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クリエイターインタビュー|engawa 鈴木りさ(刺し子作家)

いつかは、古民家の縁側でゆったりと刺し子をしたいです。

仙台市を拠点に、東北の刺し子の技法を用いた雑貨を制作・販売している〈engawa〉鈴木りささん。鈴木さんの穏やかな人柄がそのまま落とし込まれた作品は何気ない日常に彩りを加え、ふわりと心を温める。今回は彼女が刺し子に魅了された背景を伺った。

―鈴木さんは北海道のご出身ですよね。

そうです。でも母が出産のために里帰りしていたので、生後数ヶ月にはすぐ仙台へ移りました。転勤族ということもあり関東や東海地方に住んだあと、仙台には進学のために戻ってきたんです。高校の授業で簿記を学び、その授業が楽しかったので経理の専門学校に進学したのですが、深く学ぶうちに自分のやりたいこととは違うなと思い、専門学校卒業後は販売職に就職しました。

―刺し子とはどのように出会ったんですか?

体調を崩して仕事を休んでいた時期に通院していたのですが、絵を描いたりものを作ったりしてリハビリを行う作業療法室という場所があったんです。ちょうどそこに、(※)こぎん刺しの材料が置いてあったので軽い気持ちで手に取ったのが始まりです。同時に、県の施設の中に不登校の学生さんなどのハンドメイド作品を販売している手作り雑貨屋があったんですけど、そこにボランティアとして出入りしていました。最初は学生さんと同じものを作っていたのですが、職員の方に途中から自分の好きなものを作って販売していいよと言われたので「じゃあ、最近始めたこぎん刺しで何か作ってみよう」と思い、色々なものを作って販売してみました。そのときはハンドメイド雑貨の相場もよくわからなかったので小物を安価で販売していました。作れば作るほど売れたので、生産が追いつかない状況でしたね(笑)。

※こぎん刺し:青森県津軽地方に伝わる刺し子の技法の一つで、一般には青い麻布に白い木綿糸で刺す。他の刺し子との違いは、縦の織り目に対して奇数の目を数えて刺すこと。

―何気なく出会ったこぎん刺しに夢中になった出来事はありますか。

こぎん刺しを始める前から刺繍をやってみたいなと思っていたところ、友人に古民家に連れて行ってもらったんです。そのときにすごく落ち着く空間でいいなと感じて、それから古民家が気になるようになり自然と和物にも興味を持つようになりました。刺繍で和物だということから、私の興味にこぎん刺しがぴったり合ったんです。

―刺し子を仕事にしようと思ったきっかけを教えてください。

販売目的で始めたわけじゃないので、完全に成り行きです(笑)。はじめはお世話になっていた手作り雑貨屋がお店を閉めることになったのがきっかけで、せっかく作品を作っているし自分で売り場を探さなくちゃいけないなと思ったんです。それがきっかけで刺し子作品の売り上げなどを伸ばしたいと考えるようになりました。

―なぜ「engawa」という屋号をつけたんですか?

古民家が好きなので、将来は古民家の縁側で刺し子をしたいなという願いを込めました。作業場もそういう場所を探しています。いまはイベント出店が中心ですが、オンラインショップにも力を入れていきたいです。

鈴木さんの刺し子作品、ピアスとブローチ。

-刺し子のどういうところが好きですか?

刺し子をしていると本当に心が落ち着きます。あと私がイベントに出店したときに、以前購入してくださった作品を身につけて私に会いに来てくれるお客様もいらっしゃるのですが、普段使いしてくれていることがわかるとすごく嬉しいですね。

-ご自身の作品を販売するうえで悩むことはありますか?

新しい作品を増やそうとしているのですが、価格をつけるときが一番悩ましいです。材料と自分の作業量を考慮して本当に売りたい価格をつけるとあまり売れない。だからといって安く設定しても、趣味の範囲でやっていたときのように生産が追いつかなくなってしまいます。現状はその間をとった価格をつけなければならないので商品力を上げるためにインスタグラムに載せる写真などをこだわったり、色々な専門家の方にアドバイスをいただきながら前進していきたいと思っています。

 

 

engawaのInstagram(https://instagram.com/engawa.jp)とwebサイト(http://engawa-japan.strikingly.com

―今後チャレンジしたいことはありますか?

今作っている作品のほとんどは昔からある模様を用いているのですが、今後は自分でアレンジして模様を作りたいです。あとは服作りにも興味があるので、刺し子を施したワンピースなども展開したいと思っています。

-最後にクリエーターを目指す方へメッセージをお願いします。

私はクリエーターになろうと志して活動をはじめたわけではないのですが、一つお伝えするとすれば、活動を続ける中で様々な困りごとが出てきます。そのときにどなたか信頼できる相談者を見つけておくことが、活動を続けていくうえで大切なことではないかと思っています。新鮮な視点が得られるので、とても心強いです。

取材日:令和2年2月13
取材・構成:佐藤 綾香
撮影はま田 あつ美

engawa 鈴木りさ

北海道生まれ、仙台在住。庄内刺し子やこぎん刺しの伝統柄に魅了され、2013年より刺し子の技法を学び、雑貨の制作を開始。自然や北欧が好きで、四季の移り変わりに注目しています。東北の冬は寒くて長いですが、そんな環境の中から生まれた刺し子が大好きです。

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