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クリエイターインタビュー後編|横塚明日美(グラフィックデザイナー/合同会社nekiwa)

CREATOR INTERVIEW クリエイターインタビュー

「地域の垣根を越えた交流が、もっとたくさん増えてくれればうれしいです」

丸森町を拠点にグラフィックデザイナーとして活躍する横塚明日美さん。デザインのみならず、最近では手しごと品の販売を手掛けるなど、新たな作品の創出にもチャレンジしています。そんな横塚さんに、地元で働くことの魅力、そして今後のビジョンについてお尋ねしました。

― 丸森に戻ってきてから約4年が経ちますが、地元で働くことの良さ・魅力はどういったところにあるのでしょうか?

仕事でもプライベートでもサイズ感がちょうどよくて、なんとなく落ち着く感覚がありますね。特に今の会社は規模も小さいので、いただく案件のボリュームもそこまで大きくありません。これが大きな案件になると、確認に時間が掛かってしまったり、たくさんの人から決裁をもらったりしなければなりませんが、「お客さんと一緒に仕事をする」という点からしてみれば、自分たちにとってぴったりのサイズ感で仕事ができています。

― 地域密着型の仕事も多いでしょうから、とても大事なことですよね。

そうですね。もちろんこの地域だけではなく、仙台のお仕事などにも携わらせてもらっていますが、土台になる場所があるとやはり安心感が生まれます。また、自分は大学時代から6年間、仙台で暮らしましたが、地元を離れたことでこの地域に対する見方が少し変わったような気がします。たとえば、今日の取材場所である不動尊公園キャンプ場もそうですが、外からのフィルターを通して見ると、これまで自分では気付けなかった新しい魅力や価値を発見することができました。なので、一度ここを離れたことが、今となってはプラスに働いています。

― それでも、地元に戻ってきた最初の頃は、ネットワークも少なくて大変ではありませんでしたか?

もちろん大変でした。本来であれば、フリーランスになるときって、会社でそれまで担当していた案件をそのまま引き継ぎながら、その他の仕事を増やしていくパターンがほとんどです。だけど、自分の場合はそうではなかった。なので、地元で働いていた友達を頼りながら、その周りの方々とのつながりを徐々に増やしていって、ここまでなんとか来ることができました。ただ、地元ということもあって、打ち合わせのときに「丸森出身です!」と伝えると、どこの地区の出身かで話が盛り上がったり、自分の家族を知っている人に出会ったりもします。コミュニケーションの土台がある分、割と仕事がしやすい環境にはありますね。

― Uターンの先輩として、周りにアドバイスしておきたいことはありますか?

どの地域でもそうですが、「同じような仲間は案外多いよ」というのはぜひ伝えておきたいですね。私も地元に戻ってきたときは、自分のやりたいことが果たしてできるのだろうか、仮にやれたとしてもうまくいかないんじゃないか、といった不安がありました。でも、いざ戻ってみると、本業ではないにしろ、デザインに興味のある方や、似たようなことをすでに行っている方は結構いらっしゃって、やりたいことを共有できる相手がたくさんいました。しかも、コミュニティーが狭い分、そういった方々と一度つながると、そこから他のつながりもどんどん増えていきます。クリエイティブ分野のお仕事を経験されてこなかった人でも、飛び込んでみる価値は十分にあるかと思います。

― ちなみにデザインの仕事以外にも、新たな事業を進められているとお聞きしました。

2020年5月に「手しごとのある暮らしmaru」を立ち上げ、手しごと品の販売・ショップ運営をスタートしました。私自身、もともと好奇心が旺盛なほうで、大学時代もデザインを勉強しながらいろいろなことに取り組んでいました。デザインの仕事だけをしていると、人と会う機会は限られますが、手しごと品の販売では仙台のマルシェなどに出店するときもあって、そこで県内外のさまざまな方とつながりが持つことができるので楽しいですね。しかも、雑貨屋さんだけでなく、イラストレーターの方なども商品を販売しているので、後にデザインの仕事でもご一緒できそうな方とも知り合うことができます。最初から計画していたわけではないのですが、事業を進めていくうちにそうしたつながりが増えていったので、今となってはとてもありがたいことです。

― 新たにチャレンジしてみたいこと、今後描いているビジョンなどはありますか?

個人的にやってみたいこととしては、最近は代替わりをされている会社も多いので、そうした会社のリニューアルのお仕事に携わってみたいなと思っています。相手と一緒に何かを考えている時間が私にとってはとても楽しいので、新しいものを生み出すことはもちろんですが、今まであったものをどう変えていくかといったコンサルティング的な分野にもチャレンジしてみたいです。それと、これは宮城県全体に対する期待になってしまいますが、丸森に住んでいるせいか、どうしても今の県内って、仙台、沿岸、その他、といったように地域ごとに大きく分かれてしまっているような気がします。さまざまな地域と関わりが持てるようになれば、県全体がさらに盛り上がっていくはずなので、地域の垣根を越えた交流がもっとたくさん増えてくれればうれしいです。そのときは、ぜひ丸森町もその輪の中に入れてほしいですね(笑)。

― 最後にクリエイティブ分野への就職を目指す若者たちへメッセージをお願いします。

大学時代に先生から「『作って終わり』じゃ意味がないよ」とよく言われたのを覚えています。仕上がりはどうであれ、作品ができたらまずはそれを人目に触れさせる。そこから次はどのようにしていこうかと考えることが大事なんだよと教わりました。私が学生の頃と比べると、今はSNSもだいぶ発達していて、ハッシュタグなどを付ければ簡単に自分の作品が拡散できる時代です。たとえそこで興味を持たれなかったとしても、作品をつくり続けることで自分自身の成長にもきっとつながるはず。便利な世の中だからこそ、自分の作品を「見せる」という習慣をまずは身に付けてほしいですし、私自身もその気持ちを忘れずに、これからの仕事を頑張っていきたいです。

取材日:令和3年8月27日

取材・構成:郷内 和軌
撮影:はま田 あつ美
取材協力:不動尊公園キャンプ場

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横塚明日美(よこつか・あすみ)

1992年生まれ、丸森町出身。東北工業大学クリエイティブデザイン学科(現・産業デザイン学科)を経て、2015年、仙台市内の広告制作会社に入社。18年より丸森町を拠点にフリーランスとして活動を始め、20年4月に合同会社nekiwaを設立。紙媒体の広告物を中心にさまざまなジャンルのデザインを手掛けるほか、「手しごとのある暮らしmaru」では地域で受け継がれてきた手しごと商品の販売を行っている。

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