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クリエイターインタビュー|加賀谷 明寛さん(中編)

栃木県宇都宮市の文星芸術大学でデザインを学び、現在は仙台でフリーランスのグラフィックデザイナー、そしてシェアオフィスTHE6のファシリテーターとして活動している加賀谷明寛(かがや あきひろ)さん。「運よくいろいろな人たちと出会うことができた」という加賀谷さんに、これまでの活動や人とのつながりについて話を聞きました。

 

―デザインの仕事はいつごろからやりたいと思うようになったのですか?

高校3年生になって、自分のアイデアを形にできる仕事をしてみたいと思ったんです。ものをつくったり描いたりするのは好きだったので。でも高校まではずっとスポーツをやっていたので、専門的に美術やデザインには全く触れてきませんでした。

―大学で栃木に行くまで栃木に何かつながりはありましたか?

全くなかったです、0です(笑)。でも、つながりがないからこそ楽しめることがいっぱいでしたね。行く場所も出会う人も、全てが新鮮で。

―産学連携の取り組みはゼミの活動の一環だったのですか?

そうですね。私が大学院に入った頃に活発になっていました。お菓子のパッケージやロゴのデザイン、キャンドルページェントの空間作品等、他にも数件関わりました。

学生時代の活動を振り返る加賀谷さん

―制作物へのフィーは学生にも払われたんですか?

いただきました。金額としてはちょっとでしたけど。中には図書券5,000円分っていうのもありました(笑)。それでも教授とクライアントとのやり取りを直に見たり工場見学に行ったり、そういった経験をできたことは大きかったですね。

―制作物は実際に商品化されたりしたんでしょうか?

商品化されました。実際にお客さんに売れていくのを見るのは嬉しかったです。でも商品化の後はいろいろありましたね。企業側の予算の都合で、知らないうちに違うパッケージデザインに変わってたとか。パッケージに貼ってあるシールだけは大学でつくったものでしたけど(笑)。

―産学連携の仕事がきっかけでそのゼミに入ったんですか?

いや、教授とサークルで仲良くなったことがきっかけですね。産学連携の仕事はゼミに入った後に声をかけてもらって始めました。

―ちなみに何のサークルに入っていたんですか?

フットサルサークルです。2年生の課題でサッカーをテーマにした作品を制作したときに、それを見た先輩から「サッカーやってたならサークルにおいでよ」って誘われて入りました。

話が脱線しますけど、THE 6の岩本さんと桃生さんと初めて面談をしたとき、サッカーがテーマの卒業制作の映像作品を見てもらったんです。そしたら2人ともサッカー経験者ということが分かって(笑)。桃生さんに至ってはフットサルのチームに入っていたので、その場で練習に誘っていただきました。

大学の時も仙台に来てからもですが、フットサルのおかげでつながりができることが多いような気がしています。

 

加賀谷さんの卒業制作「Dribllusion 4S」

―フットサルのつながりから仕事が生まれたこともありますか?

そうですね。仙台藝術舎/creek(※)代表の関本さんとはフットサルでつながりました。プライベートで関わった方から仕事の依頼をいただけるのはすごくありがたいです。

もともとはチラシ制作の話だったんですが、関本さんから「この取り組みは毎年続けていきたい」という話を聞いて。だったらチラシだけじゃなく、仙台藝術舍のロゴを勝手につくっちゃおうと。で、勝手につくって提案して、使っていただく事になりました。それが仙台に来て初めてのロゴの仕事だったんですが、その後の仕事につながったり。あの時の自分勝手な行動は正解でしたね(笑)。

 

  • ※仙台藝術舎/creek:平成28年度仙台市クリエイティブ・プロジェクト助成対象事業のひとつ。ギャラリーターンアラウンド代表の関本欣哉さん主催

―大学時代の話に戻りますが、卒業制作の作品が「DigiCon6」(TBS主催映像コンペ)で堤幸彦監督SPEC賞、LiLiCo賞、学生賞にノミネートされた経緯を教えてください。 

それまでコンペに作品を出したことはなくて、この時は教授に勧められて出しました。正直コンペの規模も全然知らずに出したので、欲のない感じが良かったのかなと(笑)。

―撮影はどれくらいかかりましたか?

作品自体は1か月半くらいですね。全体の構想期間やテスト期間を含めると1年くらい。グラフィティの手法に興味を持ったんですが、手法だけ真似ても意味がないと思って。その手法でどんな新しいことができるかって考えたときに、スプレーで描いたものを一回一回消して、コマ撮りにしたら面白い作品ができるんじゃないかと思ったんです。

卒業制作のテーマはどのように決めたんですか?

実は卒制の最終チェックの段階でそれまでつくっていたものがボツになって。その当時は卒業をあきらめかけました(笑)。でもどうせならと開き直って、好きなサッカーをテーマにしようと。ボールを蹴りながらいろんな空間を走り回ったり飛び越えたりする、見せ方を重視したストップモーションをつくったらどうかっていうのを教授と話し合って決めました。

それまでの課題でも何度かサッカーをテーマにした作品をつくっていて、でもその度に教授陣から「またかぁ。。。」ってため息がおきて。だから卒制だけはサッカーにしないって決めてたんですけど、この時はもうどうでもいいやって感じでした(笑)。

取材日:平成29年3月1日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:岡沼 美樹恵

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加賀谷 明寛

1990年仙台市生まれ。青森市育ち。宇都宮文星芸術大学デザイン専攻卒業。
卒業制作の映像作品がTBS主催映像コンペ「Digi Con6」にて入選。堤幸彦監督SPEC賞、Lilico賞、学生賞にノミネート。大学在学中は産学連携プロジェクトに複数参加し、栃木県の人々と共に制作活動を行う。そこで地域に根付いたデザイン活動をしていきたいと考え始める。
現在、仙台のシェア型複合施設「THE6」の企画・運営に携わりながら、個人では人との繋がりも生み出すことを目標に、グラフィックデザインの仕事に取り組んでいる。

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