仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム

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ライターバトン -2- 「手しごとのこと」

仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。

手しごとのこと

手しごとがあった暮らし

仙台で産声を上げて、仙台で育ち、結婚してからは岩沼へ居を移したものの、産まれてから35年間ずーっと宮城県で暮らしている私。幼少期は祖父母と同居しており、家の中にはたくさんの宮城の手しごとがありました。ガラスケースの中で存在感を放つこけしや堤人形、卓上に置かれた玉虫塗の煙草セット(煙草入れ、ライター、灰皿の3点セット!)、お菓子や果物が盛られた仙台堆朱の菓子鉢、玄関先には傘立てがわりの堤焼の水がめなどなど…。祖父母と行った元朝参りやどんと祭の露店でずらりと並んで売られていた松川だるまの姿も印象的。作ったばかりなのか、塗料の匂いが残る真新しいだるまさんを抱えて帰り、神棚に置いていました。当たり前にそこにあって、当たり前に暮らしの中に溶けこむ工芸品の数々がそこにはあったのです。

手しごとを知る暮らし

そんな工芸品があった暮らしを懐かしく、愛おしく思い出すようになったのは、仕事を通じて工芸品が生まれる場所を訪ねることがライフワークになったから。2012年から仙台・宮城の工芸品を紹介するウェブサイト『手とてとテ』に携わるようになって、これまで5年もの間、たくさんの工房を訪ね、たくさんの職人さんに出会ってきました。工芸品そのものはもちろんのこと、その後ろにある歴史や作り手の想いに触れ、小さいころには分からなかった工芸品の魅力や価値を日々発見しています。

時には取材を通り越してお手伝いをすることも。これは藍染に使う藍の葉を刈り取っているところ。栗原市栗駒文字地区に伝わる藍染「正藍冷染」は現存する日本最古の染色技法。藍の栽培から、染めまで自家で一貫して行っています。初代千葉あやのさんは人間国宝に指定され、現在は3代目の千葉まつ江さんがその技を伝承しています。ジャパンブルーとも称される藍染の原点がここ宮城にあるということはとても誇らしいことですよね。

刈り取った藍の葉をワラの筵の上で揉む作業。感触を直に感じたくって、手袋なしでもんでみたらあっという間に手が真っ青に。この後、色がより濃くなって、手洗いしても全く取れない事態に…。次の日、子どもの保育園の運動会だったのですが、真っ青な手で長女と手をつなぎ親子かけっこに参加する私を一瞥し、「あのお母さん、何したのかしら…」と訝しがる周りの保護者の方々の視線が痛かったのは言うまでもありません…。藍の刈り取り、藍もみは8月、9月の炎天下の作業。今年もお手伝いに行く予定です。(ちゃんと手袋は忘れずに装備!)

手しごとがある暮らし

人の手から丁寧に作られ、大量生産にはない、味わいとあたたかみのある工芸品。知れば知るほど欲しくなり、我が家にはたくさんの工芸品が集まっています。安価で壊れにくいものであふれる現在ですが、愛着を持って長く使う・愛でることができるものがあるだけで、心が明るく豊かに。2人の娘たちが大人になっても「お母さんは岩出山の米とぎざるでお米を研いでいたなー」とか、「大好きなお菓子がのっていたのは玉虫塗の菓子鉢!」とか、「牛乳は大き目な堤焼のマグカップで飲んでいたよ」とか、私同様、思い出の中に宮城の工芸品が残っていてくれるといいなと思います。


さて、お次にバトンを渡すのは私と同じく子育てしながらライターとして活躍する佐々木綾さん。仕事と家庭の両立を、時に互いに励まし合ってお仕事している頼もしい仲間です。どんなお話が出てくるか、お楽しみに!

-1-「はじめまして」-2-「手しごとのこと」-3-「共働き世帯の子育てのはなし」

小原 瞳

仙台生まれ、仙台育ち。2児の母。仙台・宮城の工芸品をアーカイブするウェブサイト「手とてとテ」のライティング・コーディネートを中心に、フリーライターとして各種媒体の編集に携わる。

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