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クリエイターインタビュー|加賀谷 明寛さん(前編)

栃木県宇都宮市の文星芸術大学でデザインを学び、現在は仙台でフリーランスのグラフィックデザイナー、そしてシェアオフィスTHE6のファシリテーターとして活動している加賀谷明寛(かがや あきひろ)さん。「運よくいろいろな人たちと出会うことができた」という加賀谷さんに、これまでの活動や人とのつながりについて話を聞きました。

―これまでのキャリアについて教えてください。

大学を出た後会社員として経験を積んでから独立、という流れが一般的だと思うんですけど、自分はそうじゃありません(笑)。学部を出て院に進んだんですが中退し、その後個人として仕事をするようになりました。中退前に1年半休学し、実家のある仙台に戻ってきていたときにいろいろな人たちと出会ったことが、個人として仕事を始めるきっかけになりました。

大学で行政や企業の人たちとデザインの仕事をする産学連携の活動に参加してはいましたが、それ以外に仕事としてデザインをした経験のない私が個人で仕事ができるなんて、自分でも思っていませんでした。

―個人で仕事を始めたきっかけについてもう少し詳しくお聞きかせください。

デザインについて学び身につけたことをどうやったら活かせるかとずっと考えていたときに、大学で一緒に産学連携の仕事をした方に相談してみたんです。その方から、デザイナーの渡邉武海さん(LLPメディア・ストラータ代表)をご紹介いただいて、お手伝いさせていただくことになりました。仙台生まれではありますが、5歳から高校まで青森で暮らして大学は栃木に行ったので、それが仙台での初めてのつながりでした。

その後、大学を辞めるつもりで面談を受けに行ったところ、先生から「仕事を見つけないと退学させない」と言われてしまいました(笑)。

―お母さんみたいですね(笑)。

そうなんです。本当に親みたいな人なんですよ(笑)。その後、渡邉さんとご飯に行って入ったお店に、現在THE 6でアドバイザーをしている桃生和成さんがいて、渡邉さんのお知り合いだったので事情を聞いてもらったんです。そうしたら桃生さんがTHE6の制作物のデザインを頼めるスタッフを探しているということで、その場で声をかけていただきました。展開が早すぎて、自分でも何が起きているのか全然わかりませんでしたね(笑)。

仕事を始めるまでのいきさつを振り返る加賀谷さん

―すごい展開ですね!

早速その日の夕方に、THE6代表の岩本忠健さんと桃生さんに面談していただきました。ただ、契約形態としてはTHE6の管理会社である株式会社エコラの正社員雇用になり、「建築系の会社に就職した」というキャリアになることがわかったんです。仕事自体は魅力的で場所としてもすごくいいなと思ったんですけど、周囲に相談したら「デザインの仕事をしたいという希望に沿った経歴になるのか」という指摘を受けて、悩んだ結果そのときはお断りしたんです。

―そうだったんですか!

岩本さんには「今後何かあったときは協力してできたらいいね」と言っていただいていたんですが、1か月後ぐらいに「聞いてほしい話がある」っていう連絡が本当に来て。正直、何だろうと不安でしたね(笑)。

―ちょっと不安になりますよね(笑)。

打ち合わせに行ったら、現在THE6のファシリテーターである髙野明子さんもいらっしゃっていて。どうやら私の後に、髙野さんにも同じ条件で声がかかったらしいんですが、正社員としてフルタイムで働くのは厳しいということで「業務委託契約の形ではどうか」と髙野さんが提案したそうなんです。そこから、業務委託で1日をシフト分けするならもう1人必要になるということで私に連絡が来ました。私が悩んでいたのは正規として働くという部分だけだったので、もう断る理由もなくお受けしました(笑)。本当に人とのつながりで今の仕事があるという感じですね。

―「人とのつながり」については他の仙台のクリエイターさんのインタビューでもよく話題にあがっています。

自分にとってはそれが1番重要で、それがなかったらここにいない(笑)。もともと仙台にいた訳でもないのに人を紹介していただいたり、仕事を振っていただいたりしている訳なので。

―ファシリテーターとしては具体的にどんなことをしているんですか?

イベントの企画者と参加者をつないだり、仕事で来た人たちをここの入居者とつないだりして、新しい仕事を生み出す役割です。

―基本的に髙野さんと交代での勤務ですか?

そうですね。最初の頃は2人で午前午後に分かれて勤務していました。シフト制なので、THE6の仕事もしつつ残りの時間で個人の仕事もできるようになっているんですが、最近は2人とも個人の仕事が増えてきたこともあって、もう2人プラスで入っています。その2人も個人で仕事を持っているので、4人全員本職を別に持ちながらTHE6の仕事をやっていることになりますね。

―個人の仕事ではどのような仕事が多いんですか?

デザインの仕事はロゴやフライヤーの制作が多いです。例えば歯医者さんのロゴマークや、施設内のトイレのサインのデザインなどをやっています。NPOの報告書のレイアウトや表紙のデザインもやったりしています。

1日の中でTHE6の仕事と個人の仕事のバランスはどのくらいですか?

THE6の仕事は145時間ぐらいです。午前勤務の時は9時にここに来て13時ごろに上がった後、そのまま個人の仕事をここでやったり、場所を変えてやったりという感じ。午後勤務のときは午前中に自分の仕事をある程度進めてという感じで、日によって違いますね。イベントがあるときは、夜遅い時間まで対応したりしています。

―イベントは基本的に加賀谷さんたちの企画なんですか?

最近は持ち込みの企画が増えてきています。THE6側から営業をかけることはあまりないんですけど、Facebookを見たりイベントに参加したりした流れで「今度使わせてください」と来てくださる方がいらっしゃいます。去年(2016年)の1011月辺りはほぼ毎日ペースでイベントをやっていました。THE6内にシェアキッチンがあるのが大きいかもしれません。つくったものを食べながらセミナーやったり、打ち上げでキッチンを使ったりできるので。

持ち込み企画でイベントをされているのは、必ずしもクリエイターさんという訳ではなく、NPOの活動をされている方や個人で働いている方もいらっしゃいます。学生支援のイベントをきっかけに高校生や大学生がイベントを主催してくれるケースも増えてきました。

THE6をどのように使ってもらいたいですか?

ガツガツ仕事しに行くぞっていうよりも、フラッと立ち寄って休みながら仕事をする。そんな空間だと思います。そうやって集まった人どうしで話し合っているうちに、「実は私こんなことができるんです」って自然な流れで次につながっていくのが理想ですね。

THE6のアピールをぜひ。

誰にでもオープンで、いろんな職種や年齢の人とつながれるのがTHE6の強み。自分自身もその人脈で仕事をいただいたりしています。

仕事としてというよりも、普段の生活の延長というか、自然体でいられるんですよね。だからつながる人たちとも、仕事相手というより家族みたいな感覚で関わることができるんです。普通の会社だったらできないことですよね。

取材日:平成29年3月1日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:岡沼 美樹恵

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加賀谷 明寛

1990年仙台市生まれ。青森市育ち。宇都宮文星芸術大学デザイン専攻卒業。
卒業制作の映像作品がTBS主催映像コンペ「Digi Con6」にて入選。堤幸彦監督SPEC賞、Lilico賞、学生賞にノミネート。大学在学中は産学連携プロジェクトに複数参加し、栃木県の人々と共に制作活動を行う。そこで地域に根付いたデザイン活動をしていきたいと考え始める。
現在、仙台のシェア型複合施設「THE6」の企画・運営に携わりながら、個人では人との繋がりも生み出すことを目標に、グラフィックデザインの仕事に取り組んでいる。

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