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クリエイターインタビュー|佐藤 怜さん(後編)

武蔵野美術大学大学院を修了後、教員職を経て、株式会社佐々木印刷所へ入社した佐藤怜(さとう れい)さん。出身地である仙台への想い、デザイナーとして働く現在の生活について伺いました。

-では、次に子どもの頃の話を伺います。高校が宮城野高校で美術を選択されていたと伺いましたが、いつ頃からそういった分野に興味があったんですか。

高校に入った頃は、実はそんなに美術に興味があったわけではありませんでした。どちらかというとラグビーやサッカーなど、スポーツに打ち込んでいましたし。ただ、絵を描いたり、何かをつくったりすることは子どものときから好きでしたね。小学生の頃に描いた絵が、仙台市の地下鉄一日乗車券になったこともありました。

宮城野高校の美術科を受験したのは、「何かに特化した人になりたいなあ」という漠然とした思いからでした。実際に入学してみると、40人のクラスに男子が4人しかいなくて。ハーレム!? って期待して行ったらそういう雰囲気でもなくて(笑)。最初は結構とまどいましたね。

-美術科ということは、美術の授業に比重が置かれるんですよね。

そうです。16時間のうち、4時間が美術という日もありました。美術4時間、体育1時間、家庭科1時間の日とか最高でしたね(笑)。

-(笑)。印象に残っている授業などありますか。

論理的に美術を学べたことが印象に残っています。美術って感覚的なものだと思われがちですが、実際は結構論理的なところも多くて。例えば、「手」って指を曲げていくと中心に寄るつくりになっているんですが、そういう構造を理解した上で描くとより本物の「手」に近づいたりするんですね。もちろん感覚的な部分もありますが、それだけじゃないと教えてもらって、よりおもしろいと感じるようになりました。

あとは、油絵の授業も印象に残っています。小中学生のときに描くものとは全然違う、大きなスケールで描けるのがすごく楽しかったです。2年生のときに自分の専攻を選ぶんですが、私は作品の大きさに魅力を感じて油絵を専攻しました。

大学時代を振り返る佐藤さん

-専攻はほかにどんなものがあるんですか。

油絵のほかには、彫刻、日本画、ヴィジュアルデザイン、クラフトデザイン、がありました。それぞれに専門の先生がいらっしゃったり、校舎の1棟がすべて美術科の教室になっていて広いアトリエもいくつかあったり、今考えるととても恵まれた環境だったなと思います。

-大学は武蔵野美術大学へ進学されたんですね。大学でも油絵を学ばれたんですか。

大学では院も含めて6年間彫刻を学びました。

-それはまたなぜですか。

高校で油絵をやった後、彫刻にも興味がわいてきて、油絵と彫刻で受験したら合格したのが彫刻だけだったんですよね。

-どんなことがきっかけで、彫刻に興味を持ったんですか。

高校のときに見ていた、美術の作品集がきっかけですね。大きな立体作品がたくさん載っていて、それを見ているうちに立体にも興味がわいてきたんです。油絵のときもそうですが、大きな作品に魅力を感じるタイプみたいですね(笑)。

浪人して油絵で再挑戦することも考えましたが、描くこともつくることも最終的にはつながるものだと思ったので、彫刻科へ進学しました。

-つながる?

はい。何かを生み出すというか、つくるという部分では絵も立体も変わらないかなと。それだったらピンポイントに何かに打ち込むのではなく、少し視野を広げて、類するものも経験することが自分のためになると思いました。

-実際に入学されてみていかがでしたか

おもしろかったですね。木とか石とかいろいろある中で、私は特に金属に魅力を感じました。大学に金属の溶接設備もあって、憧れの「大きな作品」をつくることもできましたし(笑)。卒業制作でも金属の作品をつくりました。

卒業制作「River」。平成22年度武蔵野美術大学修了制作展にて優秀賞を受賞。写真:加藤 健

―大学を卒業された後で印象に残っている出来事について教えてください。

教員として働いていた頃に、夏休みに車で一人旅をしたことはいい思い出です。温泉が好きなので、行きたい温泉だけをいくつか決めてあとは自由な感じで。地元の人と仲良くなって一緒に飲んで、その地域のおもしろい場所を教えてもらったりして。行く先々できれいな景色を写真に撮り、動画にとしてまとめたりもしました。

2013年夏の一人旅をまとめた「travelling alone – Sea of Japan」。

 

友だちの実家がある地域だと実家に泊めてもらって、次の日に友だち抜きでご両親と自分だけでご飯を食べに行ったりもしましたね(笑)。

-(笑)。初対面の人でも抵抗ないんですね。

結構図々しいんです。小学4年生から中学2年生まで大阪に住んでいたんですが、大阪はやっぱりおもしろいおばちゃんが多くて。圧倒されっぱなしでしたが、人との距離のつめ方を学ぶいい勉強になっていたみたいです(笑)。

-絵を描いたり、金属を扱ったり、写真を撮ったり。いろいろなことをされるんですね。

そうですね。「つくる」という行為自体が好きですし、いろいろな経験をしたいという気持ちは結構強いかもしれませんね。

-今でも一人旅はするんですか。

最近はあまり行けてないのでぜひ行きたいですね。ただ、仙台は自然が近いので休日に山に行ったりとかはします。ぼーっと景色を眺めたり、写真を撮ったり。すごくいい息抜きになるし、日帰りで行けちゃうのは仙台ならではのよさですね。

-逆に仙台に足りないものとか、仙台にこんな人がいたらおもしろいとかはありますか。

そうですね、例えば金沢でいう21世紀美術館のような、地域のクリエイティブの拠点となる場所みたいなものがあったらおもしろいと思います。大きな拠点が1つあると、おもしろいものがそこに集まって、またそこからいろいろと派生して広がるじゃないですか。いろんな人がたくさん集まってくると思うので、もっとおもしろいまちになると思うんですよ。もちろん仙台にはメディアテークなどありますけど、シンボル的なものがもっとあってもいいんじゃないかと思いますね。

-では最後に、これから仙台でやってみたいことや挑戦したい仕事はありますか。

今はまだ入社したばかりで勉強中の身ですが、いつか自分が中心になって新商品開発ができたらいいなと思っています。仙台・宮城には地元に根づいたおもしろいものがまだまだたくさんあると思うので、そういうものをデザインの力で引きあげていきたい。「多くの方が喜んでくれる仙台らしいもの」をつくれるデザイナーになれるよう、がんばっていきたいです。

取材日:平成29年1月27日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:工藤 拓也

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佐藤 怜

宮城県仙台市出身。
高校では油絵、大学大学院と彫刻を学ぶ。
大学院修了後地元仙台に戻り、教育職など多方面にわたり経験を積み2015年より佐々木印刷所にデザイナーとして入社。
デザイン、彫刻、写真、メディアにとらわれずに活動しています。

1986 宮城県仙台市生まれ
2005 宮城野高校美術科卒業
2009 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業
2011 武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了(修了制作優秀賞受賞)

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