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ライターバトン -31- 「いつまでも残るコトバ」

仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。

いつまでも残るコトバ

ふとした時に思い出す言葉は、「モノづくり」をしている人たちの言葉が多い。取材をしていて、熱い想いやこだわりを聞くと、自分もワクワクしてくる。その想いを書く時も、テンションが高くなる。今日はこんな機会がなければ今後も紹介されることはないであろう、私がライターになる前に経験した「モノづくり」にこだわる人たちの忘れられない言葉を綴ろうと思う。

思えば小さいころから、「モノづくり」は身近にあった。洋裁の内職をする母のそばで、まち針の先の丸い玉を色分けして針山に刺して遊んだり、端切れをリカちゃん人形に巻き付けて服にしてみたり。ニットは母の手編みだったし、中学校の制服は母が縫ってくれた。そして気がつけばファッションデザイナーになっていた。当時は厳しい上司たちが苦手だったけれど、ふとした時に思い出すのは彼女たちの言葉だ。

「ウール混じゃないメルトンなんてコートじゃないわ」
「妥協できない1cmがある」
3月に着ていいのは非ウールコート。ロングなんて論外」
「ファッションは我慢よ!」
9号が着られなくなったらデザイナーを辞めなさい」
「ヒールを履けない人にエレガンスは語れないわ」

羅列すると、怖い言葉もあるけれど、当時はファッションを発信する側として、持つべき美意識をひたすら叩き込まれた。ちなみに一番上の「ウール混~」は、ファストファッションが台頭してきたころ、MD(*)が価格訴求の素材を使ったコートはどうかと提案した際に放たれた言葉。ブランド価値を下げず、他にやれることがあるという意味が込められていた。

「家にどんな絵画を飾っているの?」と、飾っていることを前提に聞かれたこともあった。飾っていないというと、信じられないという空気を漂わせる…。(同僚は「壁がコンクリート打ちっ放しだから何も飾れないんです」とうまく逃げていた!)今思うと、心に豊かさを持ってほしいという意味なのだろう。

プロ意識と心の豊かさを持つこと。生きていく上で、大切なことを教えてもらった。今でも尊敬する素敵な女性の、さすがだなあと思った言葉を最後に。

「私にとってファッションは安らぎであり、スパイスであり、そうねえ、人生そのものかしらね」

 

*…マーチャンダイザー。アパレルメーカーやデパートなどで、商品の開発や販売に関する計画の管理、予算管理などの業務を担当する職種。

次回


次にバトンを渡すのは、一般社団法人IkiZenの佐藤大樹さん。悩んだり、困ったりした時、気がつくと大樹さんに電話をしてしまいます。いつも相談に乗ってくれるやさしいお方です。ご期待ください!

-30-「後ろばかり振り向いてもキリがない」-31-「いつまでも残るコトバ」-32-「Bar-f-out!(バァフアウト)」

伊地知由理

株式会社月刊カフェラテ ライター、プランナー。福島県相馬市出身。
東京でアパレルメーカーに就職。15年ほどファッションデザイナーとして勤務し、宮城に移住。復興情報誌や観光パンフレット、おでかけママガイドなどに携わる。老後はBlytheの洋服作家になりたいと思うけれど、老眼で針に糸を通せるのかどうか…。

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