仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム

features

クリエイターインタビュー|門傳 一彦 さん(中編)

撮影や編集はもちろん、映像に合わせた曲まで自身でつくってしまうマルチな映像作家、門傳 一彦(もんでん かずひこ)さん。日本で唯一音響設計学科がある九州芸術工科大学(現:九州大学芸術工学部)に進学し、「音」のデザインについて学んだ後、映像制作を仕事にするようになるまでのこと、仙台での暮らしや仕事についてお話を伺いました。

2年間のドイツ生活の後は、どうされたんですか。

横浜市の実家に戻り、半年ほどアルバイト生活をしていました。その後に音大を受験する予定での一時帰国のつもりが、派遣バイトの日々で精神的に疲弊し、何かをつくる気分ではなくなってしまいました。どこかに行ってリハビリせねばと考えたときに仙台で暮らすことを思いつき、下見がてら旅行に出かけました

―仙台へいらしたことはあったんですか。

いえ、そのときが初めてでしたね。るーぷる仙台に乗ったりしながらまちの様子を見て回り暮らしていけそうだと思ったので、そのまま不動産屋に行って家を決めました。一旦実家に戻り、1カ月後には仙台で暮らし始めてました。

―急展開ですね。決め手は何だったんでしょう。

規模感としてある程度以上のまちであるということと、海も山も近いことが決め手になりました。また特に山寺の雪景色がすごく気に入っちゃって、県外ですけど近くにこういう場所があるのはいいなと。

―仙台での仕事は決まっていたんですか?

いえ、まず行ってみて考えようという感じでした。実家にいるとき同様、仙台に来てからもしばらくは派遣のバイトをしていました。それと合わせて、写真事務所で見習いみたいなこともしていました。未経験者OKの求人を見つけて話を聞きにいったら、「撮れるようになったら仕事をやる」ということだったので、カメラを買って挑戦してみることにしたんです。

―それまで、写真の経験はあったんですか。

興味があって大学の頃から写真自体はよく撮っていましたが、カメラの仕組みなどをきちんと学んだことはありませんでしたね。

―映像のお仕事はどのような経緯で始められたんでしょう。

最初に働いていたブライダル専門の写真事務所で、記録ビデオの編集をしたのがスタートです。大学で友だちの映像制作作業を見ていて、何をすればいいのか感覚的にはわかっていたので、「多分できると思います」と言ってやらせてもらいました。その後、撮影もするようになったんですが、自分の興味はブライダル以外のものに向いていきました。ちょうど仕事のために買ったデジタル一眼レフが動画を撮れるものだったので、いろんな仕事の映像をつくることを試しにやってみました。

―その映像はどういったものだったんですか。

ネギ農家の友人に仕事の様子を撮影させてもらって、それに音楽をつけたのが1本目。

(編集注:動画中のクレジット(Kazuhiko OTA)は門傳さんの旧姓です)

 

その後、同様に製本所(菊信紙工所)の映像をつくってみました。周りからの反応もよかったし、自分でもすごいしっくりきたんです。被写体となった人たちにも「俺たちこんなかっこいい仕事していたんだ」と喜んでもらえて、「こういうものをつくりたいな」と思うようになりました。

―この映像の音楽も門傳さんがつくられたんですよね。

そうです。実は機械のリズムに合わせて曲をつくっています。そういうつくり方って、映像と音楽の両方をやっている自分だからこそできることだなと改めて感じましたね。

―先に映像を撮って、その映像に音楽をつけていくんですか。

この映像は完全にそうですね。ちなみに、ネギ農家の方の音楽は、「ネ↑ギ↓」という発音の高低だけでメロディをつくりました。若干節回しに無理はあるんですけど(笑)。

―音楽に精通していることによって、映像の撮り方に影響していると感じることはありますか。

撮り方に関してはあまりないですね。どういう編集するかはあまり決めずに撮っていることがほとんどなので。ただし、編集作業にはかなり影響があります。音楽のリズムやフレーズの切れ目に合わせて、カットの長さを決めたりというのはよくあることです。粗めに編集をして、音楽をつくって、音楽に合わせて編集をつめて、さらに音を直してという感じで画と音を往復しながら映像をつくっていくことが多いですね。

TRUNK内にある門傳さんのオフィスでの作業風景

―仕事以外でも音楽をつくることはありますか。

あんまりつくらないですね。そこが純然たる作曲家や作曲好きと違うところで、私の場合ははっきりとした目的が曲をつくるモチベーションになっているんだと思います。遊びで即興的にピアノを弾いたりはしますけどね。

―映像の撮影に入る前には、クライアントとどのような話をしますか。

もちろん「どういう映像にしたいか」という表面的な部分は最初のヒアリングで聞き出しておくんですが、クライアント本人が気づいていない可能性や隠れた魅力といった部分は、聞いてわかることじゃないので、撮影しながら探っていく感じです。

 

前編 > 中編 > 後編

門傳 一彦

企業・団体・イベント・研究プロジェクト等のPR映像の制作や写真撮影などを中心に活動しています。撮影・編集に加え、映像用の音楽まで一貫して制作するスタイルです。

デジタル工作機器を使ったプロダクト開発に携わった経験もあり、映像・写真に留まらない観点で仕事をしています。

神奈川県生まれ、福岡、ドイツを経て、2008年より仙台在住。学生時代の専攻は音響学、渡独中には農林業体験や様々な芸術表現の分野に触れ、現在に至る。

SEARCH

SITEMAP