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岩沼精工(前編) 1社依存から300社へ、ニーズに応え続け取引先を拡大

家庭に電機製品が次々と普及していった1970年代に創業し、右肩上がりで業績を伸ばし続ける大手電機メーカーに工場をフル稼働して部品を供給し続けてきた株式会社岩沼精工。その勢いに陰りが見え始めた90年代、大手依存の体質に危機感を抱き方針を転換。顧客のニーズに柔軟に対応しながら設備を整え、現在では取引先が300社まで拡大した。金属加工のことなら何でもできる「困ったときの岩沼精工」として、辛口な顧客の評価も覆してみせた。

1社依存から300社へ、ニーズに応え続け取引先を拡大

−電機製品の精密部品製造ということは、国内の電機メーカーの盛衰に大きく影響されてきたのではないかと思います。創業からこれまでを振り返っていただけますか。

千葉厚治社長(以下、千葉) もともと大手電機メーカーさんの仕事をメインとして昭和491974)年に創業し、その1社の仕事が9割あって、会社が成り立っていたような状況でした。注文をもらってもやり切れないほど仕事があったんですが、1社依存の状況はまずいだろうという危機意識から、ほかも探そうと動き出したのが、いまから20年くらい前です。

その頃、その得意先からも「ほかの仕事もやっているよね?」と聞かれるようになりました。昔は資材部の部長さんがアポなしで工場に来て「うちの仕事以外やっていないよね?」と見て回っていたんですけどね。思えばその頃が、電機業界がピークに達して下がり気味になったとき。生産拠点を中国に移管し始める頃でもあったんです。

そうは言っても、すぐに別の柱となるところはなかなか見つけられないので、少しずついろんな会社さんと取引を増やしていって、いま取引先の数は300社くらいに増えました。そこまで20年くらいかかりましたが、売り上げの9割あったその得意先の仕事はもう1割もありません。

創業時から現在までの歩みを振り返る千葉社長

−それだけ取引先を増やすのは一朝一夕にはいかないと思いますが、どうやって広げていったんでしょうか。

千葉 ローラー作戦じゃないですけども、この辺の会社はほとんど歩きましたね。それまでは電機メーカーさんとの直接取引がほとんどだったんですが、加工商社さんとの取引も増えました。メーカーさんは材料を購入するのに商社さんを経由することが多いので、商社さんはかなり情報を持っているんです。そのおかげで、われわれの営業範囲とは違った部分でも、ここ数年は広がっています。

あとは全然違う分野の仕事を取り入れてきています。いままでの弱電メーカーさん(家電メーカーなど)以外に、例えば建築や自動車、医療の分野など、われわれが扱える金属であれば何でもやるということで広げていきました。

極小なものから比較的大きなものまでさまざまな金属部品が並ぶショーケース

−金属の部品を作っている、というところは変えずに。

千葉 金属加工というくくりは変わっていません。その中で、プレス加工と機械加工といわれる分野を2本柱としてやってきたんですけども、ここに来て板金加工、架台や製缶ものと呼ばれる分野に進出したのは大きなポイントですかね。ようは金属を切って抜いて、折り曲げ加工して、最終的に溶接をして一つの製品として仕上げるものです。

−そういうニーズがあったからやり始めた、ということですか。

千葉 そうです。電機関係の部品の大量生産をずっとやってきたんですけども、ニーズが大量から小ロットに移っていったんですね。

いままで10万個50万個というロットの部品を作るために金型を作って、一つの金型を作るのに100万、200万とかかっていました。それはお客さんの投資になりますので、大量に数が出るからペイできていましたが、5001000個のものに対して100200万の金型費はかけられませんよね。そこで、「金型を作らずに」というニーズが出てきて、金型なしである程度オールマイティーに部品加工ができる設備を投入して、小ロット向けに対応し始めたんです。

金型を使うほどの量は出ないんですけども、手作業でやれるような代物でもなく、設備が必要な事業。そういったニーズがけっこうあって、そちらの方に展開していっています。

プレス加工、機械加工から板金加工へとニーズに応えて事業を広げてきた

−もちろん競合も多いと思うんですが、他社に対する優位性はどういうところですか。

千葉 昔から、「何か困ったことがあったら岩沼精工に」と言っていました。何で困るかというと、ほとんどが「急ぎ」なんですよね。いま、ものがないとラインが止まってしまう場合などに「困ったときの岩沼精工」だと。納期だけでなく技術的なことでも、金属に携わるものだったら相談してもらえれば何でも応えますよというのが、最初からのわれわれの姿勢です。

もう一つは、地場の競合他社がやらない領域です。機械加工で12個だけの部品を作るというのはわれわれもやっていますし、この辺の企業さんもたくさんあるんですね。でも、そういうところに100個作ってくださいと言っても、そこまでの設備を持っていないので対応できない。それならばと機械加工で量産できるところに持っていくと、今度は逆に100個は少なくてできないんです。われわれはそこをやる。小ロットでも大ロットでもない、いわば中ロットといわれる部分も引き受けます。

お客さんが「やってくれるところがない」と困っている仕事をどんどん引き受けてやっていくうちに、それなりの設備も整ってきました。

大小さまざまな設備が休みなく稼働する工場内

−オールマイティーに対応されてきたんですね。

千葉 昔、営業で歩いていたときに、ある企業の資材部の方から「岩沼(精工)さんは何が強みなの?」と聞かれました。いま話したように「金属に携わることだったら何でもできますよ」と伝えたら、「そういうやつが一番信用できない」って言われてしまったんですね。

まあそのときはそれで終わったんですけど、その人と56年ぶりに会ったら「岩沼さんは本当に何でもできるからすごいよね」と。これには一瞬カチンときましたよね(笑) でも、そういう形でずっとやってきたので、その企業さんの中でもわれわれの存在が確立していったということだと思います。

−戦略的に、ほかが手を付けてないところを狙っていったんでしょうか。

千葉 いえ、そこにはやっぱり複数社いて、どちらかといえばわれわれは後発だったんです。じゃあなんでそこまで入れたかというと、量産前の試作の対応がタイムリーにできたということもあると思います。

何を作るにしても「形状試作」ということをやるんですけども、言われたものをただ作るんだったらどこの試作屋さんでもできますよね。でも、われわれの目的は最終的に量産をもらうことであって、そのときに不良を出したくないので、不良が出にくい形状にしたい。ですから、お客さんから「こういう仕様で作ってほしい」と言われても、「それだと安定させるのが難しいので、こういう作り方、こういう形状でどうですか」というのを試作の段階で提案します。

そうすれば当然コストだって差が出てきますよと話をしながら、われわれが協力する部分とお客さんに協力してもらう部分がありつつ、一緒にものを作り上げていく。そういった他社さんがやらないことをわれわれが提供したというのがありますね。

取材・構成:菊地 正宏
撮影:庄子 隆

 

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株式会社岩沼精工

989-2421 宮城県岩沼市下野郷字大松原305-3
TEL:0223-29-2121 FAX0223-29-2122

プレス加工(量産、試作、金型製作)、精密機械加工(量産、治工具、各パーツ部品)、板金加工(精密板金、架台、溶接)、省力化機械(設計、製作、据付)など幅広く対応しております。創業以来、これらの技術ノウハウをお客さまと共につくり上げてきました。今後もより良い「ものづくり」を共に目指してまいります。

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