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クリエイターインタビュー前編|及川 恵子(ライター・編集者)

出会うはずのなかった人とお話しできるのが、すごく楽しいです。

及川恵子さんは東北工業大学で建築を学び、現在はフリーランスのライター・編集者として活躍している。大学卒業後、どのようなきっかけでこの道を志し、魅了されたのだろうか。及川さんが歩んできた道のりを伺った。

 

-大学では建築を専攻されたとのことですが、それにはいつ興味を持ったんですか?

宮大工に憧れたことがきっかけです。高校3年生のときに宮大工の西岡常一さんが書いた本を読んで、卓越した技術力やプロ意識に惹かれて建築の歴史を勉強したいと思ったんです。それまで自分のやりたいことが見つからなくてアルバイトばかりしていました。高校を卒業してからは家の事情もあって5年間ほど家事手伝いをしていたんですけど、どうしても大学で建築を勉強したくて24歳のときに東北工業大学建築学科に入学しました。

-ライター・編集者になろうと思ったのはなぜですか?

大学で建築の歴史を勉強に力を入れようと思っていたら建築デザインの方が面白くなってきて、デザイン系の先生と親しくなりました。それからデザインのほうに集中して学ぶうちに大学卒業も近づいて、いざ就活を始めたら全くうまくいかず、卒業後の進路に悩んでいたときにちょうど東日本大震災が起きたんです。震災から1ヶ月後、仲良くなった先生から「ArchiAid」という復興支援団体を立ち上げるから手伝いをしないかと声をかけてもらって、そこでweb上での発信や取材対応など広報の仕事をすることになったんです。建築家それぞれが、被災地をどのように復興させていくのかを真剣に考え、現実的なまちづくりを支援する団体なのですが、学生時代に憧れた有名な建築家の仕事を間近で見ることができて、とても刺激的な環境でした。復興が進むうちに、その活動をまとめた本を作ることになって、先生から「web発信を担当していたんだから及川さんも文章を書いてみなよ」と言われて書いてみたら「上手いじゃん!」って褒めてもらえたんです。そこで「私、文章書くの上手いんだ!」と気づきました(笑)。

-第三者から言われて得意なことがわかったんですね。

そうなんです。思い返してみれば、学生時代は建築家になるというより建築を伝えていく方が楽しそうだと思っていたし、そこから紙媒体を作りたいなと思うようになったのがライターになる始まりですね。

-ライターになると決意されてから、どのような仕事をしたんですか?

広告や印刷・出版を手がけるユーメディアという会社で川崎町のパンフレットを制作していました。そのうち関連会社のプレスアートでタウン情報誌『S-Style』の編集部に来ないかと誘われたんです。ずっと『S-Style』を見ていたので配属されたのはとてもうれしかったです。

-『S-Style』編集部時代に印象深い仕事はありましたか?

読者に人気のラーメン特集を任されることになって、なぜかやる前から自信があったんです(笑)。もちろんプレッシャーもあったんですけど、それ以上に任せてもらえる嬉しさのほうが強かったです。私は一人でラーメンを食べにいくことが好きなので、女性にラーメンを食べてもらいたいと思っていたんです。そこで、地元テレビ局のアナウンサーとアイドルにラーメンを食べてもらう「女とラーメン」という企画を立てました。自分の中ではかなり手応えがありましたが、周りの評判もすごく良かったんです。結果、その年のタウン情報全国ネットワークで設けた、全国のタウン誌の中から編集ページを審査する企画で3位をもらって、自分の手応えがちゃんと周りの人に届いたことがこのうえなく幸せでした。その時に、やっと胸を張って「私は編集者!」と言えると思いました。

-フリーランスになろうと思ったのはなぜですか?

『S-Style』では飲食店の取材がメインだったんですけど、もっと色々な人に会える仕事がしたかったんです。なので、フリーになったほうが仕事の幅も広がるんじゃないかと感じて決心しました。

-仕事をしていて、どんなときが一番楽しいですか?

誌面の構成案となるラフ案を書いているときですね。『かわさきあそび』は編集も任されていて、どこに何を置いて、文字はどんなふうに入れるかなど考えていると童心に帰るようで気持ちが明るくなります。あとは、やはり人に会うこと自体が楽しいです。ライターの醍醐味って、普段会ってあまりお話する機会がない人とたくさん出会えることだと思うんです。『SAKASO』という坂総合病院の広報誌を制作しているのですが、地域の方に向けた媒体だったので専門性のある話を深く掘り下げるというよりは、医師のプライベートな話を織り込みながら制作したんです。普段だったら具合が悪くならないと病院に行く機会はないし、治療以外のお話を聞けることがすごく貴重だなと思いました。

取材日:令和元年11月13日
取材・構成:佐藤 綾香
撮影:はま田 あつ美

前編 > 後編

及川恵子

1982年宮城県生まれ。大学で建築を学んだのち、2011年より建築家による復興支援団体「ArchiAid」にてプレスを担当。その際に書籍制作に関わったことで編集者の道へ進むことに。2013年より出版社「プレスアート」にてタウン情報誌「せんだいタウン情報S-style」などの編集制作に携わる。2017年よりフリーライターに。知ること、書くこと、そして人と出会うことが好き。旅、音楽、猫も好き。

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