Article 記事

THINK! MAKE! SHARE! -11- ついにブランド名とロゴが決定!

朝日クラフトの廃材「ターポリン」を再利用し、新たな商品開発を行うプロジェクト。FabLab SENDAI - FLATのデジタル工作機を活用した試作から商品開発までの工程を紹介していきます。

小野寺 今回は、いよいよブランド名を検討していきます。本連載の8話目で、(公財)仙台市産業振興事業団 ハンズオンコーディネーターの笠間さんにお話を伺った際に、商品開発を行う際には下記のようなラインナップ体系等を考える必要があると教えていただきました。

大網 ここでは「ブランド名」は、上図の赤丸で囲まれた「プロダクトブランド」について検討を行っていきます。

小野寺 今回もその道のプロに相談させていただこう!ということで白羽の矢が立ったのがspongeの工藤拓也さん。仙台と山形を股にかけて活動しているコピーライターであり、仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアムのクリエイティブプロデューサーでもあります。

大網 そもそも、プロダクトやコンテンツに名前を付けるときには、どんなふうに検討していけばよいのかというところから。がむしゃらに言葉を挙げていっても時間と労力の無駄です。工藤さんにお伺いしたところ、まずは下記の2点を元にキーワードを挙げてアイディア出しをしながら、それと並行してどんどん言い換えをしていくのがポイントとのこと。

小野寺 ここでいう“ブランド”とは、本連載で取り組んでいるプロジェクトのことなので、その目的は「企業から出る廃材(端材)をリサイクルすること」。そして、私たちはあくまで工作室を運営しているという立場なので、完璧な商品を開発するというよりも、「ユーザー自身がプロダクトにどんどん手を加えてブラッシュアップできる商品」を開発することが目標です。

大網 そういった背景から、「リサイクル(再利用)、廃材、作り変え」と「カスタマイズ、試行錯誤、遊び」という2組のキーワードを挙げました。

 

大網 まずは、はじめに挙げられたキーワードから導かれた単語ひたすら並べていきます。ただし、単純に並べていくだけでは収拾がつかないので、ある程度の量の単語が挙がったところで、一度近しい意味を持つもの同士でグループ分けをしました。

大網 そして、グループ分けしたら再度キーワードを書き足して…というのを何度も繰り替えしながら、考えを詰めていきます。

小野寺 アイディア出しを行っていくうちに、「廃材、端材=残り物だけれどうまみのあるもの(役に立つもの)」という考え方がでてきました。それはつまり何かということを考えていくと、もしかすると「アラ」という言葉がキーなのでは?という意見が。そこで、「アラ」という言葉のついた言葉をリストアップしていったところ、その中で「あらかた」という言葉がブランド名として良いのでは?ということに。

大網 「あらかた」という言葉は、そもそも「大体」とか「おおかた」といった意味を持ちますが、私たちが作ろうとしているプロダクトは、先に述べたように「完璧すぎないもの」。また、企業から出た「廃材、端材」という「アラ」に新しいかたちを持たせることが私たちの使命ということもあり、まさにブランド名としてうってつけというわけです。

大網 ということで、無事ブランド名は「あらかた」に決定しました!

 

小野寺 次にロゴの検討です。一口に「ロゴ」と言っていますが、一般的に思い浮かべられやすい「ロゴ」とは「ロゴマーク」のこと。「ロゴマーク」とは、会社やブランドなどを表す意匠である「シンボルマーク」と、会社名やブランド名などが図案化された文字列である「ロゴタイプ」の2つから成り立っているものです。今回は、まずは「ロゴタイプ」のみ作成していきます。

はじめに、様々なフォントで「ARAKATA」という文字列を作成してみました。

小野寺 フォントを並べていくうちに、自分の手でカスタマイズ可能だということを押し出していきたいので、クラシックで洗練されたイメージよりも、おおらかな印象のフォントのほうが相性が良さそうだなというところに。ヒゲの付いているスマートなセリフ体や細身のフォントではなく、幅広なサンセリフ体を用いることにしました。

また、様々なデジタル加工マシンで加工がしやすいように、文字の角が丸みを帯びており、文字自体がいくつかのパーツに分かれているような形にしたいという意見も。消去法でフォントを選出し、よりイメージに近づくように手を加えていくことにしました。

小野寺 元々太めで角が丸いフォントをチョイス。上図のように、まずは文字の一部にカットラインを入れてみましたが、ただ切り離しただけではいまいちスマートさに欠けます。そこで、RとKの右側の形状を合わせ、Tにもカットラインを追加し、最終的に下図のようなロゴタイプとなりました。

小野寺 様々なシチュエーションでの使用を考慮し、横一行、横二行、縦一行に並べたものを作成しました。

大網 名前が付いてロゴができると、グッと気持ちが盛り上がってきますね。これまで作ってきたターポリンバッグにもUVプリンタでロゴをプリントしたら、もっとプロダクトらしさが上がりそうです。

 

小野寺 本連載は次回が最終回。プロダクトの最終形態の紹介と、プロジェクトのこれまでの活動について振り返っていきます!

FabLab SENDAI ‒ FLAT

FabLab SENDAI ‒ FLAT は、個人や小規模チームによるものづくりの実験の場であり、実践の場です。レーザーカッターや3D プリンターなどデジタルデータを利用する加工機械を使い、スピーディーかつ低コストなトライ&エラーを通して、自分のアイデアを形にしていくことが可能です。
また、集まった人同士で情報交換や協力をし合ったり、日本や世界に広がるFabLab ネットワークを通じた世界中の人たちとの交流の中からアイデアが立ち上がるような、新しい形の工房です。

FabLab SENDAI ‒ FLAT で機材を利用するためには、機材ごとに初回講習を受講していただく 必要があります。初回講習や見学会などは、下記よりスケジュールをご確認ください。 http://fablabsendai-flat.com/facilities/

ページトップへ

Search 検索