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クリエイターインタビュー|大和田 詩織さん(前編)

日本デザイナー芸術学院仙台校を卒業後、ハリウコミュニケーションズ株式会社に入社した大和田 詩織(おおわだ しおり)さん。デザイナーとして活躍する大和田さんに日々のお仕事についてお話を聞きました。

 

―学生時代からハリウコミュニケーションズ(以下、ハリウ)入社までの経緯を教えてください。

高校卒業後、仙台市内にある日本デザイナー芸術学院仙台校に進学しました。2年生のときに、インターンシップでハリウを紹介していただいて、そこからインターン生としてお世話になり、その後に入社という流れでした。出身は岩手なのですが、地元に比べて仙台は交通の便が良いですし、実際に一人暮らしをしてみて気候や街の雰囲気が住みやすいと感じたこともあって、仙台で就職をしようと考えていました。

 

―インターンシップはどのくらいの期間でしたか。

2011年の10月初旬から翌年の3月末くらいまでですね。その後は「入社しますか?」みたいな流れで改めて面接していただきました。面接で何を聞かれたのかは忘れてしまいました(笑)。

―専門学校に入る前から、デザイナーになりたいと思っていたのですか?

小さいころから、モノをつくるのは好きで。図工とか美術とか、すごく好きだったんです。高校も普通の高校に行くより、モノづくりに関わるようなところに行きたいと思って、食物科のある学校を選びました。転機は、文化祭です。ケーキの上に乗っているサンタさんの砂糖菓子をマジパンというのですが、文化祭で展示するマジパンのデザインをしてくれる? と先生に言われてイラストを何枚か描いて。自分の考えたものが実際に形になったのを見たとき、「こういうのも良いなぁ」と感じてデザインの道に進もうと思いました。

 

―調理師の免許を取る学校などに行こうとは思わなかったですか?

卒業と同時に調理師の免許が取得できる学校で、デザインを学んでみたいというきっかけがあったので、さらに調理を学ぶことは考えませんでした。

 

―専門学校ではグラフィックデザインを学んだのですか?

はい。デザイン学科のグラフィックデザインコースに入って、デザインに関わる基礎や考え方、イラストについて学びました。

 

―マジパンの制作がきっかけでデザインに興味を持ったのに、立体ではなくグラフィックの方を選んだ理由はなんですか?

商品のパッケージだったり、店舗の看板だったり、平面でも立体に繋がることもあると思ったからですね。

―ハリウさんでは、印刷物などのグラフィックデザインをつくることが多いのですか?

イベントのチラシやポスター、施設・学校関係のパンフレットなどが多いです。

 

―チラシとポスターのように、印刷物の大きさが変わると、デザインの仕方は違いますか?

そうですね、チラシは手に取って見てもらうもの、ポスターは遠くからでも分かるようにと役割が違うので、載せる情報量や文字の大きさでレイアウトは変わってくると思います。でも、単純に拡大縮小するパターンもあったりします。

 

―イベントによって求められるデザインは変わると思いますが、得意なデザインはありますか?

堅めのものよりも、イラストを使ったようなちょっと楽しげな雰囲気ものの方が得意かもしれません。イラストは、アイコンやパーツなどの簡単なものだったら自分でつくりますが、紙面に大きく載せるものや挿絵などはイラストレーターさんや絵が得意な方に頼むことが多いですね。

 

―お願いするイラストレーターさんは決まっているのでしょうか?

仕事によっては決まっていたりもしますが、制作物に合ったテイストのイラストが描ける方にお願いしています。

―デザインのお仕事は、学校を卒業して現場ですぐにできるものなのでしょうか?

すぐにはできないのかなと思います。始めは文字修正とか。学校で教わるのは、基礎の基礎なので、働いてみないと分からないことはたくさんあると思います。働きながら学んでいって、分からないことは調べたり、詳しい人に聞いたり。あと、1人では難しい仕事内容は、何人かで協力して取り組むこともあります。

 

―普段の仕事の内容と一日のスケジュールを教えて下さい。

8時半始業で、出社後に朝礼があって、それが終わったら部内の軽い打合せをします。打ち合わせでは、一日の仕事内容を確認し合って、そこから作業に入ります。

 

―クライアントと直接打合せをすることもあるのですか?

上司に同行して打ち合わせに参加することもありますね。

 

―デザインのオーダーは漠然とした状態なのか、ディテールが決まっていて渡されるのか、どのような感じですか?

どちらの場合もありますね。「こういう雰囲気のもので」と、見本を持って来ていただけるときもあれば、もう、まっさらで「お任せします」というものもありますよ。

 

―どちらがやりやすいですか?

見本があると完成のイメージはしやすいですね。逆に何もない状態は、自由ではあるんでが、後から大幅変更もたまにあったりします(笑)。そういう場合は、何案か出して、「これとこれを合わせて」みたいな感じも多いです。

―ハリウさんでは仙台市などの行政のコンペ案件も関わっていますよね?

ありますね。毎年決まった時期にお声掛けいただいているコンペもあったりしますが、もうそんな時期かと毎年思いますね。どんなコンペも試行錯誤しながら準備しているので、採用していただいたときは嬉しいです。

 

―最近コンペで取った仕事を教えて下さい。

昨年の印刷工業団地内でのコンペで採用をいただきました。岩手県にある塗料を扱う企業様のプロモーションツール提案で、塗料に関して全く知識がなかった私自身はどうしたらいいのかと不安がありましたが、先輩方の仕事の進め方だったり、他社のプレゼンを見れる良い機会でもあったりと、学ぶことが多かったですね。

 

―デザインしたものを自社で印刷すると思うのですが、どういう色味、素材の紙で…など、印刷側にも関わることはありますか?

この紙に印刷したら文字や色味はどうなるかだったり、仕上りに間違いがないように、不安に思う部分は対処法を聞いたり、見本をつくっていただいたりもしますね。

 

―普段はチラシの仕事が多いということですが、私たちが目にしているチラシもありますか?

施設や学校のイベントチラシが多いので、そういった場所に行かれているなら目にしているかもしれませんね。

取材日:平成29年11月13日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)、岡沼 美樹恵
構成:岡沼 美樹恵

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大和田 詩織

1991年生まれ、岩手県出身。
2012年 専門学校 日本デザイナー芸術学院仙台校・デザイン学科卒業。同年、ハリウコミュニケーションズ株式会社に入社。主にポスターやチラシ、パンフレットなど印刷物の制作に携わる。

15回デザイングランプリTOHOKUにて東北地区印刷協議会会長賞受賞。

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