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大久保雅基

Creators Diary クリエイターズダイアリー

仙台で活動するクリエイターらが日々の出来事や想いを書き留める7日間のフォトダイアリー。誰にでも等しく訪れる一日。けれどもその数だけ異なる一日がある。書くことで読まれる出来事と、読むことで知る誰か。コロナ禍に顔を合わせる機会は減れども、それぞれの日常は続いている。「元気だろうか?仕事はどう?」と頭に浮かぶあの人が近くて遠いこの頃に綴る、一週間の記録です。(月3回更新予定)

12月12日(土)曇り

クリエイターズダイアリー「大久保雅基」

最近は音楽イベントを希少に感じるようになった。コロナ禍以前は毎月どれに行くかを選択できるほど開催されていたし、ショッピングに行くような軽い気持ちで行くことも多かった。今日は久しぶりにクラブイベントへ参加。南町通にあるチェスコ屋にて『仙台ビアリスト保育園 5杯目!!』が開催された。このイベントはハードコア・テクノを中心としたパーティーなのだが、ビール好きの観客を園児として、童心に帰って楽しんでもらうコンセプトを設定している。毎回、地元ブリュワリーのクラフトビールやベルギービールの樽生が用意され、椅子とテーブルが置いてある会場で飲食しながらDJを聴ける。東京の大きなクラブイベントのように大音量でずっと踊り続けるようなイベントも楽しいが、飲食を着座で楽しみながらクラブミュージックを聴けるイベントは珍しい。それはコロナ禍のイベントに推奨される様式にもマッチしていて、この状況での適切な回答だと思った

12月13日(日)晴れ

今日は『名古屋電子音響音楽コンサート2020』がオンライン配信で行われ自宅から試聴した。このコンサートは毎年、愛知県名古屋市にて開催されているが、感染症感染拡大防止のためオンライン配信となった。今年は多くのイベントがオンラインで行われるようになった。電子音楽のコンサートでは会場設置のスピーカーの性質によって全体音量や、高音、低音などが調整され、作曲家の管理した音が観客に届けられる。オンライン配信では視聴者はヘッドフォンやイヤホン、ノートパソコン、スマートフォンなど様々な環境で聴く。現場では届けられるはずの低音が一部の視聴者には聞こえなくなってしまい、作曲者の意図とは異なる音楽が伝わってしまう。そのためオンライン配信ではその視聴環境を想定した音楽として作曲する必要があると思った。オンライン配信の魅力や可能性を引き出す様々なアイデアもあるので今後試していきたい。

12月14日(月)曇りのち雪

今日は誰かと何かをする予定は無かった。変な言い回しだが、仕事やプライベートを含め外に出かけたり、オンラインミーティングをする予定は無かったという意味である。とはいえ休日も仕事はするし、電話はかかってくるし、チャットツールで仕事の話をする。今日は自分の為に時間を使える日である。主に新作の制作をしていた。アルゴリズムで生成する音楽なのだが、プログラミングツールでアルゴリズムを検討し、音楽の大枠は音楽制作ソフトで下書き的に打ち込んでみる、を行ったり来たり。休憩と気分転換で亀の水槽を掃除し、蟹のトマトクリームパスタを作った。夜にはインターネットラジオ「OTTAVA」とクラシック音楽情報誌「ぶらあぼ」がコラボレーションした番組「Radio Bravo」で、12月16日に行うオンライン配信のコンサート『AIベートーヴェン』の特集があった。このコンサートには僕も出品しており、番組内で1分ほどデモ音源を流してもらえた。

12月15日(火)雪

雪が積もった。例年よりも早い気がする。いつもの風景が白く覆われる様子は見ていて楽しい。雪を見ると落ち着くし、踏みしめたり手で握ったりする感触も面白い。しかし交通手段が不便になるのは嫌でもある。相反する気持ちに翻弄される。これって恋? いつもは原付移動なのだが、危険なので久しぶりに長距離を歩いた。運動不足がたたりその日のうちに脚は筋肉痛になった。

この企画のおかげで久しぶりに日記を書いている。最後に書いたのはおそらくmixiをやっていた10年以上前だ。今やTwitterやFacebookに書くのは活動の宣伝だし、まとまった文章も作品解説や研究発表など考えてたことや調べものばかりになってしまった。今日は作曲の続きをした。音楽生成システムのリアルタイム表現の純度を高くするのであれば、音楽的時間構造を解体した方が良いが、音楽作品として面白みにかけるというジレンマに悩んでいる。

12月16日(水)晴れのち雪

サグカレーを作った。2ヶ月くらい前にスパイスを購入して、スパイスからカレーを作っている。まだ5回目くらいで調合や調理の感覚が身についておらず、インドカレー屋さんで食べるような風味にならない。

今日は新作を出品した東京藝術大学COI機関主催のコンサート『AIベートーヴェン』の配信日。12月16日はベートーヴェン生誕250年の日で様々なコンサートでベートーヴェンが取り上げられている。このコンサートでは「人工知能とベートーヴェン」がテーマである。

コンサートの日は大抵、早起きして現場に到着する。準備時間に音響機器や会場の響き等の環境に合わせて音量・音色の調整を行う。本番では演奏したり解説で喋ったりで一日中フル回転。今回のコンサートは収録だったので、本番日だというのにカレーを作っていられた。しかし本番日なのに何もしないということが初めてだったため、配信が終わるまでソワソワしてしまった。

12月17日(木)雪のち晴れ

以前から食べてみたかった「マンチーニ」のスパゲッティーニが届いたので調理した。「マンチーニ」はイタリアのミシュラン星付きレストランに多数採用されるなど実績のある若いメーカー。小麦栽培から加工までを自社で行っている。仙台の高級食材店を回っても見つからなかったのでネット通販で購入。

ニンニクとアンチョビのオイルベースにミニトマトとドライトマト、オリーブ。ハーブはせり。オリーブとせりの組み合わせは香りがごちゃごちゃしてしまった。食べてみた印象は、もちもちした食感でありながら重たくなく小麦の風味が豊かだった。スーパーでも購入できるブランドのパスタも美味しいが小麦の臭みが強い印象。それに比べるとあっさりしているが、しっかりとした味わいだった。こだわりのつけ麺屋さんに行くとよく「まずは何もつけないで麺を食べてください」と言われるが、そのような食べ方もできるパスタだった。

12月18日(金)晴れ

ラジオ日本の番組「Happy Voice!from YOKOHAMA」で『AIベートーヴェン』の取り組みが紹介された。自分の作品も紹介していただけた。残念ながら放送は関東エリアのみのため仙台では聴けず。

ここ数日は映像編集をしている。オルガニスタの後藤香織さんがクリスマス・イブにチャリティーコンサート動画企画をされ、収録・編集をすることになった。もともと録音やミキシングなどの仕事はしていたが、最近はビデオカメラや配信機器を手にしたので、収録やコンサート配信なども行っている。パイプオルガンの録音では、会場の空気感を再現するような音を考えるのが楽しかった。

引きこもり気質な自分は「これほどインターネットが普及しているのに、家でもできる仕事を何故会社でやらなければならないのだろう」と10年ほど思い続けていたのだが、今年は多くの仕事やイベントがオンラインで代替されるようになったのでありがたかった。

写真と文 = 大久保雅基

1988年仙台市出身。プログラミングや音響機器等のテクノロジーによって音楽体験を拡張する作曲家。名古屋芸術大学芸術学科芸術学部デザイン領域、愛知淑徳大学人間情報学部非常勤講師。サウンドエンジニア、プログラマとしても活動。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコースを成績優秀者として卒業。情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科修士課程修了。日本AI音楽学会、先端芸術音楽創作学会、日本電子音楽協会会員。

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