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クリエイターインタビュー|鈴木 啓示さん(後編)

小売に加え、飲食店などへの生け込み、店舗ディスプレイやイベント装飾などさまざまな花のコーディネートを手がける、国分町の花屋florico(読み:フロリコ)代表の鈴木啓示さん。平成28年度クリエイティブプロジェクト「花降る街、仙台」の副代表としても活躍するなど、従来の花屋の枠にとらわれない活動を展開している鈴木さんにお話を伺いました。

―仙台以外の土地で働くという選択肢はなかったんですか?

東京とか、有名な花屋さんで働きたい気持ちもあったんですけど、それよりも自分で店をやりたいっていうのが強くて、それを叶えるのに1番手っ取り早かったのが地元の仙台でした。

―仙台で仕事をすることに、どんなメリットを感じますか?

一般企業に勤めている同世代の多くはある程度決定権を持っているので、同級生から仕事の依頼が来ることはあります。あとは、いい意味で狭いまちなので、ちょっと変わったことするとみんなが注目してくれて、うまくいくと仕事につながるんですよ。そういう点ではやりやすいですね。

―国分町というエリアはどうでしょうか。

どこに行くにもそんなに時間かからないので、配達や打ち合わせには動きやすいですよね。ここは国分町の割に静かなところので、店で仕事するにも落ち着いてできますし。ただ次の店舗は、さらに落ち着いたエリアに出したいと思っています。

フロリコの店舗外観

―2店舗目はどういったお店にしたいですか?

ガラッと変えたいですね。好きなものだけでやってみたいです。装飾・ディスプレイ用の店舗と小売用の店舗を分けたいっていうのもありますね。大がかりなものをつくるのに、今の店舗では少し手狭で。

―副代表をされている「花降る街、仙台」にはどういうつながりで参加されたんですか?

代表の山田((株)Magenta代表取締役の山田剛さん)ともともと仲がよくて、何かしたいねという話をずっとしていたんです。そんな経緯で野外ワークショップをやってみたところ、予想以上にたくさんのお客さんが来てくれて。予約なしで大人も子どももフローリストから教わることができるのが「花降る街、仙台」のいいところなんですが、次々来てくれるお客さんを相手にゆっくり教えることができず、花を束ねるので精一杯という感じでしたから。なかなかハードではあったんですが、それ以上にすごく楽しかったんですよね。そこから他の花屋にも声をかけて、今では全体で約20名程、1回のワークショップでも10数名のフローリストが参加するほどになりました。

―花屋さんがこれだけたくさん集まって活動することは、全国的にも珍しいそうですね。

普段一緒に仕事をすることがない同業者が集まって活動できているのは、代表の人柄もありますが、みんな仙台の花業界のために何かしなきゃいけないって思っているからなんですよ。仙台の花の購買層って50代以上に偏っていて、30代以下は1年に1回買うか買わないかくらいなんです。若い人たちはじめ、花にあまり興味がない人たちも日常的に気軽に花を買ってくれるようになる。そんな「花降る街、仙台」のビジョンに共感してくれているんだと思います。

―仙台でも、花を買う人が増えるといいですね。

そうですね。一方で、花屋として技術を磨いて、誰も想像できないようなものをつくることで花の価値を上げていくことも、「花降る街、仙台」は目指しています。

花をより多くの人に広めることと、花そのものに対する価値を高めることの両輪が大切と語る鈴木さん

―スキルを上げるために意識していることはありますか?

「花降る街、仙台」でフローリストどうしで集まること自体が、結構勉強になるんですよ。同じものをつくってもそれぞれに個性が出るので。

―「花降る街、仙台」をやって変わってきたところはありますか?

イベントのお客さんがお店にも来てくれるようになりました。それだけでも嬉しいんですが、「花降る街、仙台」としてフェスのようなイベントをやってほしいとお声がけいただくことも増えてきています。

フロリコとして1番大きかったのは、「花降る街、仙台」がきっかけでうちに興味を持ってくれた人が、今スタッフとして働いてくれていることですかね。

―それはすごいですね。それは「花降る街、仙台」にとっても収穫だったんではないですか?

そうですね。参加フローリストを増やしていきたいとも思っているので。将来花屋さんになってみたい人とか、花を通して人と会話してみたい人とか、来てもらえると嬉しいですね。専門学校のフラワーデザイン科あたりにも声をかけて、実際に花をもらった人の笑顔とか、教室にいるだけではわからないものを感じてほしいですね。

―仙台をこんな場所にしたい、とかありますか?

花を持ち歩くことを自慢できるような雰囲気をつくりたいですね。特に男性は、奥さんの誕生日や結婚記念日に花を買っても恥ずかしがって、持って帰るのに袋に入れてしまうんです。すれ違う人が「どこで買ったんですか、きれいですね」って気軽に話しかけられるような仙台になるといいなと思います。

―「花降る街、仙台」でそういう雰囲気が広がっていくといいですね。

「花降る街、仙台」でこの間「ペイ・フォワード」というイベントをやりました。3本の花を、1本を自分用に、2本を大切な人へのプレゼント用に渡すというものだったんですが、用意していた600束ほどが1時間くらいで全部なくなったんです。お昼から夕方ぐらいまでかけて配る予定だったので、想像以上のスピードでした。こういうイベントをきっかけに、誕生日や記念日に花を用意しよう、と思う人が増えたら嬉しいですね。

―今後、チャレンジしていきたいことはありますか?

東京の人が「仙台ってすごいな」と思うようなオリジナルなことをやっていきたいです。その1つとして「花降る街、仙台」も長く継続していきたいですよね。私たちのような小さなフローリストが集まって活動を続け、東京でも真似できないものに育てていきたいと思っています。

―どうしても仙台は東京の真似をしがちなところがありますよね。

仙台は住みやすいですし、中途半端に大きいから、ぬるま湯にもつかっちゃうんですよ。変に空気を読んじゃって、抜きん出ようとする人がいない。東北の他県と比べても、意識では負けている気がします。

―最後に、クリエイティブ関係の仕事を目指す人や、はじめたばかりの人にメッセージをお願いします。

デザインでも造形でも写真でも、何もないところからつくるのがクリエイターなんでしょうけど、クリエイターって言葉自体が独り歩きしている気がします。クリエイターとかクリエイティブといった観念にとらわれずに、自分が好きなものを続けることが大切なんじゃないですかね。私自身、「クリエイティブな仕事」って言われると、何かこそばゆい感じがします。単純に人に喜んでもらいたいっていう気持ちでやってきた仕事が、結果としてクリエイティブな仕事になっているだけだと思うんです。

私は本当に花が好きで、毎日触っていたいんですよね。実際、1日花に触らなかっただけでも感覚が鈍っちゃうんです。他のクリエイティブな仕事も、そのくらい好きじゃないとやっていけないと思います。ものづくりの仕事は不規則ですし、お客さんに急に呼ばれたりすることもある。それでもやれるのは、好きだから。その仕事で食べていくとなると何十年というつきあいになりますから。好きでい続けないとダメ、くらいに思っています。

あとは、身体ですかね。身体を壊すと今までやってきたものゼロになっちゃうので、健康には気をつけないといけませんよね。

取材日:平成29年11月2日

聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)

構成:工藤 拓也

 

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鈴木 啓示

1980年生まれ 仙台市在住

幾つかの花屋を経験したのち2011年仙台市国分町にて

「florico」を開店

花束やアレンジメント販売の他、

ショップディスプレイ、イベント装飾等を手掛ける

 

仙台市内のフローリスト集団「花降る街、仙台」の副代表として

花のある生活スタイルを提案すると共にワークショップやイベント企画に携わる

instagtam: https://www.instagram.com/keiji_0129

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