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クリエイターインタビュー後編|坂部 認(パフォーマー・マネージャー)

CREATOR INTERVIEW クリエイターインタビュー

言語や知識を越える、多彩に踊るジャグリング

坂部認さんは「ぼたもち堂」のジャグリングパフォーマー。タイ舞踊と合気道をミックスしたオリジナルパフォーマンスする大道芸でイベント出演するほか、ボール1個からはじめられる「躍るジャグリング」のワークショップを幼稚園や児童館で開催したりと、学校教育以外の環境で子どもたちの育成に関わっています。そんな坂部さんがどのようにしてジャグリングに目覚め、活躍の場を広げてこられたのかお話を伺いました。

― ジャグリングはいつ頃からされているのですか?

ジャグリングは11歳から自己流でやっていて、大学卒業後から本格的にパフォーマーとして活動しています。私がはじめた頃はジャグリングを学ぶ学校や師弟関係などもなかったので、仲間で集まりながらやることはあっても基本的には一人でした。

あとは『ホゴノプロフィス』という、仙台でパフォーマンスの普及活動をされている団体の練習会には顔を出していました。

― ジャグリングをはじめたきっかけを教えてください。

最初のきっかけはお手玉です。正月などで年に数回は新潟の祖母の家に帰省していたときは、よくお手玉で遊んでいたので3つできたときの感覚が楽しくてジャグリングに興味を持ちました。ちなみに祖母の家はお寺だったので、一応私もお坊さんの資格を持っているんですよ。

ー 坂部さんの佇まいから、素直にお坊さんのイメージが湧いてきます!

今でもお盆になるとお経を読みに行きますよ。最近は新型コロナウイルスの影響で行けなくなってしまいましたが、檀家さん回りをしたりします。

ー お坊さんになるための試験のようなものはあるのですか?

私は小学5年生の時に試験を受けました。試験は、お坊さんになるためのものとお寺を守るものの2段階あるのですが、私はその最初の一つだけ取りました。お経の試験と京都の東本願寺で剃刀を当てる儀式がありました。

ー ジャグリングで一番苦労した技を教えてください。

ボールを使った「ミルズメス」という技があるんですが、3つのボールを投げながら腕を交差するもので、苦労したけど今でも好きな技の一つですね。パフォーマンスでは、ボールとタイ舞踊をかけ合わせた「踊るジャグリング」が得意です。そのほかにもボールジャグリングをはじめ、2本の棒でコマを操るディアボロ、タイの剣舞をベースにしたオリジナル舞踊クラブ、椅子や机をあごに乗せるバランス芸などの演目も行なっています。

ー 坂部さんは、なぜジャグリングを続けているのでしょうか。

得意で楽しいことなので「やめる理由が特にない」ということがあると思います。はじめてから20年ほどの間、ほかにやりたいこと、優先していたことがあるときもありましたが、全くジャグリング道具に触れない期間というのはなかったと思います。

もう一つは、色んな人に出会えるということがあります。特に子どもたち。学校の先生にはなりませんでしたが、代わりにジャグリングを通してたくさんの子どもたちと活動ができるのは、とても嬉しいことです。

ー 新型コロナウイルスの流行によって、パフォーマンスの機会にも影響はありましたか?

パフォーマンスができる機会は減りましたね。2020年5月のGWに岩手県立児童館「いわて子どもの森」で、パフォーマンスとジャグリング体験とちょっとだけ大道芸っぽいことを予定していたのですがキャンセルになり悲しかったです。

ー 仙台だけではなく、東北圏でも活動されてるんですね。

そうですね。大きいところでは、福島県伊達市にある「りょうぜんこどもの村」という子どものためのミュージアムにも呼んでいただきました。ここは山の中にある施設なので、山好きの私には最高の場所ですね。

小学生の頃は、友達が住んでいた天狗山っていう神社があって、そこで走り回ったりして遊んでいました。

ー 山好きなんですね!仙台、宮城を拠点にしていて良かったと思うことはありますか?

肌に合っていたんだと思います。でも「山が好きだから、山で暮らそうか」と明才さんとも話したことはあるのですが「明才さんは絶対山から下りなくなるし、私は飽きっぽい性格だから刺激がないとすぐ下りたくなる」という結論に達しました。なので私にとって仙台は、その点において丁度いい場所なんだと思います。

『多夢多夢舎』のプロジェクトで東京にいたことがありましたが、1日中働いている感じが合わなくて。無理だなって思いましたね。時間軸が違う気がします。

― 幼稚園や児童館などでたくさん活動されていますね。

特に何か工夫したわけではないのですが、口コミなどで少しずつ増えていきました。あとは、他団体から文化庁派遣事業の「子どものための事業」でパフォーマーとして声をかけてもらうこともあります。

― 文化庁の派遣事業にも参加されたんですね。ちなみに海外でも公演してみたいですか?

タイ舞踊の師匠が日本にいるんですが、その師匠の師匠はタイの方なので2019年にタイのチェンマイへ行き、その方から踊りの手ほどきを受けることができました。

そういえば骨格が現地の人に似ているのか、バリに行ったときは現地の人にバリ語で話しかけられたりしましたね。何を話しかけられているのかわからなかったですが(笑)

― 今後、挑戦して見たいことを教えてください。

気になっているのが0〜2歳児の「ものの見え方」です。この年齢の子どもたちは、目でものは見えているけど「見たことのある脳内の記憶や情報」を感情に関連づけている途中だから、その子たちが楽しんでくれるジャグリングをやっていきたいです。

― 感情を関連づけるというのはどんなものでしょうか?

例えば、私がアゴに机を乗せて大道芸をすると小学生くらいの子どもたちから大人は「すごーい」と喜んでくれるけど、0〜2歳児はポカーンとしてるんですよね。「大人は机をアゴに乗せられるんだ」くらいの認識で終わっちゃうから、難しいことをしているっていう感動には繋がらない。

それでこの間、新聞紙でのパフォーマンスをやりました。ちょうど顔を認識しはじめる年齢なので、顔が出たり入ったりする動きを新聞紙の形を次々変えてみたりすることで集中して楽しんでくれました。

また、施設利用者の皆さんともオンラインワークショップを行ないました。

― ジャグリングをする上で大切にしていることはありますか?

「発酵」という言葉で例えているのですが、いろんな技術をからだの中に入れて混ぜ合わせて、それが同時に滑らかに体現できるまで、時間をかけて待つようにしています。

頭を使うよりも、からだの声を聴きながら時間に任せた方がうまくいくような気がしています。 パフォーマンスという意味では、「そこにある木」のようにあるのが好みなので、静かにそこにいることを大事にしています。

― これからパフォーマーを目指す方々へメッセージをお願いします。

ジャグリングはどうしても技術の比重が大きいし、それがないとできないことも多いです。それでも、自分のスタイルや考え方を組み込んでいくと他のジャンルの人ができないことができるので、そこを楽しんでもらえたらと思います。

取材日:令和3年6月22日

取材・構成:太田和美
撮影:はま田あつ美
取材協力:せんだい演劇工房10-BOX

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坂部 認(さかべ・みとむ)

「ぼたもち堂」ジャグリングパフォーマー/アートマネージャー

宮城県仙台市出身。32歳。宮城教育大学卒。小学校教諭・特別支援学校教諭免許取得。

タイの舞踊や合気道を取り入れた「踊るジャグリング」が持ち味のパフォーマー。「NPO法人エイブル・アート・ジャパン」東北事務局プロジェクトスタッフ。「生涯発達支援塾TANE」プログラムディレクター。2012〜2018年「NPO法人多夢多夢舎 中山工房」支援員として勤務、現理事。2013年2月木版画家とのユニット「ボタルヤ」でマネージメント業務を開始。

ぼたもち堂 https://botamochidou.tumblr.com

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