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ライターバトン -14- 「海をわたって」

仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。

海をわたって

「ライターたるもの、いろんな経験をすべきである」
と言い聞かせ、年に一度旅に出ている。
今まで「この間のアレ、仕事に生きたわー」という経験は一切ないが、
仕事を断ってしまう申し訳なさと、収入が減ることの不安と、
「ほかの人はがんばってるのに、なんだかすみません」という
誰も気にしていない罪悪感に対する、ただの言い訳&こじつけである。

行き先は海外のどこか。
でも、情けない話、英語は一切できない。
というと、「いやいや謙遜でしょ!? 困らないくらいは話せるでしょう」という顔をされるが、
これがお恥ずかしながら本当で、毎回旅先で困る。
数年前には、機内で白ワインが通じず水が出てきたこともあった
(訂正する言葉も知らないから、透明度の高いワインと言い聞かせて飲む)。
「日本人って英語できないよねー」って言われる典型的なやつだ。
※こういう日本人に迷惑している皆さん、すみません

旅先では毎回「帰ったら英語の勉強だ!」と思うのだが、
帰国すると「どうにかやってこられたからオッケー♪」と思ってしまうB型。
B型であることを都合よく使うB型である。

でも、なんとなくやってこられるのは、
現地語の「こんにちは」と「ありがとう」だけは覚えていくから。
で、それを乱発するからだ。
と思う。たぶん。

あるヨーロッパの国でビアホールに行ったときのこと。
店に入った私と友人をちらりと見て
「どっかのアジア人が来たわ」といわんばかりに
チラ見をして通り過ぎたスタッフが、
現地の言葉で「こんにちは」と声を掛けたとたん、
ピタリと足を止め席に案内してくれたこともあったっけ。
で、その後の旅はとにかく「こんにちは」の乱用だ。

旅先では、いろんな場面で現地の人に助けられてきた。
ホテルまで案内してもらったり、切符の買い方を教えてもらったり、
料理のオーダーを手伝ってもらったり。
そのたびに「日本で困ってる海外の人に恩返しを!」と思うのだが、
「日本でだって英語ができないと助けられないよね!」と、英語問題再びだ。

最近では仙台でもたくさんの外国人観光客を見かけるようになった。
いつか、道案内くらいはできる人になりたい!
と、数年前から思い続け、まったく英語が上達しないB型である。

次回

次にバトンを渡すのは、元同僚でありお互いにフリーになってからも何かと縁がある岡崎裕子さん。「て」から始まるお題で、彼女らしくきっとおしゃれな話をしてくれるでしょう。

関東博子

関東という名前だが、山形県天童市出身(名刺交換時の常套句)。仙台の大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーランスライターに。趣味をつくろうと、気になるものに手を出しては何も定着せず現在に至る。

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