SC3ウェブサイト 仙台市

私と「雪」

ワタシト

仙台で活動するクリエイターとSC3編集部のライター陣が、毎月のテーマに沿って作品を発表する「ワタシト」。
そのテーマとのつながりを語りながら、写真やイラストと組み合わせ、一つの作品として発表します。
自分はそれについて、どんな印象をこれまで抱いてきたのか。
自分の人生にとって、一体どんな影響をもたらしているのか。
書き留めたエッセイとともに、クリエイターたちの「個性」を覗ける企画です。(月1回更新)

乾風の吹く澄んだ夜空は、5百光年前の光を放つペテルギウスをより輝かせる
昨日まで淡く揺らいで見えていた小さな星々もピカピカと共鳴して
遠い遠い宇宙の真髄を覗けるような気さえした

木々の葉っぱが茶色くなってカサカサ落ち、山は禿げ
地面を滑るような風が枯葉を掃除するものだから
いよいよ鼻がツンとする

始発電車に乗るため、毎日5時起きしていた高校時代
冬になると母が持たせてくれた、両手大のおにぎり2つ
具の定番は、唐揚げと鮭
豪快な愛情をカイロに暖をとった

朝もまだうす暗くて、車のマフラーから吐き出される煙は霧になって消える
夜の残像と夜明けの空気が暖かく眠気を誘う

フロントガラスの霜は鎧となり、行く手を阻んでいて
エアコン全開でもビクともしない
外に茂る葉っぱの霜は、車の蒸気で水滴になっていく

この待ち時間は嫌いじゃない
鼻唄を歌えるくらいには好きだった
ガラスの鎧がジワジワと溶けていく様は、なかなか美しい

でもある程度までくると、ワイパーで強行突破する母は
窓もまだ曇ったまま、最寄駅へと車を走らせた

そろそろ、今年も雪が降りそうだ

Sound = 中里 広太

サウンドアーティスト

1983年宮城県仙台市出身。2008年より音の即興アーティストとして活動をスタートさせる。これまでに多ジャンルのアーティストとのコラボレーションが多数ある。近年は美術家としてサウンドインスタレーションも発表しており、年に一回個展を行っている。20169月、「月刊コータプロジェクト」始動。2019年、2枚目のCDアルバム『Foot Scape』をリリースした。

Writer/Edit = 太田 和美

美術家・パフォーマー・ライター

仙台市出身在住、栃木県育ち。東京造形大学 造形学部デザイン学科 室内建築専攻卒。

大学在学中より、作家活動を始める。現在は、自身の造形作品「HOYAPAI」を被り、様々な愛の形を造形・舞踏・映像に組み込んだインスタレーションを展開する。「HOYAPAI」は女性性と豊穣の象徴である「乳房」と海の幸「ホヤ」からインスピレーションを得た。現在も作品を通して、現代社会と共存するアートの在り方を追求し続けている。

撮影協力 = 木村 創、千田 優太、シマワキ ユウ、Cece

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