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クリエイターインタビュー後編|遠藤祐輔(グラフィックデザイナー)

CREATOR INTERVIEW クリエイターインタビュー

「子供の外見の成長だけではなく、感性も残したい」

デザインの専門学校へ進学以前は、保育の道も視野に入れていたという遠藤さん。現在は、父として子育てをする視点から新サービス「DOWZO(ドーゾ)」の立ち上げにも取り組んでいます。そのきっかけや展望と、これからデザイナーを目指す人へアドバイスをいただきました。

ー「DOWZO(ドーゾ)」は子供の絵をアートにする取り組みとのことですが、きっかけは保育の道を志していたことに関係があるのでしょうか。

たしかに、専門学校への進学時は、デザインと保育の道で悩んでいました。今、20人、30人の子供達の命を預かると考えると、ただ好きという気持ちだけではできない仕事だなあと思います。デザイナーという仕事を通して子供達と触れ合う時間が作れたらいいなと考えています。

「DOWZO」を立ち上げようと思った大きなきっかけは、震災です。

とにかく、すごく嫌でした。命はもちろん、写真などの思い出も、大切なものがすべて津波によって一瞬で失われました。耐えられなかったですね。

親になって、わかったこともあります。子供が自殺したり、事故で亡くなったりするニュースを目にする機会も多いですが、この子が死ぬなんてありえないと思うんです。「自分が死んでも守りたい」。よく聞く言葉ではありますが、本当にそう思うんですよね。

子煩悩ですが、我が子がぐちゃぐちゃの線で絵を描くんです。それだけなのに天才だと思ってしまうんです。母の日が近くなるとスーパーや保育園に掲示されている、豆に毛が生えたようなお母さんの似顔絵でもすごくパワーがあるんです。

ーたしかに、小さい子が描く絵には独特なパワーがありますね。

そして、絵を飾ってあげるとすごく喜ぶんです。「これ、僕が描いた絵だよ!」と何度も嬉しそうに教えてくれます。ただ飾って終わるのではなく、そこに価値をつけたいなと思い、考えたのが「DOWZO」のサービスです。

ーサービスの内容について詳しくお聞かせいただけますか?

「子供の絵をアートにする」というサービスはすでに存在しています。しかし、デザイナーが手を加えているものが多いです。子供の絵も、デザイナーの手にかかればアートになります!というのではなく、子供の絵をそのまま綺麗に整えるサービスにしたいなと思いました。石灰石を原材料とした「ライメックス」を使用して、耐水性があり、劣化しにくく破れにくい素材にしてあげることで災害にも耐えうる可能性があると考えています。

ー遠藤さん自身もお子さんがいるからこそ思いつく視点ですね。

そうですね。みなさん、子供の写真はたくさん撮って飾っているんですよ。外見の成長は保存しているのに、内面の成長を保存している人があまりいないことに違和感を覚えました。内面の成長とは、2歳では描けなかった犬や花の絵が、4歳で描けるようになったという成長と同時に、2歳の頃にノートいっぱいに描いていた、大人からすると一見めちゃくちゃな色づかいができなくなっているということかなと。成長と共に失われていく感性があります。その変わっていく感性を残していきたいですね。

ー最後に、これからデザイナーやクリエイターを志す若者へメッセージをお願いいたします。

自分がそうだったので、お伝えできることがあります。
スキルは後からついてきます。やればやるほど、勉強すればするほど。デザインは特殊な業界だから「デザイナーやってます!」というと、センスが良いと思われますが、センスは引き出しの数だと思っています。たくさんのものを見てきたから、その場面の課題解決に提案できるものが思いつく。色の組み合わせや、文字の配置、文章構成もそうですね。

僕はそれがデザインというだけで、飲食をやっている人も、アパレルをやっている人もそれぞれセンスがあります。食べ物とお酒の組み合わせや、服と靴の合わせ方は僕にはない引き出しです。ごく稀に、先天的にこなせる人がいます。そういう人たちからもらった知識に+1をし続けることでオリジナルになっていくものだと思っています。

ーそれぞれの業界にセンスが必要で、そのセンスは努力で培われていくのですね。

そう思っています。自分の知らない世界を讃える人がいますが、みんな同じようにすごいのです。デザイン、飲食、アパレル、音楽以外にも、スーパーには品出しのプロがいます。保育士さんも「ただ紙芝居を読んでいるだけですよ」と謙遜される方がいますが、何十人の子供達を集中させるのはプロの技です。僕にはそれが、名刺を作ることだっただけです。

それから、最後にひとつ。
「謙虚」と「謙遜」は違います。謙虚であるべきだとは思いますが、プロが謙遜してしまうと、作られたモノやサービスも自信がないように見えてしまいますよね。その時の自分がベストだと思うものを、自信を持って、決して奢らずに納品するのがプロだと思っています。

取材日:令和2年10月27日

取材・構成:鈴木杏
撮影:はま田あつ美

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遠藤祐輔(えんどう・ゆうすけ)

1987年生まれ。宮城県仙台市在住。アパレル店長、デザイナー、派遣会社支店長、広告代理店という雑食な経歴を経て、現在は「かえるデザイン舎」という屋号で、フリーランスとして活動中。デザイナー目線のブランディングをメインに、ロゴ・印刷物・web・グッズなど幅広くデザインを手掛ける。顔を見て話すコミュニケーションを大切にしている。

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