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クリエイターインタビュー|髙橋 聡さん(後編)

仙台の伝統工芸品である堤焼の「堤焼乾馬窯」で修業した後、独立した陶芸家の髙橋 聡(たかはし さとし)さん。宮城野区宮千代にある工房「環窯(たまきがま)」で作品を作っている髙橋さんにお話を伺いました。

―工房を地元の仙台で開こうと思った経緯を教えてください。

地震がきっかけというのもあって仙台以外は考えていなかったですし、知らない土地に行って一から始めるというのは、自分には無理だなと思いました。京都で勉強していたときも就職先としては考えていなかったです。ご縁があって堤焼乾馬窯で働かせていただいたので、そこからずっと仙台でという感じにはなっていますね。

 

―堤焼乾馬窯に入られたきっかけを教えてください。

京都から帰ってきた時に堤焼乾馬窯の師匠がメディアテークで展示会をやっていました。少し話す機会があって、来ても良いと言っていただいたのがきっかけです。

 

―堤焼乾馬窯時代と現在で、「仙台での仕事のしやすさ」を感じるのはどんなところですか?

兄弟子とかは県南とか、市外でやられている方も結構多いんですけど、その地域に人が多くないので、そういう意味では、市内は人が多いので有利ではあるのかなという感じはしますね。仙台は地方から転勤で来て、また転勤して行くという方が多いので、お客さんとして定着するのはなかなか難しいということを聞いたことがあるんです。でも、わたし自身、それはあまり感じてないですね。

―仙台での仕事のしづらさは感じますか?

焼物をやられている方の中には、自分で粘土をとってくる方がいるんですけど、僕が仕事をしている住宅地では無理なので、通販で買っているんです。自分でとってきた粘土というのは土味(つちあじ)がよかったりするので、羨ましいなと思いますね。

 

―ちなみに、どこの土を使うということは決めているのですか。

そうですね、岐阜とか、瀬戸とか、そちらのものを使っています。生地の色で釉薬の発色が変わってくるので、発色が良くなるような色の土を選んで使っています。

 

―職人として仙台に期待することはありますか?

最近はクラフトフェアとかが増えてきているので、そういうものがもっと増えれば、仕事がしやすいのかなと思います。横のつながりがあれば、それだけ仕事の広がりもあるので、知り合いが増える機会があればと思います。

―どこか定期的にクラフトフェアに出していますか。

今は定期的には出してないですね。立町にあるorigami sendaiさんに常設で置いてもらっています。あとは期間限定ですけど、東急ハンズさんにも置いてもらっています。東急ハンズさんとは、以前仙台商工会議所さんが主催したイベントがきっかけで、商談会の話とかをメールでご連絡いただけるようになったんです。

 

―髙橋さんご自身で営業に行かれることはあるのですか。

営業はあまり得意ではないのですが、卸町にある陶器の卸会社・瀬戸屋さんに持って行ったことがあります。そのあと、藤崎の催事に出させてもらえるようになって、ちょっと仕事が増えましたね。

 

―開業してみて、大変だったのは何ですか。

やっぱり、収入が安定しないということですね。最初は仕事がないですし、どうしていこうかと本当に悩みました。つくり続ければいいと最初は思っていたんですけど、売り先もないし、つくった分だけ在庫になってしまうし、どうしようもないなと思ったことがありましたね。どっちかと言えば「やりたい!」という勢いまかせで、始めてしまったので、経営の方は全然わからなくて。僕が言えることとすれば、頭で考えるよりも、実際に行動に移してみないと、状況は変わらないということですね。

―京都の伝統工芸の学校では、陶芸技術を学ばれたとのことですが、工房の経営に関する授業はなかったですか。

座学でそういう授業はありましたけど、「経営とはこういうもの」という概要でしたね。

 

―経営とは別に、作品をつくられる中で苦労したことはありますか。

同じものをつくり続けるっていうのは、多分できないのかなと思います。定番商品として、」「こういう形」というのはあるのですが、やっぱりそれも、少しずつ変えていく。飽きられてしまうので、だんだん変えていってつくり続けるというのは、結構大変なのかなと思いますね。改善していくというのはあるんですけど、今までにないものをつくっていかないといけない。

―陶芸家として、ご自身で考えた作品ではなく、お客さんからのオーダーに応じて作ることに抵抗はありませんか。

ものによりますね。「ちょっとそれは…」というのもあります。ただ、抵抗があるものでも、やってみたら意外と反応がよかったりすることもあるので、選り好みせずにやってみるのも大事なのかなとは思いますね。

 

―環窯のアピールみたいなのあれば、教えてください。

使っていただいた人の生活に潤いが持てるようなものを目指してつくっているので、そういう意味を感じてもらえたらいいかなと思います。

 

―この工房はいつでも来ていいところなのですか?

基本的に大丈夫なんですけど、入るのに勇気はいると思いますね。入ってくる人は、相当、用事があるか、何かあるんじゃないかと思いますね。一応飾り棚を展示スペースにはしているのですが…。

―職人を目指して勉強中の方、なりたての人に伝えたいことはありますか。

自分がまだこういう状態なので、何かを言うのも立場的にどうなんだろうとは思うんですけど、何か行動してみれば何かしらの結果が出るということを何となく感じているので、何か動いてみるのがいいんじゃないかなっていうのは言えるかなと思います。

取材日:平成29年7月26日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:岡沼 美樹恵

前編 > 後編

髙橋 聡

堤焼乾馬窯4代針生乾馬に師事

2015年 環窯開店

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