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クリエイターインタビュー|阿部 加奈子さん(前編)

仙台市幸町の自宅サロンにてイタリア料理教室「Buon Appetito」を開催し、フードコーディネーターやオリーブオイルソムリエの資格も保有している阿部加奈子(あべ かなこ)さん。自分の「好き」を仕事にし、様々なシーンでご活躍されている阿部さんに、料理研究家というお仕事の内容や、イタリア留学の体験談についてお話を伺いました。

―料理研究家とは、具体的にどのようなお仕事なのでしょうか?

仙台市幸町にある自宅サロンで料理教室をするのが基本で、あとは企業の商品開発、メニュー提案、レストラン経営、外部講師などいろいろやっています。これまでは、イタリア料理の研究家という肩書でずっとやっていたのですが、最近はイタリアだけでなく全般的なお料理をしています。

幸町にあるイタリア料理教室「Buon appetito」

―料理研究家になるまでの経歴を教えてください。

大学では法律を学んでいて、将来について模索していた時期は、法律系の仕事や国家公務員、アナウンサースクールなども考えました。でも、もともと料理や食べることが好きだからという理由で、3年生くらいからは食品系の会社に進みたいと決めていました。それで、某醤油会社に入ったんですね。その会社は300年以上の歴史がある中で、私が初めての業務用女性営業職で、華々しく入社させていただいて楽しかったんです。ただ、わたしがもっとイタリア料理を勉強したいという思いが強くなってしまって、それで、会社を辞めてフードコーディネーターの資格を取って、そこからお金を貯めてイタリアに2年ほど留学し、帰国して今の料理教室を開きました。教室は今12年目になりますね。

―会社での仕事はどのような感じだったのですか?

すごく楽しかったですよ。コンビニやお弁当屋さんのメニュー提案とかもやりました。コンビニのメニューでおそばとかうどんのだしつゆありますよね。ああいう商品の味をかつおぶしを何%きかせましょうとか、昆布だしをもっと強めにしましょうとか提案するんです。それをするのに全店のコンビニのだしつゆを全部食べ比べるんですよ。あとは、牛丼屋さんの提案があれば、牛丼のたれの分析もしなきゃいけないので、1日に5軒くらい牛丼食べたりとか。ラーメンも1日5軒くらい行くので、結構太って大変だったんですよね(笑)。すごく刺激的で楽しかったんですけれど、もっと自分が調理に携わりたいと思うようになって。それで、会社を辞めて海外で勉強できるような道を探し始めたんです。

―もともとイタリアが好きだったのですか?

イタリアはずっと好きでしたね。私、スパゲッティがとにかく好きなんですね。イタリアって炭水化物の種類がいっぱいあるんですよ。スパゲッティだけでも何百種類もあるし、リゾットもあるし。私は炭水化物が大好きなので、炭水化物の種類が多いイタリアしか考えられなかったですね。あと、イタリア人って、とにかく食事する時間をすごく大切にするんですよね。昼食も、みんな仕事に出ていてもお家に帰ってきて家族と一緒に取ったりとか、学校も午前中しかないからとにかくみんなで食事を取るんですよ。そういうのがすごく好きで、それでイタリアともっと関わりたいと思うようになりました。

―どのような伝手でイタリアに行ったのですか?

何かコネがあったわけでも何でもないんです。イタリアに行ったら、とにかくみんなから料理教えてもらえると思っていて、イタリア語も全く話せないまま単身飛び込んだ、という感じですね。単身といっても26歳だからそんなに若くはなかったですけど(笑)。ひとまず語学学校斡旋の料理教室に行ってみたんですが、1レッスン1万円、1万5千円、2万円ってかかるんですよ。それでいて、日本人の喜びそうなティラミスとかしか教えてくれないんですね。それで、イタリアの街の中を歩いて、片言の英語でいろんな人に「私にイタリア料理を教えてください」って声をかけまくったんです。そうしたら、たまたま運良く、「じゃ、いいマンマ紹介してあげる」という人に出会えて、毎回3千円ぐらいで料理を教えてくれる人を見つけて。そこから毎日、彼女に3カ月間習ったんです。かなり本格的に勉強しました。でも、今考えると、怖いですよね。そこら辺の道を歩いている外国人から「料理教えて」って言われたら。

―すごくエネルギッシュですね。

結局留学資金なんて限られているし、ひょっとしたらあっという間に底をついて早目に帰ってこなきゃいけないっていう焦りもありましたし。「何でもやってやる」ぐらいの気持ちだったので、とにかく必死でいろんな人を探しました。あのときはインターネットも、ネットポイントみたいなネットショップにわざわざ行かなくちゃ使えなかったし、日本語表記がなかったりもして。そういう状態で人を探すのは結構難しくて、ネットがだめなら直接人に聞くしかないという状態でしたね。今はスマホやSNSがあるから簡単になりましたよね。

―留学していたときに大変だったことはありますか?

レストラン併設のワイナリーの屋根裏部屋に住み込みさせてもらっていたときがあったのですが、ある夜、寝ていたらカリカリカリって音がして、パッと目を醒ましたらネズミが私の足元でまできてチューチュー言ってて。あれは辛かったな(笑)。あと、私は食に対して貪欲なので、食べてみろと言われたら何でもすぐ食べちゃうところがあって、現地のソーセージ作りの達人たちが大きな豚を解体してソーセージやサラミを作るというので、一緒にソーセージを作りながら彼らと同じように豚肉を生で食べてみたんです。とても楽しく赤ワインを飲みながら。そうしたら案の定救急車で運ばれたりとか。そういうのくらいですね、大変なことは(笑)。

取材日:平成30年10月23日
聞き手:仙台市地域産業支援課、岡沼 美樹恵
構成:岡沼 美樹恵

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阿部 加奈子

AISO認定オリーブオイルソムリエ/コースディレクター
早稲田大学卒業後、食品会社に就職。退社後、フードコーディネーター資格取得。
イタリアに渡伊。イタリア各地に滞在し、料理学校、シニョーラから料理を学ぶ。
帰国後自宅サロンにて“イタリア料理教室 Buon Appetito”主宰。
オリーブオイルソムリエとしてセミナー・講演活動などを行うほか、
短期大学にて非常勤講師を務める。2018年フォカッチャ屋Buon appetito開店。

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