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AZOTH(後編) 東北から世界へ ものづくりの真価と可能性を発信

子どもたちを対象にしたワークショップや小売店でのシルクスクリーンプリント実演、地元のコンテンツとのコラボレーションなど、コミュニケーション領域に踏み込んだ活動を特に震災後、積極的に展開するアゾット。製造業の持つ可能性を自ら打ち出していこうという意識の変化の裏には、ものづくりの本来の価値が見失われようとしている時代への危機感があった。受注から提案へ。「東北から世界への発信」を合言葉に、挑戦は続いていく。

東北から世界へ ものづくりの真価と可能性を発信

―分社化したことで見えてきた課題というのは。

小野崎 あくまで私個人の考えですが、工場のあり方について、ただ作って納品して終わりでは駄目なんじゃないかなというのが、分社化して見えてきたことです。例えば実際にものを作っている様子など、小売りの場も借りながら製造側の仕事を前面に押し出して、ものがどういうふうにできていくのかを知ってもらうと同時に、作る楽しさを共有するようなコミュニケーションができればと思っています。

―シップスさんと展開されている「SHIPS Days PRINTED」でも、お客さんの前でシルクスクリーンプリントを実演するイベントを行われています。

小野崎 そうですね。実演でTシャツができていくところを見てもらったり、触れて楽しんでもらったりする機会を作ることで、どちらかといえば裏方でブラックボックス的な製造の現場を見える形にできないかと、プロジェクトとして取り組んでいます。まだ手探りですけど、製造して販売するだけでなく、そういうコミュニケーションも作っていければと思っています。

シップスでのシルクスクリーン実演イベントのフライヤー

―もともと仙台でも子どもたちを対象にしたワークショップを行っていましたよね。

浅野 震災前から、孤児やDV(ドメスティックバイオレンス)被害者を保護する支援施設を訪ねて、そこで暮らす子どもたちと一緒にTシャツを作って寄贈するイベントをボランティア活動として10年以上やってきました。

―そうしたことに力を入れているのはなぜでしょう。

小野崎 子どもたちに絵を描いてほしいと言われて、イラストをTシャツに描いてあげたら、素直に喜んでくれる。シンプルにそれがうれしいですし、それでもしファッションが好きになってくれたり、将来こういうことを仕事にしたいと思ってくれたりしたら、なおうれしいですよね。何も立派なテーマを掲げているわけではなくて、純粋にそういった気持ちでやってきましたし、これからもやれればと思っています。

 

浅野 震災でお世話になった京都への恩返しになればと思って、震災後に京都でも始めました。個人的にですが、自分たちの仕事は表に出ない、黒子です。普段デザインして、納品して、お客さんが喜んでいる姿というのはなかなか見られないですし、ワークショップを通じてダイレクトなリアクションを私たちも体験させていただいています。

―地域との関わりということでは地元のコンテンツとのコラボレーションも多いですが、どういう経緯からでしょうか。

浅野 小野崎さんのお客さんは都内のアパレルメーカーさんがほとんどですが、一方で私は2008年ごろから漫画やアニメ、音楽関係のお客さんを東京で増やすようにしました。もともと私がバンド活動していたときの友達や、その周りの知り合いが大人になって、お客さんとして紹介してくれたんです。そういった流れで自然と生まれたコラボで、例えば「ジョジョの奇妙な冒険」のTシャツもそうですね。

「ジョジョ」「アラバキ」「羽生結弦応援Tシャツ」「MONKEY MAJIK」「GAGLE」「サンドイッチマン」など地元ゆかりのさまざまなコンテンツとコラボしたTシャツも手掛ける

―意識的に仕掛けたのではなく自然な流れだったんですか。「ARABAKI ROCK FEST.」のTシャツも手掛けていますが。

浅野 ARABAKIがスタートした2001年にAZOTHも事業が始まり、当初より大変お世話になっております。間もなく20周年を迎えるARABAKIですが、私たちの成長はARABAKIと一緒にあったと言っても過言ではありません。お世話になってきた恩を記念すべき20周年に向けて、何か面白いことができないかと検討しています。

 

小野崎 先ほど話したように、コミュニケーションの領域に関わり始めたということなのかもしれません。工場で黙々と製造するのではなく、関わる部分がどんどんそういう方向に向かってきている。ただ作って納めるだけではなく、お客さんが抱えている課題に対して、私たちができることでどういう可能性があるかを、コミュニケーションも含めて提案するようになってきました。単なる「受注」ではなく、仕事の作り方がちょっとずつ変わってきているのかもしれないです。それが外からはコラボレーションという見え方になっているのかもしれません。

現在のアゾット社屋と工場。製造からコミュニケーションの領域へ、外部との関わりを積極的に展開している

―なるほど。

小野崎 ものを作る仕事として、あくまで生産部門としてお客さんから言われたことに従って、コストなど決められた制約の中でコンスタントに結果を出していくことも大事ですが、一方で製造の持つ可能性の中で、できることはまだあるはずなんです。企業や小売りさんに対して、製造側から「こういう方がいいと思いませんか?」と、きちんと提案していくことが大事だと考えています。

それには、自分たち製造業が持っている技術やノウハウなど、内側にあって表には出ていないことを伝えていくことも必要だと感じています。工場はただ作るだけの場所ではなくて、本当はもっと面白く使えるんだよ、ということを示していきたいですね。

―このインタビューシリーズでも、製造側からのアプローチが重要だという話はたびたび出てきます。

小野崎 いくつか読ませていただきましたが、皆さんも同じようなことを言ってらっしゃいますよね。経済が大きく発展しているときは何も考えずに作っていけばいいと思うんですが、いまはそういう時代ではないので、製造する人たちがやることも変わってきているのではないでしょうか。むしろ自分たちからそれを出していかないと、製造業や工場が持っている本来の価値が埋もれたまま、消えていってしまう。そういう危機感を持って自分たちで仕事を作っていかないといけない時代なのかなと思います。

製造現場の様子。工場の外へ、その価値や可能性を示していく

 

取材・構成:菊地 正宏
撮影:松橋 隆樹

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