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クリエイターインタビュー|小森 はるかさん・瀬尾 夏美さん(中編)

仙台と陸前高田を拠点に、ワークショップや対話の場の企画・運営、地域とそこに住む人々にまつわる記録や制作に携わっている、映像作家の小森はるかさん(写真左)と画家・作家の瀬尾夏美さん(写真右)。個人として、ユニット「小森はるか+瀬尾夏美」として、そして一般社団法人NOOKのメンバーとしても活躍しているおふたりに、それぞれの活動を始めるまでの経緯や、活動を通した仙台への気づきについて伺いました。

―NOOKの活動について教えてください。

瀬尾 発足メンバーに映画監督や映像の撮影ができるメンバーがいたので、その特性を活かして伝統芸能のフェスティバルや民話を映像で記録する請け仕事をやりつつ、自分たちのコンテンツとして、公開インタビューという形で人の話を聞いて記録化するっていうことをやったり。今はだんだん形が変わってきていて、映像撮影の技術を求められるというよりは、企画を組んで、そこにどうファシリテーションやワークショップを組み立てていくのかというタイプの仕事が増えてきています。

―NOOKとしてのお仕事はどのようにして取っているのですか。

瀬尾 いまのところNOOKに仕事が来るというよりは、個人に来る仕事を持ち寄ってNOOKとして請けるというような感じが多いです。分配のことで言うと、例えばワークショップの仕事でNOOKから3人参加するような時は、参加した人の分だけみんなで話し合ってお金を分ける、といったように基本的にプロジェクト単位の分け方なので、固定給があるわけではないです。私自身の収入としては、個別の仕事を軸に、プラスNOOKという形です。

―お仕事の量としては半々くらいでしょうか。

瀬尾 そうですね。NOOKの仕事はミーティングが多いので、仕事自体の量というよりは、それにかかる時間や期間の長さの方が負担としては大きいですね。企画やワークショップを組む仕事が多い時は特にそうです。

―仕事でやりがいや嬉しさを感じるのはどんな時ですか。

瀬尾 自分の技能が役に立ったと感じられると嬉しいですね。私の技能というのは、話を聞いて、それを記述するっていうことに尽きると思います。写真の仕事に関しても、その現場を私がどう見ているかっていうのを、きちんと表すように撮って提示するっていう仕事なんです。作品制作においても、例えばおじいさん、おばあさんのお話を聞かせてもらったものを、それは私にとって、広くはきっと社会にとって、こういう価値があると思うからこういう風に渡させてもらいます、っていうことをやっているので、仕事のやり方としては全部一緒だと思っています。

自分の能力みたいなものが、人のコミュニティとか、やりたいことに何かしら寄与するのが仕事の醍醐味だと思うんです。どの職業に就くのかじゃなくて、自分の能力が社会の何に役に立つのかっていう問いから仕事をもらっていくことの方が好きですね。私は就活もしなかったんです。

―周りが就活して焦る、みたいなことも特になかったですか。

瀬尾 美大で、そもそも就職率3%とかだったんで(笑)。

―小森さんは。

小森 作品制作だとどうしても個人での作業になってしまいますし、自分には不向きなこともあるので、いろんな技術を持った人と一緒に活動していくのはどんな仕事でも面白いですし、いろんな出会いがあるなぁと思っています。

―仕事で難しいとか、困ったと思うことがあれば教えてください。

小森 「映像を撮る」という自分の技術を、お金を稼ぐための技術にしていくことに難しさがあります。私自身は柔軟にクライアントさんの要望に沿った映像をつくるのに向いていないと思いますし、そこに自分の技術を使っていくことへ少し抵抗があります。

それ以外では、私はNOOKで経理を担当しているのですが、NOOKのプロジェクトは、全ての仕事がお金の発生する仕事というわけではなく、自主的に協働している活動もたくさんあるので、そこに金銭を発生させたり、労働と自主的な活動とを分けて考えるのが難しいなと思います。

NOOKの組織運営というところでは、人と人同士の組織っていう意味では全然崩れない柔軟さがあって、今後もいろんな可能性があると思うんですけど、法人格として、人件費も管理費もどうやって維持していくのかっていう難しさは常にあって、なんとか2年続いてますけど、これから考えていかなきゃいけないなぁと思いますね。

組織を運営することの難しさを語る小森さん

―NOOKの経営会議はあるのですか。

瀬尾 した方がいいですよね。経営の専門知識がもうちょっと必要だと思います。マーケティングをやっている方に監事として入ってもらって相談したりはしているんですけど。経営のためのビジョンを持ったお金の使い方を考えられる、経営と経理の両方を見られる人がいないといけないと思うんですけど、NOOKの人員の能力的に、経営面は弱いっていうのはあります。そもそもNOOKは基本的にフリーランスの立場で仕事している人たちの集まりなので、個人として何とか食べていくっていう意識はあっても、組織としての意識は弱いですね。

―続けていきたい気持ちはみなさん持っているんでしょうか。

瀬尾 みんな個人の仕事がある中でやっていて、NOOKにそこまで金銭的に依存しているわけでもないので、逆にダメになりようがないっていうところはあります。ゆるく続けばいいと思うし、人が入れ替わるのであればそれでいいと思います。属人的な仕事も多いので、人が変わると受けられる仕事が変わってしまいますけど、そこでその人が抜けても「やれます」と言ってしまうのは無理がありますよね。できないものはできないと相談したうえで、こういう形でやりますかって話を進めていけばいい。新しい人が入れば、新しいことができるので。

最近、舞台に携わっている人がNOOKにふたりいるんですが、そうなるとNOOKが今まで映像や記録の実際の作業ができるチームだったのが、舞台の人たちが入ってくることによって、ワークショップとか、制作、マネジメントができるチームとして別の仕事ができますって言えるようになるんですよ。NOOKの成熟と人の入れ替わりに応じてできる仕事が変わればいいと思うし、それこそ、アートや舞台に関わっている若い人がNOOKという組織を使って、ゆるく稼ぎながら、ここに居場所があるって思い続けられる場として長く続けばいいと思う。とはいえ、なんとなく続いていくところまで持っていくのが大変で、それは、あと2~3年かかると思っているんですけど。

取材日:平成29年6月19日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:岡沼 美樹恵

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小森 はるか

1989年静岡県生まれ。映像作家。東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。映画美学校修了。日常の中に見える人の佇まいや語りを映像で記録している。2012年より、瀬尾夏美と共に岩手県陸前高田市に拠点を移し、暮らしながら記録と制作を続ける。2015年より、仙台市で一般社団法人NOOK(のおく)を立ち上げる。

瀬尾 夏美

1988年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2012年より、映像作家の小森はるかとともに岩手県陸前高田市に拠点を移す。以後、地元写真館に勤務しながら、まちを歩き、地域の中でワークショップや対話の場を運営。2015年、仙台市で、土地との協同を通した記録活動を行う一般社団法人NOOK(のおく)を立ち上げる。

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