仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム

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THINK! MAKE! SHARE! -2- 朝日クラフトさんにおじゃましました

朝日クラフトの廃材「ターポリン」を再利用し、新たな商品開発を行うプロジェクト。FabLab SENDAI – FLATのデジタル工作機を活用した試作から商品開発までの工程を紹介していきます。

大網  というわけで、今回『ターポリン』の端材をご提供いただいた朝日クラフトさんのオフィスにおじゃましてきました。

小野寺 ひたすら素材加工の実験をしてみることも大切ですが、実際にはどんなふうに素材が加工されているのか、現場に出向いてリサーチするのも重要な作業のひとつ。それによって新しいアイディアが生まれることがよくあります。

大網  当日は、代表の喜早さんに工場をご案内いただきました。天井が高く開放感のある工場内には、見たことのないさまざまな機械が並んでいましたね。

小野寺 おじゃました日はスタッフの方が工業用ミシンでガーッと縫製をされていて、その音を聞くだけでとてもワクワクでした。

大網 工場の中でまず目に飛び込んできたのがこの布たち。これがまさに『ターポリン』の端材でした。

小野寺 普段の業務では、テントや横断幕といった非常に大型の商品をつくることが多いため、数十メートル単位という長尺で『ターポリン』を購入されるとのこと。ですが、素材をぴったり使い切るということは難しく、だからといって他の商品の製作に転用するには短いため、こんなふうに端材がどんどんたまっていってしまうそうです。

大網  ここにあるのはほんの一部で、もう少し大判のものも別なフロアに保管されていました。

小野寺 これらの端材は、いざ処分しようとするとごみ処理費用が発生するためなかなかの負担になってしまいます。

大網  そこで朝日クラフトさんでは、ただ処分してはもったいないからと、こんなウォールポケットやバッグにつくり変えるという試みも。

小野寺 他にも、細く切った『ターポリン』を紐代わりにしていたり、「紙を使う方がもったいないから」とメモ帳代わりに使っていたり。オフィスの中を見回してみると、思わぬところにさまざまなかたちで『ターポリン』が使われていました。

大網 ところで、前回の加工実験では『ターポリン』をミシンで縫い合わせようとしたところ、下糸が絡まってとんでもないことになってしまいましたが、朝日クラフトさんではなぜきれいに縫製ができているのでしょうか。喜早さんにお聞きしてみたところ、こんなお答えが。

●    ミシンは一針縫うごとに、布を向こう側へ送る“布送り”という機能がある。

●    一般の家庭用ミシンの場合、下糸側にしか“布送り”機構がないため、『ターポリン』のようなツルツルした薄手の生地は滑って進みにくく、糸の絡まりにつながると考えられる。

●    朝日クラフトで使用している工業用ミシンの場合は、上糸側にも“布送り”機構があるため、ツルツルした布でもきちんと送ることができ、きれいに縫うことができるのではないか。

 

小野寺  なるほど。きれいな縫製にはこんな背景があるんですね。でも、バッグの場合は糸が使われていましたが、ウォールポケットの方は糸が使われていなくて、素材同士だけでくっついているように見えます。これはどうやって加工されているのでしょうか?

大網 それには、こちらのような素材同士を溶かしてくっつける“溶着加工”用の機器を使用されているそうです。

大網 こちらは、『高周波ウェルダー』という機械。熱によって塩化ビニル製などの素材を加工するものです。普通、熱加工というとヒーターなどを使用することが多いのですが、この『高周波ウェルダー』加工の場合は、高周波によって素材自体の分子を振動させ、その分子運動によって発生した熱を使用しているのだそう。(参照:高周波ウェルダー加工)考え方としては電子レンジと近いのでしょうか。

小野寺  特に『ターポリン』の場合は、燃やすと有毒なガスが発生する『塩化ビニル樹脂』が材料として用いられていることが多いから、外から熱を加えない『高周波ウェルダー』加工がぴったりなんですね。

大網 実際には、『高周波ウェルダー』の赤いバーの部分に型を取り付け、それで『ターポリン』をプレスして溶着させます。

大網  あまりの加工の早さと簡単さに驚く我々。いったいどれだけの強度があるのか気になったので、剥離実験もしてみました。

小野寺 その結果がこちらです。溶着したラインに対して、平行方向から剥がそうとしてもびくともしませんが、垂直方向から力をかけるとビリビリと剥がすことができました。

大網  型に接していた白いターポリンに、下に敷いていた青いターポリンがくっついています。これは何かに使えそうです!

小野寺  また、溶着用の型は真鍮製のものが多いそう。『高周波ウェルダー』への取り付け部分の寸法さえしっかり合わせられれば、自分の好きなかたちの型をつくることもできるかもしれません。

大網  そしてさらにもう一台、別な機器を見せていただきました。

小野寺 シートの端によく付いている金属の丸い輪っか、『ハト目』を付ける機器です。

大網  シルバーのプレートの上にシートをセットしてボタンを押すと、あっというまに『ハト目』が!

小野寺 FLATで『ハト目』を取り付けようとすると、(1)シートに穴をあけ、(2)金具を取り付け、(3)プレスする、という3つの作業が発生するのですが、さすがこちらは業務用。ボタンを押すだけでそれらの作業が一気に完了します。

大網  朝日クラフトさんでは、他にも『ターポリン』の加工サンプルを見せていただいたり、加工ノウハウを教えていただいたりしました。仕事として素材を扱っている方のお話は勉強になることばかりです。

小野寺 普段はなかなかお目にかかることのできない、こういった工場ならではの機器を見られるのも、やっぱりいつも以上にテンションが上がりますね!

大網  さて、これまでに得られた『ターポリン』に関する主な情報をまとめてみましょう。

●    『塩化ビニル樹脂』などの合成樹脂フィルムで、ポリエステルや綿などでできた布をサンドしたもの。

●    縫製する場合は、工業用ミシン(糸縫い)か高周波ウェルダー(溶着)が用いられる。

●    高周波ウェルダー用の型は真鍮製のことがほとんど。

●    表面がツルツルしているという特性上、家庭用ミシンではそのままでは縫製が困難。

●    裁断する場合は、カッティングマシンを使うとよい。

●    94cm幅や102cm幅のものが多い(長さはさまざま)。

●    ハト目を使った加工も相性抜群。

 

小野寺 今回の見学で『ターポリン』のに関する知識がぐっと深まりましたね。

大網  次は、ここから実際に商品のアイデア出しを行なっていきます!

FabLab SENDAI ‒ FLAT

FabLab SENDAI ‒ FLAT は、個人や小規模チームによるものづくりの実験の場であり、実践の場です。レーザーカッターや3D プリンターなどデジタルデータを利用する加工機械を使い、スピーディーかつ低コストなトライ&エラーを通して、自分のアイデアを形にしていくことが可能です。
また、集まった人同士で情報交換や協力をし合ったり、日本や世界に広がるFabLab ネットワークを通じた世界中の人たちとの交流の中からアイデアが立ち上がるような、新しい形の工房です。

FabLab SENDAI ‒ FLAT で機材を利用するためには、機材ごとに初回講習を受講していただく 必要があります。初回講習や見学会などは、下記よりスケジュールをご確認ください。 http://fablabsendai-flat.com/facilities/

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