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ライターバトン -4- 「師匠は髪様」

仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。

師匠は髪様

子供の頃から雑誌が好きで、とにかくなんでもいいから(笑)雑誌を作る仕事がしたかった私。編集者時代、そしてライターとして独立した今も、時代の流行とともにいろんなジャンルのお仕事をさせてもらっていますが、最初に担当したのはヘア雑誌。そこから11年、私の編集・ライター人生は常に美容師さんとともにありました。今日は、そんな自分を育ててくれた大好きな“髪様”たちについてお話します。

髪が生きているみたい!

その手に触れるだけで、まるで息を吹き込まれたかのように、ふわっと動き出す髪。モデルがさっきまでとは別人級に輝き出す。“カリスマ美容師”と言われる人たちのお仕事を初めて見たときの感動は、今でも忘れられません。そして、美容師さんの手からは何かが出ている!と、今でも本気で思っています。ゴッドハンドは実在するのだ。

ヘア編集者としての審美眼

私はラッキーでした。業界トップクラスの美容師さんたちと一緒にお仕事をさせてもらえたから。何かを極めるためには、いいものを見る、本物に触れることは本当に大切! 美容の知識はぜんぜんなかったけれど、クオリティの高いヘアスタイルを年間で何千スタイルも撮影していたら、自然とヘアの善し悪しがわかるように。「ヘアがわかる編集さん」と美容師さんたちから信頼していただけるまでになりました。

㎜単位でこだわる職人

たった数ミリで変わるヘアスタイル。そこに全神経を費やし、似合わせ、女性像、トレンドのバランスをとりながら緻密にカットしていく姿は、まさに職人。撮影時は1本の毛束のために何度も手を入れ、直します。細かいですが、そんなこだわりが私は好きなんです。推敲を重ね、1文字1文字にこだわるライティングの仕事と似ているような気もして。

指先から心が伝わる

上手な美容師さんほど、モデルやお客様の髪をとても丁寧にやさしく扱います。意外と荒っぽい美容師さんも多いんですよ。でも、そういう人が作るヘアはキレイに見えない。「指先から心が伝わる」「作るものに性格が出る」と美容師の大先生たちは言います。これは、どんなプロの仕事にも共通して言えること。私もいつも胸に刻んでいるお言葉です。

人生を変えるヘアカット

誌面でよくあるバッサリカット企画。あるとき、アイドルの女の子の誌上カットをディレクションしました。自分を変えたい、アイドルとして成功したいという彼女の決心を聞いたうえで、適任だと思う美容師さんにお願いし、カットしてもらったのです。イメチェンは大成功し、数々のネットニュースに取り上げられるほど話題に。彼女の勢いも加速。なんとその年の紅白に出演するまでに! 女性が一歩踏み出したときのエネルギーの強さ、そして、なりたいイメージをヘアデザインで叶える美容師さんのマジック。私がずっと伝えたかったメッセージが、誌面を飛び出した瞬間でした。

震災のとき、全国の美容師さんたちが被災地へ向かい、カットやシャンプーで被災者を笑顔にしたのを知っていますか? また、被災した友人たちは、行きつけの美容室が営業を再開したときがうれしかった、と言っていました。やっぱり、私たちの髪様! これからも美容の力を信じ、大好きな美容師さんたちとともに、女性の人生を支える・変える“髪”について、紙やWEB上で発信していきたいなぁと思っています。

次回

NEXTライターは「師匠は髪様」の「ま」から始まるテーマで、鈴木紘子さんが登場。
鈴木さんの原稿を読むと、その場所に行った気分になれる、その人に会いたくなります。妄想をグイグイかき立てる文章力にリスペクト♡

池田 直美

日本ジャーナリスト専門学校卒業。東京都内の編集プロダクション、出版社勤務を経て、現在は地元・仙台を拠点にフリーライターとして活動。美容、エンタメ、タウン系などミーハーに幅広く担当。

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