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クリエイターインタビュー後編|櫻井 鉄矢

ビジネスは大義名分が大切。どんなビジネスでも必ずピンチはやってくる。根底にあるものが正しければ、会社は救われる。困っている人を助けることが僕の大義名分。

 

-アイリスオーヤマの大山会長とはどういう繋がりがあったのですか。

幼少期、家が貧乏で近所の工場から、霧吹きの先端を作る内職を請け負ってやっていました。そして、その会社は数十年後にアイリスオーヤマという名前になりました。スゴイですよね。そういう関係もあって、大山会長のことは子供の頃から知っていました。
大人になってから、経営者が集まる会合に参加させてもらった時に、あらためてご挨拶をさせていただく機会がありまして。「おお、お前はあの時の子供かぁ!」なんて、言っていただきましたね。

-人の縁とは面白いものですね。

私も大人になって、きちんとご挨拶が出来て嬉しかったです。しかも、現在大山会長にはサムライアロハへの出資者の一人としてお世話になっています。
ご挨拶をした時にサムライアロハのことを説明し、資金不足で困っていることを話すと、二つ返事で個人出資をしてくれることになりました。また、そこに居合わせた東洋ワークの須佐尚康社長、今野印刷の橋浦隆一社長にも共同出資者としてお世話になっています。
なかでも大山会長には金銭面だけでなく、経営についても助言を頂くなど、本当に感謝しています。

-どんな助言をいただきましたか。

ある日、大山会長から自分の商品は好きかと聞かれ、好きだと答えました。すると、大山会長からは、「だからお前はダメなんだよ」と言われてしまいました。そして、自分の商品を嫌いになれとも言われました。

-まさかの答えでしたね。その真意とはいかに。

私も驚きました。その答えの真意は、自分の商品を嫌いになれば、アラが見えてきて、より良いものに改善が出来るというものでした。この言葉は今でも私の経営理念の一つとして強く根付いています。

―自社の商品を愛することも重要ですが、時には離れて見ることも大切なことですね。

-海外進出もされ、大手百貨店のでの販売も始まり、まさに順風満帆ですね。

おかげさまで数多くの顧客との取引が始まっていますが、売れるようになるとそれはそれで問題も起きやすくなります。売れない悲劇もありますが、売れる悲劇というものも実際にありました。
着物の端材を使ってテディベアの販売をしようと思い、お母さん達と相談し、これは売れるぞと意気揚々と製品化までこぎつけました。しかし、サムライアロハに賛同していただいた方達に評判が広がり、卸から販売に至る中間問屋に多くの人が介入してしまったことで、販売価格が高騰し、テディベア1個の価格が39,800円となってしまいました。
テディベアの1つの値段が4万円弱って、ちょっと違うなと思い泣く泣く製造をやめることにしました。残念な気もしますが、しかたがなかったですね。その時は大山会長にも、中間に人を入れるからダメなのだと、お叱りをいただきました(笑)。

-櫻井さんのお話を聞くと、会社経営の根底には「誰かのために」という温かさを感じました。

目の前で困っている人がいると何か力になってあげたいなって思います。サムライアロハとは別に、風評被害にあった食品メーカーと共に冷凍食品のおかずを配達販売する「ごちそう便事業」を始めたり、住めなくなった家を解体する費用の足しになればと「空き家鑑定事業」なども始めました。
目先のお金儲けではなく、まずは目の前で困っている人をどうにかしてあげたらなという思いが先行し、事業を始めているものがほとんどですね。お金儲けが悪ではありませんが、ビジネスをやる意義、大義名分をしっかり固めることが何よりも重要だと考えます。

-櫻井さんの気持ちと今までに培われた経験や知識が今に生かされていますね。

震災は神様が僕に与えた試練だったのかなって思うこともありますよ。それまでに経験した仕事や知識はこの日の為に用意されたものだったのかなと。
また震災後に両親のディサービス事業を手伝う中で、いろいろと悪いことが重なり、巨額の支払いが発生してしまい、銀行からもお金が借りられず、いよいよ会社を潰すしかないということが起きました。もうダメだと会社に戻ると、そこには個人の預金通帳を持った従業員たちがいて、自分達のお金を使ってくださいって言ってくれるのです。その光景は今でも鮮明に覚えています。従業員たちからの優しさが会社を救ってくれました。
その出来事が今のビジネスの礎になっているのかもしれません。困っている人を助けるために。働く従業員のために。その強い思いがあってこそ、事業を続けられるのではと思います。ビジネスをする上でピンチは必ずやってきます。しかし、根底にあるものが正しければ、会社は救われるはずです。

-今後の展望などございますか。

東北のクリエイターさんの作品をもっと知ってもらう場所、それが仕事になれる場所として、オークション形式のネットショップを作りたいなと思っています。東北の地は、外部からの情報が少ない分、他からの影響を受けず、オリジナリティの高い作品が多いと感じています。
せっかく魅力的な才能があるのに、食べていけないからと雑誌の仕事や広告業に就いたり、全く別の仕事をしたりするのはもったいないなって思いました。そういう人たちが集まれるような美術館を作りたいなと考えています。

―櫻井さん人柄の良さ、思いから形にするまでの実行力の高さ。目の前で困っている人を助けてあげたいという大義名分があるからこそ、多くの方に支えられ、多くの方から慕われ、一つ一つのビジネスが成り立っているのだと強く感じました。これからも櫻井さんの挑戦に目が離せません。
この度はお時間を頂き、ありがとうございました。
自分の誕生日プレゼントとしてサムライアロハが欲しくなりました。

取材日:令和2年1月13日
取材・構成:木戸 靖貴
撮影:豊田 拓弥

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櫻井鉄矢

1981年生まれ、宮城県岩沼市出身。明治大学経営学部会計学科卒業、株式会社大黒屋入社。大阪店店長、新宿店店長を経てフランチャイズ課課長に就任。2011年東日本大震災により実家が被災し、実家の復旧の為に退社、2012年にノウハウを活かし、大黒屋とフランチャイズ契約を結び独立。2016年現在、仙台市内に3店舗を構える。 20159月、待機児童を抱える主婦へ、子育てをしながら出来る仕事として中古着物を反物にし、アロハシャツに加工するサムライアロハ事業を開始。

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