢献をしているのかは、現地で見ないと分かりません。公に出すことはできないですが、家族には「あれはお父さんが作ったんだよ」と言っていいんだよと話しています。

巨大なサインの部材を溶接。工場内では出来上がらない完成品を見ることを楽しみに

―子どもに誇れる仕事ですね。

遠藤 私もよく子どもたちを連れて行きました。東京にいた頃、営業で入っているので自分が作ったわけではないんですが、これは父さんがやったんだと自慢して。そのうち子どもたちも飽きてきて、「またお父さんが作ったって言うんでしょ」なんて言われて、ついてこなくなりましたけど(笑) 特に私の時代は、あっちこっちで大規模開発があり大型商業施設がどんどん建っていきましたからね。

―達成感を味わうのはどんなときですか。

遠藤 引き渡しの立ち会いで、私たちはお客さんの後ろに立って見ているんですね。お客さんのクライアントさんとのやり取りの中で話を振られて説明をするんですが、そのクライアントさんたちから直接「いいものを作っていただきましたね」と声を掛けていただけると、喜んでもらえたんだなと実感します。それを聞いたお客さんも「よかったですね」と喜んでくれる。私たちのしていることはものづくりですので、作ったものを喜んでもらえることが一番です。

40年以上にわたりサイン業界の変化を見つめてきた遠藤さん。その言葉には実感がこもっていた

取材・構成:菊地 正宏
撮影:松橋 隆樹

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株式会社日の丸ディスプレー仙台

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企画デザインから製造まで、サインのことなら何でも自社一貫生産ができる体制を誇りにしています。金属加工、アクリル加工の技術はもちろんのこと、サイン業界では東日本一の機械設備を持つ仙台工場をはじめ、設備の充実も怠らず発展させてまいりました。仕事はきれいに、素早く、責任を持って。商業ユース中心のサイン業界で培ったこの「常識のレベル」を、より広範囲に皆さまにご利用いただけるよう、開発を続けてまいります。

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