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クリエイターインタビュー|小野寺 志乃さん(後編)

デジタル工作機器を備えた、まちの図工室「FabLab SENDAI - FLAT」を拠点に、プロダクト製作からワークショップ開発までさまざまな仕事を手がける小野寺志乃(おのでら しの)さん。仕事の軸でもある「つくる」とは、彼女にとってどんな意味を持つことなのか、お話を伺いました。

 

―大学院を出た後、すぐに今の仕事を始められたんですか?

当時、FabLab SENDAI – FLAT(以下、ラボ)は別の会社が運営していて、そこに入社したのが大学院を修了した翌年の1月です。それまで半年くらいは、アルバイトをしながら和紙職人を目指していました。

―それは、大学院で「つくることの支援」への関心が高まり、ものづくりの「素材」として和紙に魅力を感じたから、ということですよね?

まさにその通りです。

―どうして和紙だったんですか?

アクリル板などと違って、和紙は簡単に分解できますよね、繊維の集まりなので。単に紙として使うだけではなく、ほぐして紐にしてみたりとか、素材自体で遊べる点がおもしろいなと感じたんです。

―他にどんな素材が好きなんですか?

素材は全般的に好きですね。いろんな素材を集めた「マテリアルライブラリ」が世界中にあるんですけど、それを巡るために旅行したりもしましたね。

―日本にもあるんですか?

2箇所だけですけど、ありますよ。できることなら、仙台にマテリアルライブラリをつくりたいなと思って、規模は小さいですけどラボでも素材を自由に触れるようにはしています。

さまざまな素材を手に取ることができる、FLATのマテリアルライブラリ―

―FLATに入社され、その後組織改編で一般社団法人を立ち上げ、現在は「つくる場をつくる」「ものをつくる」仕事を2人でやられているとのことですが、どんな役割分担なんでしょう?

「ものをつくる」仕事で言うと、プログラムなどデジタル工作が得意な大網が中身をつくって、私が見た目の部分をデザインすることが多いですね。必ず一緒につくるというわけでもなく、ものによっては別々で動きます。レクチャの講師としての仕事は大網が、ワクショップの企画や運営は私がメインで動いています。あと、社団法人の運営部分の裏方仕事は私がやっているという感じですかね。

ともにFLATを切り盛りする大網さん

―今、仕事のどんなところにおもしろさを感じていますか?

「つくる場をつくる」「ものをつくる」、どちらもいろんな種類のお仕事があることがおもしろいですが、1番はワクショップにおける改善運動ですかね。

―改善運動? ですか?

手順ごとの時間配分など、プログラムの組み立て方はもちろんなんですが、参加者の方にどんな言葉をかけてあげるとモチベションが上がるのか、より楽しんで取り組んでくれるのかということまで考えながら、少しずつ調整をかけていく過程がすごくおもしろくて。地味だしなかなかわかりにくい部分ではあるんですが、年間40本近いワクショップをやっているので、かなりノウハウは溜まってきています。

―それはおもしろいですね。

これはWOWさんとやらせていただいた仕事なんですが、大きなお面に目が行きがちですが、普通のサイズのお面を子どもたちと一緒につくるワクショップもやらせてもらっていて。子どもたちが楽しんで、かつ難しさを感じないよう、見えない部分でかなり工夫をしていたりします。

ラボも、ちょっと今ごちゃごちゃしちゃっていますけど、どうすればユさん同士が会話しやすくなるか、スタッフに声をかけやすくなるかなどを考え、什器などの配置も定期的に見直しているんです。

FLATのお2人は大きなお面(0:13〜)の製作と、お面づくりのワ―クショップ(0:52〜)を担当した

―全国にはいろんなFabLabがありますが、ユ―ザ―さんの属性とか、FLATさんの特徴ってどんなところでしょう?

隣県も含め大学が多いので、卒業制作などで利用する学生さんが多いというのは特徴だと思います。他のラボは、「デジタル工作命」みたいな男性が多いみたいなんですが、うちは女性の利用も多く、平均年齢も低めですね。高校生が趣味で通ってたりとかもありますし。

―高校生、なにつくってるんですか?

ベイブレドつくってますね。大会があるらしくて。最近はタトゥの彫り師さんがいらっしゃったりとか、本当にいろんな方に使っていただいていますね。

―高校生とタトゥ―の彫り師さんが出会う場って、なかなか貴重ですね。

本当に、これはうちのラボの価値だと思うので、引き続きいろんな方に使っていただける場でありたいですね。

―やっぱり、たくさんの人に「つくる」を楽しんでほしいですか?

これは大網ともよく話していることなんですが、みんながみんなつくれるようになる必要はないと思っていて。ただ、体験などを通してものがつくられる過程を知り、価格の根拠まで考えて買いものをする人が増えれば、つくり手が買い叩かれるようなことも減っていくかな、そのきっかけになれればなという思いはありますね。

―何か他に、今後の展望はありますか?

1番は、人を育てたいです。ありがたいことに外に出る仕事も増えてきていて、どちらかがラボにいけないとなると、やはりちょっと動きが悪くなってしまうので、そんなときにラボの運営を任せられるようなメンバがいるといいなと思っています。あとは、木工とか金工の作業ができる場所が欲しいですね。簡単な作業であれば今のラボでもできるんですが、本格的な作業になってしまうと木屑などが大量に出るので、デジタル工作機器と同じスペスでは難しいんですよね。

―支店をつくるか、大きな場所に移転するか、ということですかね。

ですね。そうすればマテリアルライブラリも、もっと大規模に展開できますしね。

―では最後に、クリエイティブな業界で働きたいと思っている方にメッセ―ジをお願いします。

学生さん向けのメッセジになりますが、ビジネススキルは社会に出てから学べるので、つくるためのいろんな技術に触れてほしいですね。身につけておいて損なものはないので。あと、自分がやったことをまとめる癖はつけておいた方がいいです。これは自戒も込めてなんですが。で、1番大事なのが、誰よりも自分が楽しむこと。そういう空気って周りにも伝わって、仕事にもつながったりするし、楽しんで取り組めた仕事の方がやっぱりうまくいくんですよ。

取材日:平成31年3月5日
聞き手:仙台市地域産業支援課、工藤 拓也
構成:工藤 拓也

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小野寺志乃

FabLab SENDAI – FLAT マネージャー・デザイナー/一般社団法人FLAT 代表理事

1989年宮城県仙台市生まれ。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修了。2013年よりFabLab SENDAI – FLATにおいて、デジタル工作機器を備えた図工室の運営のほか、ワークショップやプロダクトのデザイン・制作に携わる。

ライフワークとして、宮城県内の和紙産業にフォーカスしながら、(伝統)工芸・素材・技術からものづくりの未来を考えるをテーマに、デジタルとクラフトをゆるやかにつなぐための技術・商品開発にも取り組んでいる。

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