仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム

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THINK! MAKE! SHARE! -4- 試作品でアイデアを磨く

朝日クラフトの廃材「ターポリン」を再利用し、新たな商品開発を行うプロジェクト。FabLab SENDAI – FLATのデジタル工作機を活用した試作から商品開発までの工程を紹介していきます。

大網  今回は再び朝日クラフトさんにおじゃまし、試作品を見ていただきました。お持ちしたのはこちらの作品たち。

小野寺  前回の記事でご紹介した、溶着や縫製をせずに折りたたむだけで形ができるケースと、細く切った「ターポリン」を組み合わせてつくったテキスタイルの試作品に加えて、それぞれ少しずつブラッシュアップしたものもお持ちしました。

大網  試作第1弾のケースは、封筒のように蓋を閉じて使用するタイプのものでした。ですが、蓋自体があまりスマートではなかったので、上下どちらにも袋を設け、それを真ん中で折りたたむことで蓋の機能も併せ持つという形に変更。

小野寺  袋どうしはボタンやゴムで留める仕様にしたので、差し込んで蓋をするものに比べると、物の落ちにくさが飛躍的に向上しました。緑色の試作品は表面にUVプリンタで柄を印刷してみたのですが、素材自体が平面的なためプリント部分がにじむこともなく、とても綺麗な仕上がりに。

大網  また、試作第1弾のテキスタイルでは、細く裁断したターポリンを縦横に組み合わせていたため製作時の素材のズレが課題でした。そこで、試作第2弾では、あらかじめ切り込みを入れておいたベースのターポリンに、細く切ったターポリンを差し込んで織り上げていくという方法に変更しました。

大網  テキスタイルを拡大してみたものがこちら。1段毎に切り込みの幅を2mmずつずらしています。 

小野寺  細く切ったターポリンどうしを織ろうとすると、縦方向のターポリンを固定するための機織り機のようなツールが必要です。しかしながら、今回の方法ではベースのターポリンはそのままでもバラバラになる心配がほとんどないため、作業時にズレを気にしなくていい。これは大きな進歩かなと思います。 

大網  また、ターポリンに切り込みを入れる作業にはカッティングマシンを使用します。そのため、切り込みを入れる位置はパソコン上で設計することができるので、さまざまなパターンをつくりやすいというメリットも。

小野寺  実際に、朝日クラフトの喜早さんに試作品を見ていただきました。普段製作しているものは大きい物がメインのため、こういった小物を見る機会はあまり多くないそう。また、素材の加工をされている会社さんなので、いかに工数を減らし効率よく物をつくるかということを常日頃考えられているとのこと。そのため、今回お持ちしたテキスタイルのように非常に手のかかるものは、かえって興味深いとのお言葉をいただきました。 

大網  ここで、FLATチームから実験のお願いをさせていただきました。テキスタイルを製作した際に、両端に余った「ターポリン」がどうしても飛び出てしまいます。他の箇所に織り込むことで解決もしますが、それでは強度的に不安なため、両端を高周波ウェルダーで溶着できるかどうか実験をしていただくことに。

小野寺  幅3ミリ程度の真鍮製の型が取り付けられた高周波ウェルダーに、テキスタイルをセットしてプレスし、待つこと約10秒。

大網  ご覧のとおり問題なくしっかりと溶着されました。よく見てみると「ターポリン」が溶けて伸びています。

小野寺  溶着された箇所をカッターで切ってみましたが、ほつれることはありません。さすが普段屋外用のテント地などを溶着されているだけあり、非常にいい仕上がりです。

大網  別なテキスタイルの試作品でも溶着実験を行っていただきました。今度は、まずはテキスタイルを半分に折り、その端が重なった部分と輪っか状になったうちの1辺を溶着するというもの。

小野寺  それをぐるっと裏表ひっくり返すと、こんな袋状に。 しっかりと溶着されているのである程度重さのあるものを入れても問題なさそうです。また新たな知見を得ることができました。 

大網  そして、今回の打ち合わせで挙がった意見は次のとおり。

  • ●必要に応じて組み立て、使用しないときにはくるくると丸めて持ち歩けるというのはいいアイデアだと思う。例えば、ポスターやパンフレットなどといった、少しかさばる配布物を入れておくのにいいかもしれない。
  • ●今回は名刺入れサイズだったが、A4サイズやA3サイズのものが入るような、少し大きめのケースも見てみたい。
  • ●ケースとハトメを組み合わせることで、バッグやサコッシュなどとしても使うことができないか。カスタムパーツをいくつか提案できると面白いかも。
  • ●テキスタイルの方は、やはり製作に手間がかかりそう。ただ、細く切った「ターポリン」自体を素材として提供するとか、カードケースやお財布などをつくってみようというワークショップを開発することはできるかも。
  • ●どちらの場合もそうだが、切り込みに耳を何度も出し入れしたり、テキスタイルを織っている最中に「ターポリン」の端から中の繊維が出てきてしまうことがある。ヒートカットをすれば端が固まるため、そういったこともなくなるかもしれないが、塩化ビニルという性質上レーザーカットはできない。その点をどのようにクリアするかを検討する必要がある。
  • ●販売をする対象をどの辺りに設定するかによって、端の処理を含めたクオリティのレベルを決めることができるのでは? 

小野寺  使わないときにはコンパクトに丸めて持ち歩ける、という点にフォーカスしてプロダクトを検討してもいいのかもしれません。また、今回製作したケースは小さめのもののみだったので、A4のコピー用紙が入るようなものなどを製作してみます。 

大網  端がほつれてしまうという問題については、帯状の「ターポリン」の幅に対して切り込みを少し広めにしたり、織る作業が完了したテキスタイルの全面にアイロンなどで熱を加えることで、ほつれてきた繊維を溶かし固めるなどといった方法で解決できないか実験する予定です。 

小野寺  それに加えて、「ターポリン」を細く裁断するためのマシンや、図柄のデータを読み込むと自動的に切り込み線に変換してくれるなどといったプログラムの開発も視野に入れて進めていきたいなと。高周波ウェルダーに取り付けられる真鍮製の型の製作や、ハトメに取り付けられるアダプタの開発も行ないたいところです。 

大網  早速、再試作を行っていきます!

FabLab SENDAI ‒ FLAT

FabLab SENDAI ‒ FLAT は、個人や小規模チームによるものづくりの実験の場であり、実践の場です。レーザーカッターや3D プリンターなどデジタルデータを利用する加工機械を使い、スピーディーかつ低コストなトライ&エラーを通して、自分のアイデアを形にしていくことが可能です。
また、集まった人同士で情報交換や協力をし合ったり、日本や世界に広がるFabLab ネットワークを通じた世界中の人たちとの交流の中からアイデアが立ち上がるような、新しい形の工房です。

FabLab SENDAI ‒ FLAT で機材を利用するためには、機材ごとに初回講習を受講していただく 必要があります。初回講習や見学会などは、下記よりスケジュールをご確認ください。 http://fablabsendai-flat.com/facilities/

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