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クリエイターインタビュー前編|浅野瑞穂(推しごとアシスタント)・中田敦夫(企画プロデューサー)

CREATOR INTERVIEW クリエイターインタビュー

「子どもの発想を上回るようなコンテンツを届けたい。子どもに負けたくないんですよ!(中田)」 「グラフィックにとどまらず、さまざまな面で中田さんのような人を応援していきたいですね。(浅野)」

「子どもの創造性を育むプロダクトを作りたい」という構想を持ちながらも、立ち止まっていた中田さんを支えたのが”推しごとアシスタント”の浅野さんでした。
今回はお二人の普段のお仕事のことから、想いを形にしたプロダクト”お笑いノート”の制作秘話をお伺いしました。

―普段のお仕事・活動のスタイルを教えてください。

浅野「簡単に言えば、クリエイティブディレクターのような仕事をしています。就職をきっかけに涌谷町から仙台市へ引っ越してきましたが、会社勤めをしたのち20194月からフリーランスとして活動するようになりました。同年9月には丸森町の地域おこし協力隊にも参加しています。」

浅野「デザインまわりの仕事に関わっていくうちに、やりたいことはあるもののデザインの発注の仕方や、そもそもターゲットを明確に絞ることができない、何かを作り上げても手応えが感じられない、といった悩みを抱える人たちに出会う機会が増えました。プロジェクト自体の組み立てや、デザインの役割を明確にすることでプロジェクトを企画した人らしさを引き出す成果物・商品を作ってあげたいと思うようになったんです。

『何かやりたい!』と考えている人を応援するハブのような存在になりたいと思って推しごとアシスタントと名乗るようになりました。」

―頑張る人を「推す=応援する」から、”推しごとアシスタント”なんですね。
一方、中田さんは現在はマイムケア長町(小規模多機能型居宅介護施設)の職員としてお勤めされているとお伺いしましたが。

中田「私は、もともと千葉県の出身ですが結婚を機に仙台で暮らすようになりました。5年ほど前は会社員として働いていましたが、自分の子どもが地域の児童館に通うようになったのをきっかけに週末は児童館の子どもたちと一緒に物語を作るワークショップをして一緒に遊んでいました。物語をリレー形式で作ることが多かったです。」

中田「当時の職場が運営していたアフタースクール(小規模な児童館でも同じようなことをさせていただいていたのですが、だんだん私のやり方がその現場と合わなくなってしまって。それで、そこでの活動は終わりとし、その職場からも退職しました。
現在は、先ほどおっしゃっていただいたマイムケア長町という介護施設で働きながら、並行して子どもたちの創造性を育むための商品企画やワークショップを開催しています。マイムケア長町には駄菓子屋(マイムテラス長町)が併設されていて、小学生くらいの子どもたちもたくさん遊びにきてくれるんですよ。」

―介護のお仕事をしながら、自分の活動を続けられているのですね。併設の駄菓子屋さんが地域の交流・見守り拠点になっているのも面白いです。
さて、全く違う位置関係にある職種に就かれているように見えるお二人ですが、協働するきっかけは何だったんでしょうか。

中田「アフタースクールに通っていた子どもたちとは、物語づくりの他にも、コトバマグネットという楽しみながら言葉を学び、発想力を培っていく遊びを一緒にやっていました。単語を組み合わせてストーリーを作ったり、言葉の意味を考え直す遊びです。創作の楽しさを知ってもらい、自己肯定感を高めて欲しくて。
それを広めたい気持ちが芽生えたものの、応援してくれるサポーター的な存在が欲しい!という想いで2年前、SOCIAL INNOVATION ACCELERATOR(東北社会起業家育成プログラム)に参加したところ、コトバマグネットプロジェクトを採択していただきました。コトマグの構想を取りまとめた成果発表のプレゼンテーションをする機会があり、それを偶然観覧してくれていたのが浅野さん。」

浅野「本当に、偶然で!()以前の会社勤めではできることが限られていたこともあり、モヤモヤと悩んでいたのですが知人の勧めでSENDAI SOCIAL INNOVATION SUMMIT 2019を見に行きました。そこで、足を運んだ日にちょうど登壇していたのが中田さんでした。その発表を見て、この方をサポートしたいと思ったんです。」

中田「創作する楽しさを子どもたちに教えてあげたいとか、こういうものを作って遊んでもらいたいとか、そういう気持ちはあったんです。ただ、気持ちだけあってノウハウもつながりも無く、デザインやら売り方やら何から始めたらいいのか立ち止まっていました。そんな時、浅野さんに声をかけていただいて。」

画像:お笑いノート

―そういったいきさつで、協働することになったのですね。
それで完成したのが、第一弾は”お笑いノート”。

中田「はい。これからの正解がわからない、予測不可能な世の中を生きる子どもたちにとって大切なことは、自ら課題やテーマを見つけ、自分なりの仮説を立てること。そして、試行錯誤しながら自分なりの答えを導き出すことだと考えています。そのトレーニング方法として、お笑いが有効だと気づきました。漫才やコントなど、笑いにも正解は無いですよね。余白がたくさんあり、自由度が高いノートを使って思い思いのお笑い台本づくりを楽しんで遊んでもらえたらと」

―中田さんは、もともと漫才やコントなど、お笑いが好きだったのでしょうか。

中田「実は最初はそういうわけではありませんでした()自分が漫才やコントをやるとかも、考えられないですし。ただ、昔からストーリーを作ることは好きだったので、自分が書いた漫才やコントの台本を誰かが演じてくれたら嬉しいな、というのは浮かんでいました。」

浅野「それがノートを作るアイディアにつながったんです。」

―その制作を浅野さんがディレクションしたり、リリース後も広報などのお手伝いをしたりしていたんですよね。

浅野「そうですね。たとえば、もともと中田さんとつながりのあった東北工業大学のデザインサークル・たまごくらぶさんにお笑いノートのデザインデータ作成をお願いしていましたが、中田さんの意図が伝わりにくかった部分を学生さんに噛み砕いて伝えてあげるとか、コミュニケーションの面もサポートしていました。想いは強いけれど、当初はリリースの目的やストーリーがフワフワしていたので、そのあたりも中田さんと対話を重ねて固めていきました。」

中田「当時は、とにかくモノを作って届けたい気持ちが先行していたんです。浅野さんに制作に関わっていただくうちに学ぶことも多かったですし、学生さんともうまくコミュニケーションを取って制作を進めることができたのでたいへん助かりました。そして20196月にお笑いノートをリリースし、子どもたちに届けることができました。」

浅野「リリース後はホームページを始めとした広報物づくりや、開催したワークショップの様子などを写真や動画で記録するのもお手伝いさせていただいていました。」

―浅野さんのノウハウと中田さんの強い想い、そして協働してくれた学生さんたちの力がうまく噛み合って生まれた”お笑いノート”ですが、リリース後はテレビや地方新聞など、様々なメディアに取り上げられていたと伺っていましたが、その後の反響はいかがですか。

中田「ワークショップを通して子どもたちに創作を楽しんでもらえたことを実感しました。また、複数のメディアで特集していただいたこともあって他県からの問合せも数件あり、予想以上の反響に驚いています。最近だと、仙台放送かのおが便利軒”(20201011日放送でお笑いノートとお笑い芸人さんとのコラボが実現し、自分のリリースするものをより広めていける確信を持つことができました。」

中田「10月には”ももじぞうのおんがえし”という、お笑いノートの続編となるカードゲームも発売しました。今後も今までのモノの見方が変わってしまうような発見をできる商品をリリースしていきたいです。子どもの発想を上回るようなコンテンツを届けたい。子どもに負けたくないんですよ!」

浅野「グラフィックにとどまらず、さまざまな面で中田さんのような人を応援していきたいですね。デザインという切り口で困りごとを解決してあげたい。お笑いノートのように作ったモノで人と人とがつながれば、なお嬉しいです。」

後編につづく

取材日:令和2923

取材・構成:昆野 沙耶(恐山 らむね)
撮影:小泉俊幸

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浅野瑞穂(あさの・みずほ)

Tohoku Yourufuwa Design Works 代表
まるごとデザイン ブランドクリエイター

1991年4月生まれ、宮城県遠田郡涌谷町出身。宮城県伊具郡丸森町在住。

2014年宮城学院女子大学を卒業後、フリーター、大手求人広告の営業アシスタントなどさまざまな経験を活かして2019年にデザイン業・アシスタント業を中心にフリーランスとして活動を始める。「東北のがんばる全ての人を推す(応援する)」ことが仕事のスタイルであることから、推しごとアシスタントを名乗っている。

「お笑いノート(ことマグ)」「御朱印プロジェクト(青森県三戸町)」「商店街活性化チーム/ながまぴーぷる(仙台市太白区長町)」などの企画にも参加。まちづくりに寄与する推しごともしている。

同年10月からは丸森町地域おこし協力隊としても活動の幅を広げ、他世代・他業種が交流できる新しい居場所「アトリエ(仮名称)」を計画進行中。

中田敦夫(なかた・あつお)

1979年生まれ千葉県出身。震災後、仙台に移住。団体職員。

長男の誕生をきっかけに仕事の傍ら、地域の子どもたちへ創造性を引き出す創作ワークショップを実践。2018年子どもたちの自己肯定感を育む教育プログラムの提供をす る、「コトバマグネットプロジェクト」を発足。 を発足。本プロ グラムは仙台市主催・社会起業家向け集中支援プログラム 「TOHOKU Social Innovation Accelerator(東北ソーシャル・イノベーションアクセラレーター)東北社会起業家育成プログラム〜 に採択され、優秀賞受賞。

2019年5月、クリエイティブディレクター浅野瑞穂のディレクションのもと、子どもたちの新しい表現ツール「お笑いノート」を 製作、発売。地方のテレビ・ラジオ番組やYahoo!ニュースをはじめとしたメディアにも数多く取り上げられる。

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