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ブライト(後編) 紆余曲折で生まれたこの場所から、地域を輝かせる

またしても思わぬ展開で計画変更を余儀なくされながらも、そんなことはみじんも感じさせずに華々しくオープンにこぎ着けた1TO2 BLDG.。初めは目の前のことだけにがむしゃらに取り組んできたが、気付けばわずか1年ちょっとの間に多くの経験が得られ、場所を持ったからできること、そしてすべきことも見えてきた。デザインに限らず足し算、引き算、掛け算とさまざまな手法で問題を解決し、その名の通りクライアントの企業、さらには地域を輝かせていく。

紆余曲折で生まれたこの場所から、地域を輝かせる

−どのくらいの期間の出来事ですか。

荒川 2016年の4月ごろからプランニングを出していって、12月ごろに融資を受けられることが決まって、年をまたいで2017年の1月2月は返答待ちが続いて、2月中に話が完全にゼロになりました。それだけならまだしも、カフェの店長を奥さんにやってもらおうと思っていたので、働いていたお店を辞めてもらっていましたし、一緒に働くメンバーも会社を辞めて3月から入社する予定で、店舗で使う家具も買い始めていて、もう後戻りできなくなっていたんです。

−言葉がありません。

荒川 ただ銀行さんとしては、場所が変わってもプランニング自体が大きく変わらなければ予定通り融資したいということで、そこから慌てて物件を探し始めました。もともとのプランがけっこう大きい場所だったので、なかなか見つからずにかなりの物件を回りましたね。そして最終的にいまの場所に行き着いて、スーパー跡地の細長い空間に配置しようとしていたものを上に重ねていったのがこの1TO2 BLDG.で、2017年8月1日にオープンにこぎ着けます。当初のスーパーの計画ではゴールデンウイーク付近を目標にしていたので、だいぶ計画がずれましたね…。

スーパーの広い敷地に並べていたコンテンツを縦に展開して1TO2 BLDG.になった

−そんな事情を全く感じさせず、しれっとスマートに開業した印象でした。オープンして現在(2019年1月)までを振り返って、いかがですか。

荒川 外からどう見えていたかは分かりませんが、紆余(うよ)曲折しながらも本当に大変でした。そんな中、ついて来てくれた奥さんやスタッフには本当に感謝しかないです。ちなみにオープン初日はほとんどのスタッフが完徹で朝を迎えました(笑)

お話ししたように、やっぱり僕は問題点があることに対して改善をしていきたいと思っていて、最初のスーパーの話では地域のお店や民家が減っていって駐車場が増える中、何か手を打たなきゃいけないと、問題点が明確だったんです。でもここは、そういった経緯で前情報も何もなく決まりましたから、オープンから丸1年くらいは何か目的を持ってやってきたというよりは、目の前にあるものをひたすらこなしてきた感じです。

ほかの空きビル活用などの話をいろいろと聞いたりすると、何社かで組織を作って運営したり、オーナーが工事費用を負担したり、所有者が工事費用の融資を受けて賃料に合わせて返済したりと、さまざまな運営方法があるんですね。でも僕たちは訳も分からず、カフェの営業から物販の仕入れから、毎月開催していたマルシェイベントの企画まで、民間の1社で全ての運営をやってきました。それはもちろんデメリットもありますが、この1年ちょっとでほかの人たちにはない経験が得られたかなと思います。

その一方で、オープンから数カ月間、ビルの運営に入りすぎてデザイン事業の方で多方面にご迷惑をかけてしまったこともあり、1人でできる限界があることをあらためて体感しました。

1階の「CAFE MUGI」。地域の素材を使ったカフェメニューを提供する

そしていまやっと、この建物がある意味、デザイン会社がやっている意味が少しずつ見えてきて、目標を持ってやっていこうというところにきました。

−デザイン会社がやっている意味、というのは。

荒川 カフェと物販とスペースをデザイン会社としてやっているので、ブランディングの仕事で関わるお客さまに対して、最終的に全てをデザインに落とし込む必要はなくて、ビルの機能を使っていろいろな提案ができます。

例えば何か商品を売りたいという場合に、商品もパッケージも十分に素晴らしいものであれば、デザインを変えることに意味はありません。そのまま仕入れさせてもらって販売したり、売り方を考えて提案したり、あるいは僕らが仕入れてカフェのメニューに活用させてもらって、それでお客さまに売り上げが立つような形にもできます。

ほかにも、僕たちが企画運営しているマルシェイベントに出店いただいたり、1TO2 BLDG.としてお声掛けいただいた催事イベントへ共同出店していただいたり、つながりがある企業へ販路を紹介したりと、「デザインして終わり」というところから「販売の手助け」までできる事業だと再認識して、デザインと1TO2をもっと連携していければと。1TO2 BLDG.として受ける依頼もデザイン会社として受ける仕事も根本は一緒で、「デザイン」させてもらうという考えでいます。

3階・4階の「RENTAL SPACE YOUTO」。屋上にもスペースを用意する

−1TO2 BLDG.やマルシェイベントなど、売る場所を持っているのは大きいですね。

荒川 そうですね。その一方でデザインが良ければ売れるというものではないと、あらためてここで体感しています。見せ方と売り方と、全てがうまく絡まないと商品としてはなかなか売れない。とはいえ制作サイドは売り方を知らない場合が多いので、そこができるようになってきたのは自分たちの強みだと思いますし、今後も力を入れていきたいところです。

クライアントさんから依頼が来たときに、ブライトとしてできることが増えてきて、デザインに限らずさまざまな方法が取れる。それらを生かして、組み合わせて、一言で言えばクライアントさんにとっての「問題解決屋」のような感じになれたらいいですね。

−地域との関わりについてはどのように考えていらっしゃいますか。

荒川 仙台駅から真っすぐ通る青葉通も藤崎さん付近を越えるとほとんどお店もなく、この辺りはマンションが立ち並んでいる「居住エリア」です。その中で、1TO2 BLDG.に不特定多数の方が押し寄せてにぎやかになるというよりは、生活に必要な調味料や食品、野菜の販売や、カフェについてもこの片平だからできる、ゆったりとした時間を楽しんでもらえるような、すっとなじむような場所にしていきたいですね。

そして内部としては、他地域と連携したイベントを企画したり、商品を開発したりと、もっとデザインの力で外部と連携していければ。いろんなことをしていますが僕たちの根本は変わらずデザイン会社。個人が表に出るのではなく、関わった地域や担当したプロジェクト自体が前に出るのが一番です。外部の僕たちが勝手に仕組みを構築することよりも、地域やものなど問題を感じていることから依頼や相談を受け、一緒に取り組んでいくことが大事だと考えています。

−最後に、ブライトという社名とロゴマークに込めた思いを聞かせてください。

荒川 僕たちが関わって何か問題を解決することで、お客さまに、いまよりももっと輝いてほしい。デザインを良くすること、売り上げを伸ばすこと、人が集まるようにすること、ゴールはいろいろありますが、そのために何かを足したり(+)引いたり(-)掛けたり(×)して、それを重ねたこのマークのように、お客さまをキラリと輝かせたいという思いです。ガンダムのブライト艦長(ブライト・ノア、最終階級は大佐)から付けたと、ふざけた答えもあるんですけど(笑)

「お客さまに、より輝いてほしい」という思いを込めたブライトのロゴ

取材・構成:菊地 正宏
撮影:松橋 隆樹

 

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株式会社ブライト

宮城県仙台市に本社を置く、小さなデザイン・ブランディング会社です。デザイン制作を中心に、遊休不動産の活用事業「1TO2BLDG.」の運営、その中でカフェ・物販・イベント企画運営・ギャラリー運営などを行っております。少人数ながら、新しいことへチャレンジしていきます。

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