仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム

features

クリエイターインタビュー|濱田 直樹さん(後編)

時に家業を手伝い、時に公的機関に勤めながら、音楽を軸にさまざまな仕事をされてきた濱田直樹(はまだ なおき)さん。仕事に対する考え方や、東日本大震災をきっかけに起こった変化、仙台での暮らしなどについてお話を伺いました。

―お休みの日とか、オンオフは切り替える方ですか。

僕はないですね。オンオフはないのが1番いいと思っています。仕事していても「個」みたいな部分が出た方がいいと思っているし。

メディアテークにいたときも、特に意識的に切り替えたりはなかったですね。仕事が片付けば就業時間中でも散歩に行ってましたし(笑)。僕はその方が気分転換できて、ずっと机に向かっているより仕事が進む人なので。

―他に、仕事をする上で大事にしていることはありますか。

特にメディアテークにいたときに感じたことですけど、柔軟さは大事かなぁと。公共の場所って公共が故のルールも多いじゃないですか。でも実際は、人によって状況とか環境が違ったりするので、それぞれに合わせた柔軟な対応を求められることがよくありました。例えば、津波でパソコンを流されて震災の記録作業ができない状況の方に、本来は貸し出すことができないパソコンを貸していいのかとか。そういう判断ってすごく難しいじゃないですか。

―行政はそういう状況に迫られることが特に多いですね。

だから、ルールはルールであったとして、いかにその中に柔軟性を取り入れられるかみたいな、すごく難しいですけど、そういう姿勢でいることは大事なんじゃないかと思います。

―仕事の中でうれしいと感じるのはどんなときですか。

やっぱり、リアクションがもらえたときですかね。企画の仕事はリアクションをもらえないことの方が多いので。例えば音楽イベントだと、表に出ているアーティストと違って、裏方はなかなか評価対象にならないんです。そんな中、ちょっとマニアックな人たちが僕の仕事を見てくれて「よかったよ」とか言ってくれるとすごくうれしいですね。

―では、仕事で難しいと感じるのはどんなことですか。

基本的なことですけど、誰かと一緒に仕事をするときにイメージをうまく共有することが1番難しいと思います。それぞれに使う言葉も違えば、その言葉の受け取り方も違うので。妥協せずに、1度伝えてだめだったら伝え方を変えてみて、いろんなドアをノックするみたいな感じで相手に伝えることを大事にしています。それでもうまくイメージを共有できないこともあったりしますけどね。

―仙台で今後チャレンジしてみたいことってありますか。

イベンターとして音楽だけでなくいろんな分野に関わってきたので、その経験を僕なりの形にしていきたいという思いはあります。

―すでに取り組まれている「くろい音楽室」もその形のひとつですか。

そうですね。音楽って聴ける所はいっぱいあるけど、音楽について話ができる場所ってないじゃないですか? そういう場所をつくりたくて始めたのがくろい音楽室です。例えば、何かひとつの曲について話をしてもらうと、世代によって感じていることも全然違うし、もっと言えば同じ世代の中でも話すことが違うんですね。僕にとっては、どうやってその曲がつくられたかよりも、そっちの方に興味があって。仙台に根ざした音楽にまつわる記録を残していきたいと思っている僕にとっては、かけがえのない活動として、くろい音楽室は続けていきたいですね。

―くろい音楽室は参加無料ですよね。これからも非営利で続けていく予定ですか。

お金にはならないですけど、こういう場は残していきたいと思います。仕事は、自分のやりたい活動とか非営利の活動の中で、自然と築かれた関係性から生まれていったら理想的ですよね。

―くろい音楽室の活動が他の仕事につながっていくんですね。

「こういうことやりたい」ってわざわざ東京から来てくれた人もいるし、「青森でもやりたい」「秋田でもやりたい」って声もいただいています。あとは「展示を見た」ということで仕事をご依頼いただくこともありますね。見てくれている人は見てくれているんですよね。ありがたいことです。

―くろい音楽室の他に、「濱田さんの形」として企画しているイベントはあるんですか。

常にいろいろと考えています。よくあるような楽しむだけの音楽イベントではなくて、学びとなるような音楽イベントを提供したいです。音のあり方をいろんな視点で体感できるような企画とか、こっちだとまだサイレントディスコのような企画も行われていないですし。少しでも新しい音楽の一面に触れてもらいたいという考えが強くあります。それがワークショップなのか、まち歩きなのかフェスなのか、どのような形態になるのかはまだ分からないですけど、そういう機会をつくれたらいいなと思っています。10月にはレコードショップやクラブ・ライブハウスをまち歩きする「まちの音楽室」というワークショップを開催予定です。

―濱田さんの活動からは、人とか出来事のつながりが感じられますね。

場づくりを基本としているからですかね。場をつくることで、人が集まってくれますから。その人たちが何かを持ち帰ってくれたり、その中で新しい関係が生まれることに関われるのはうれしいですし、それはやりがいにも繋がっていると思います。

だから、“もの”としてよりは心に残る“こと”をつくれたらいいなと。そういうことを繰り返していったら、結果としていいお仕事につながると信じています。

―最後に、若いクリエイターへメッセージをお願いします。

自分に素直であってほしいなぁと。自分が興味のあることは自分にやらせてあげた方がいい。自分をつくるのは自分しかできないので、ただ与えられたものを食べるとか、用意されたものをこなすとかじゃなくて、自分から関わるという姿勢でいてほしいと思います。

大事なのは、頭で考えるだけじゃなくて、ちゃんと身体性を持って向きあうことですね。そうすると、それが自分に合っているのかどうかも判断できるし、何より自分に返ってくるものが大きいです。

取材日:平成29年4月25日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:工藤 拓也

前編 > 中編 > 後編

濱田 直樹

1981年宮城県仙台市生まれ。DJやイベントオーガナイザー、音楽レーベルでの活動を経て、東日本大震災の経験から、2013年より3年間 せんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」に勤務。主に映像やUST配信、企画展などを担当し、現在は社会と音楽をテーマに活動。音楽による復興支援活動の取り組み「うぶこえプロジェクト」や音楽を市民と語り合う場として、「くろい音楽室」を主催(宮城アナログ文化協会)。対話から生まれるデザイン及び映像制作も行っている。青葉こけし会 所属。防災士。

SEARCH

SITEMAP