SC3ウェブサイト 仙台市

鈴木淑子

Creators Diary クリエイターズダイアリー

仙台で活動するクリエイターらが日々の出来事や想いを書き留める7日間のフォトダイアリー。誰にでも等しく訪れる一日。けれどもその数だけ異なる一日がある。書くことで読まれる出来事と、読むことで知る誰か。コロナ禍に顔を合わせる機会は減れども、それぞれの日常は続いている。「元気だろうか?仕事はどう?」と頭に浮かぶあの人が近くて遠いこの頃に綴る、一週間の記録です。(月3回更新予定)

9月10日(木)くもり

明日は山形県の大蔵村で灯籠絵展示会「ひじおりの灯」の設営があるので荷造りをする。思い出せる限り荷造りについて思い出してみても、荷造りが早めに終わった経験があまりない。荷造りに終わりはない。

9月11日(金)晴れ時々雨

久しぶりの山越え、山形へ。出張仕事のときは体温計を携帯するようになり、できる限り車で移動するようになった。大学に立ち寄って作品を受け取る。学内に入る時には検温が必要。芸術祭がオンラインで開催されていてその配信ブースを見せてもらう。大工の友人が作った什器がかっこよくて元気が出た。国道13号線を北上して肘折へ。庄内の建具屋さんに仕立ててもらった灯籠が届いていた。新作は13基。夜、79日ぶりに温泉に浸かる。

9月12日(土)くもり時々雨

布団のなか、大雨の音で起きたと思ったら温泉街を流れるお湯の音だった。ずっと水の中にいるように感じて、何度来てもその音に驚いてしまう。宿にある温泉の脱衣所に飾られていた成分表によると、温泉街には毎分5000リットルの温泉が湧き出ているらしくそれはもうまるごとお湯の中だ。ずっとお湯に浸かっている気分。

午前中から展示設営。屋外展示なので雨が心配だったけれどなんとか無事に点灯できた。涼しくなった秋の空気に灯が揺れている。作家に送る作品のスナップを撮る。消灯し、労いの時間。温泉街にある「カネヤマ商店」の店主が時間外だけど特別にお店を開けてくれた。友人たちと語らいながら遠くにいる作家の友人たちのオンライントークを視聴。画面越しにも再会はある。

9月13日(日)晴れのちくもり

温泉街では早朝6時から朝市がひらかれていたのに、無事点灯できた安心感からかぐっすりと寝てしまった。朝ご飯ギリギリに目覚めても食欲は旺盛。友人と山に登り、下山しながらアケビをいくつか収穫。マスクをしながらの登山は結構息苦しい、ひらけたところでマスクを外して空気を吸った(こんなにもおいしい…)。もう一度お湯に浸かって帰路につく。

帰宅したら、テキストを担当した宮城在住のペインター・福田美里さんの個展のDMが届いていた。折りをひらくとポスターのようになる、デザインは盛岡のhomesickdesignさん。書き下ろしの絵も素晴らしくてついひらいてしまう。会期は10月の盛岡市。頭の中で盛岡旅を組み立てながら、SC3の企画書を慌ててまとめる。

9月14日(月)くもり

SC3の打ち合わせのため卸町へ。TRUNK周辺の道を歩くと鈴虫の大合唱で秋を感じる。そしてあまりに鈴虫しかおらず不安を覚える。フィールドレコーディングの楽しみについて書かれたテキストを読んだばかりだったので耳がそうチューニングされていたのかもしれない。今日の参加者はカメラマンのはま田さんと事務局の長内さん、磯崎さん。Zoomで参加のメンバーも。

画面越しの打合せが増えてから家のWi-Fiを見直そうと思っていたのに未だ改善できていない(していない)。もう少しこのままでいれば家の電波が悪い人という認識がなされ、途中で画面が固まり通信が途切れても許される人になるかもしれない、と少し期待している。帰り道も鈴虫。ちなみに鈴虫は秋の季語、松虫とも呼ばれる。そういえばちんちろりんと唄があったなと一句詠んでみた。

9月15日(火)くもり

今日は一日家に居る日。連日の疲れもあるし荷ほどきもできていないし部屋を片付けたい。だらだらしながらそういえば部屋のカーテンを換えたかったことを思い出す。今年は友人たちとプロダクトをつくる試みをしているのでその布でカーテンも作れるのではないかと模索していたのだけど、フィールドワークを重ねてばかりで未だ完成していない。

人知れずカーテン好きである。布だから、揺れるから、一枚で空間ができるから。そのうえ風がとおって向こう側も見える。家にあるもののなかで布団の次ぐらいにいい気がする。布団+カーテンで天蓋付きの寝室を作れば家のなかで一番完璧な場所ができるかもしれない。ちなみに次点は台所。いつでもご飯を作れるし、真夜中の冷蔵庫の音は最高。

写真と文 = 鈴木淑子

文化施設や大学事務局勤務を経て、現在は宮城を拠点に活動。印刷物やウェブサイトの執筆・編集、展覧会やプロジェクトのマネジメントに携わっています。

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