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クリエイターインタビュー|小野寺 志乃さん(前編)

デジタル工作機器を備えた、まちの図工室「FabLab SENDAI - FLAT」を拠点に、プロダクト製作からワークショップ開発までさまざまな仕事を手がける小野寺志乃(おのでら しの)さん。仕事の軸でもある「つくる」とは、彼女にとってどんな意味を持つことなのか、お話を伺いました。

 

―まずは、今のお仕事について教えていただけますか?

いろんなことをやっていますが、大きくは「つくる場をつくる」と「ものをつくる」の2つに分けられますかね。前者は、拠点である「FabLab SENDAI – FLAT(以下、ラボ)」の運営、ラボ内外でのワークショップやセミナーの企画運営、デジタル工作機器の導入支援、似たような機能を持った工房の立ち上げ支援などが具体的な仕事になります。後者は、プロダクトを中心とした受託製作が中心で、ラボにある機械を使った製作の依頼が多いですね。

―「つくる」を軸に、いろんな仕事をされていますが、やっぱり子どもの頃からつくることは好きだったんですか?

はい、いろんなものをつくって遊んでいた記憶はありますね。母の実家が書店だったんですが、売れ残った子ども雑誌の付録を大量にもらってくるのが楽しみの1つでした。ただ、つくり方が書いてある雑誌本体の方は返却しないといけない決まりになっていて。

―説明書なしでプラモデルを組み立てる、みたいなことですね。

そうなんです。でも、付録だけは大量にあったので、何個かつくっているうちに構造がわかってきて、完成形に近いものはつくれてたんですよね。

―すごいですね。

もちろん当時は意識していませんでしたけど、つくる力のトレーニングにはなっていたのかもしれませんね。

―他に、そういう経験ってあったりします?

リカちゃん人形の洋服を自分でつくったり、パソコンのお絵かきソフトでデータつくってオリジナルのTシャツつくったりとかですかね。

―それはいつ頃のことですか?

小学生ですね。仕事の都合もあり、両親がパソコンを早くから使っていてお古をもらったんです。そういうつくるための道具が揃っていたというのもありますが、欲しいものはつくってみる、というような子どもでしたね。

―子どもの頃から好きだった「つくる」を、仕事にしたいなと思ったのはいつ頃なんですか?

高校生くらいだと思います。はっきりとしたきっかけは覚えていませんが、多分本か何かでプロダクトデザイナーという仕事があることを知り、おもしろそうだなと思ったんですよね。

―宮城大学の事業構想学部デザイン情報学科に進学し、その後慶應義塾大学の修士課程に進まれています。それぞれどのようなことを学んだんでしょう?

宮城大学は、学部名の通りデザインだけではなく起業・経営できる人を育てようみたいなことでカリキュラムが組まれていて、簿記とかも学びました。ただ、プロダクトデザインを専門にしている先生がいらっしゃらなかったこともあり、私としては少し正直物足りない部分があって。プロダクトデザインをもっとしっかり学びたいと考え、慶応のSFCにある政策・メディア研究科エクス・デザインプログラムに進学しました。

―なるほど。

私が入ったのは、今はもう東大移られてしまったんですが、山中俊治さんの研究室です。プロダクトデザインを通して、潜在的な社会課題を顕在化・解決することが大きなテーマとしてあって、「義足」「生きもののようなロボット」「知育玩具」「人工衛星」などに分かれて研究を行っていました。

―分野が多様ですね。

そうですね。一応分野に所属はするんですが、大テーマである「社会課題」につながっていればそこまで厳しい制限はなく、一人ひとりがやっている研究はさらに多様でしたね。私は知育玩具分野で、布の編み目を模した色彩教育の知育玩具の研究をしていました。

同じパーツの組み合わせでも、編み方を変えるだけで表情や感触が変わるそう

―しっかりと「つくること」に向き合った2年間はどうでした?

すごくおもしろかったですね。周りは学部生の頃からプロダクトデザインを学んできた人ばかりで、スキルもすごかったんですが、積極的な姿勢にはとても刺激を受けました。それと、私が所属していたエクス・デザインというプログラムは、コミュニティデザインや建築など8つの研究室に分かれているんですが、すべての研究室が研究の進捗を報告し合う定例のミーティングがあって。全然違う分野の方からの質問や指摘を活かして、いろんな方向性で自分の研究を考えることができて、とてもおもしろかったです。

一方で、自分でものをつくるより、誰かが何かをつくるときの素材や道具を開発したり、つくることを支援することに目が向き始めたのもこの頃で。

―それが、今のお仕事の2本柱の1つ「つくる場をつくる」につながっているわけですね。

そうなんです。

取材日:平成31年3月5日
聞き手:仙台市地域産業支援課、工藤 拓也
構成:工藤 拓也

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小野寺志乃

FabLab SENDAI – FLAT マネージャー・デザイナー/一般社団法人FLAT 代表理事

1989年宮城県仙台市生まれ。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修了。2013年よりFabLab SENDAI – FLATにおいて、デジタル工作機器を備えた図工室の運営のほか、ワークショップやプロダクトのデザイン・制作に携わる。

ライフワークとして、宮城県内の和紙産業にフォーカスしながら、(伝統)工芸・素材・技術からものづくりの未来を考えるをテーマに、デジタルとクラフトをゆるやかにつなぐための技術・商品開発にも取り組んでいる。

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