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ミティーク(後編)夢は空を超えて宇宙へ まちの洋菓子店を未来へつなぐ挑戦

圧倒的な発想力と経験に裏打ちされた技術で誰もが驚くようなケーキを次々と商品化しているミティーク。ほかとは違うこと、新しいことを常に模索し続ける裏には、まちの洋菓子店を取り巻く状況への危機感と、後進を育てたいという使命感があった。菓子作りを刺激に満ちた、夢のあるものにしたい。例えばケーキが宇宙を飛ぶような…。冗談めかした答えの中に、絵空事では終わらせないという強い意志を感じた。「兄弟」で力を合わせ、未来への挑戦は続く。

夢は空を超えて宇宙へ まちの洋菓子店を未来へつなぐ挑戦

−JALの機内食に採用された「レッドジュエル」は、その名の通り赤くて丸い宝石のようなフォルムが特徴のケーキで注目を集めました。どのような経緯で生まれたのでしょうか。

俊也 これは最初、「青いケーキがあったらいいな」という単純な思い付きで作り始めたのがきっかけです。それからだんだん形が決まってきて、ブルーベリーを使った「ブルージュエル」として販売しました。その後、JALさんなので赤にしようと、木イチゴを使って中もアレンジして赤くしました。

−「飲むケーキ」をうたう「アートスムージー」も話題になり、パリでも高い評価を得ました。こちらはどのように。

誠也 ケーキがあって、ドリンクもやっているんだから、それを合わせた「飲むケーキ」があってもいいよね、というところから始まりました。健康志向で流行しているスムージーをベースにしつつ、それだけでは面白くないので、パティシエの技術を加えて、中にスポンジやパンナコッタが入っているケーキ仕立てにしました。これも兄弟という色を生かしたものかもしれません。

果物とケーキ素材でデコレーションしたアートスムージー(写真提供=ミティーク)

−常に想像を上回るクリエイティブな商品を展開していますが、普段はどのように商品開発をされているんですか。

俊也 この仕事をして30年になりますが、その中でも流行がだんだん移り変わっているんですよね。その時代その時代でどういうものがはやるかを見て、アレンジをしていく。ちょっと斬新なことをしていかないと生き残っていけないご時世だと思うので、人の考え付かないようなことを日々考えています。

−具体的には絵を描いて?

俊也 いえ、頭の中だけです。だいたいイメージができてきたら、それを実現するにはあれとあれを使えばいいなと。これは30年の経験のたまものですね。

誠也 私もアイデア出しをしますが、材料の相性などの部分ではプロフェッショナルの兄がいますので、こういうものを作りたいんだけど、この素材をベースに考えたら何をまぜればいいだろうか、という相談は日々やっています。

 

−ほかとは違う、新しいことを常にやろうとしているのはなぜでしょう。

俊也 誰かがやらなければ、下の子たちにも教えてあげられないですし、誰かやるんだったら自分たちが先にやってみようと。それがたとえ失敗してもチャレンジしたことが実績として残れば、次の世代の人たちも、やってみようとなるかもしれないですからね。

発想と技術の掛け合わせで芸術的なケーキを作り出す俊也氏

−下の子たちを育てる、という言葉が前半にもありましたが、そういう段階に入っているような自覚をお持ちなんでしょうか。

俊也 今はそうです。後継者がなかなかいなくて、まちのケーキ屋さんがどんどんつぶれていっていますよね。人気の職でもあるんですが、実際にやってみると大変厳しいという状況があると思います。

−何が原因でしょうか。

俊也 それはもう、コンビニですよ。ドラッグストアですら今、クリスマスケーキを売っているくらいですもん。じゃあ本業の人たちは何をすべきかと考えたら、もっと違うことをしないといけない。

店がつぶれていっているところを目の当たりにすると、恐ろしいですよね。危機感はみんな持っているはずなのにそうなっているんですから、ほかと同じことをやっていてもしょうがないということです。

−誠也さんは今後についてどうお考えですか。

誠也 モチベーションが上がるような仕事をたくさんやっていくべきでしょうね。誰もやらないことって、わくわくするじゃないですか。スタッフもその気持ちを持って仕事に当たってもらいたい。そうでないと楽しくないですから。同じ仕事を毎日しているのではなく、刺激を受けながら自分で考えられる人材を育てていきたいです。

そういう意味でも、やっぱりほかと同じことをやっていては駄目で、トライし続けないといけない。これはもう使命感に近いですね。

兄の作るケーキにマッチした最高のコーヒーを追求する誠也氏

−店について、今後変えていこうと思っていることはありますか。

俊也 壁にブラインドを掛けたいと思って昨日インテリア屋さんに行って来ました。あとは壁が割れているところを直したいなとか。そういうちょっとしたことです(笑)

−完成された空間ですもんね。カフェミティークはいかがでしょう。

誠也 日々変えています。昨日来たお客さんが今日どこに行こうかと思ったら、何かが変わっていないと、なかなか同じ店は選ばないですよね。ですからスタッフも、リサイクルショップに行って面白い人形を見つけてきたりとか、クリスマスシーズンなのでこんなのはどうですかと持ってきたりとか、雰囲気を変えるように工夫してくれています。もちろん、メニューもです。

−コラボについては今後も話が入ってきたら、前向きに検討してチャレンジしていくと。

俊也 そうですね。

誠也 もちろんです。

−チャレンジにはリスクもあるかと思いますが、いかがでしょうか。

俊也 私たちは石橋をたたいて渡る方なんですよ。手堅くて地道で、だから遅いのかもしれないけど、一気に飛び越えて行こうというのではなく、入念に、大丈夫か大丈夫かと確認しながら進めています。

もし1人だったら一気に行っちゃってドボンと落ちたかもしれませんが、2人ですので。何かあったときに相談できるというのは強みだと思います。

−やっぱり強みは「兄弟」ですね。

俊也 そういうことです。

これからも2人で洋菓子店の未来を切り開く土田兄弟

−最後に、例えば10年後の未来はどうありたいですか。

俊也 仕事をしなくても食べていければ最高だなと思っています(笑)

−話してみて分かりましたが、俊也さんは職人気質かと思いきや、意外とビジネスライクですよね(笑)

誠也 私はディズニーランドで「飲むケーキ」を売っていたいです(笑) あとは兄が話していた通り、宇宙船にケーキを乗せているんじゃないでしょうか。面白いと思うことは絶対に実現したい方なので。でも、これを言ったらどこかに先を越されちゃいますかね。

俊也 いや、言ったもん勝ちですから。宇宙食と書いておいてください。

−分かりました。

誠也 世界ではなく、宇宙を視野に入れていますと。

取材・構成:菊地 正宏
撮影:松橋 隆樹

 

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