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ライターバトン -9- 「時をかけるオシゴト」

仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。

時をかけるオシゴト

コピーライターって、どんなオシゴトでしょうか。ひとことで表すなら「広告の言葉づくり担当」。日本語ができる人なら誰でもできそうですが、やはりそこは専門職。編集者でも小説家でもコラムニストでもなく、特有の視点や発想が必要とされる部分があります。あくまでも私の場合ですが、コピーライターの現実、仕事の特徴、職業病的な部分を一部ご紹介します。

◎時間をかける ~ 思いつきでは書けない!

キャッチコピーというと、ひと昔前は「ひらめきで書いている」と思う方が多かったようです。個人的な見解ですが、そんなことはありません。才能というより努力の賜物、きちんと認知され効果を出せるコピーには理由があります。書くコツはみんな企業秘密かと()。私も締切は守りますが、どちらかというと“時間をかける”タイプ。全体を見て媒体効果も含めて書き分けたり、時には1000本ノック的に書いたりもします。

◎時代を描ける ~ “今を生きる”のも仕事!

企業広告や商品広告を担当させていただくことが多いのですが、今どんなものが求められているか、時代の空気的な感覚も意識しながら言葉を選んでいきます。その時々の“時代を描ける”点も、広告ならではの魅力。同じ時代を生きる一人として、「普通」に生活を楽しむようにしています。泣いたり笑ったり、興味をそそられたことに近づいてみたり、ぼーっとしたりなども、自分の栄養=“発想の源”になるように思います。

◎時空を駆ける ~ 日常的にタイムリープ?

広告制作中、私の手元にあるのは、少しだけ先の未来。この広告が出る頃はどんな世の中になっているかな、と脳内で”時空を駆ける”ことがあります。できればリアルに想定したいため、案件とは関係のない分野や街の変化などについても先々の情報を収集するクセがついてしまい…日常生活で時間軸が混乱することも。「この道路まだできてなかったっけ」「もうまた未来のハナシしてるし」みたいな会話が時折あります。

◎AIが発展してもなくならないってホント?

“柔軟に考える“のが仕事でもあるコピーライター、あるデータで「AIが発展してもなくならない職業」に入っていました。仕事内容として、新聞広告や雑誌広告、ポスター、TVやラジオのCM、パンフレット、ネーミングの他、近年ではウェブ広告、ムービーのシナリオ等のご依頼も増えています。コピーライターが入れば、パワーアップしそうな分野も。カタチは変わっても、きっと「伝わる言葉」は必要不可欠だと感じます。

◎コピーライターに向いていそうな人って?

コピーライター向きの要素、思い当たるところをあげてみます。◇新しいもの好き ◇歴史好き ◇空想好き ◇ややオタク ◇やや几帳面 ◇凝り性 ◇心配性 ◇思い立ったら動ける ◇わからないことを聞ける ◇最後までやりきる …この中のひとつでも当てはまるなら、職業の選択肢にぜひ。10代の頃の「コピーライターになりたい」という夢が叶い続けられているのは周りの皆様のおかげ、心から感謝しています。

次回

次回は「時をかけるオシゴト」の「と」から始まるテーマで、「メロウイエローの岡 美和さん」が登場します。仙台と東京でコピーライターとしてご活躍、東日本大震災後に地域復興の様々な活動に取り組んでいらしたことや多彩な趣味など、思わずリスペクトしてしまう横顔をいっぱい持っている石巻出身の岡さん。お楽しみに!

-8-「論よりコンセプト」 -9-「時をかけるオシゴト」-10-「特別な広告」

森 由紀

オフィス ウェイクアップ コピーライター。青森県八戸市出身。仙台初のコピーライター事務所に所属後、独立。広告コピー制作、取材、ライティング業務に携わっています。趣味は「パン作り」。一次発酵のポヨポヨ感と焼きあがりの香りが好き。

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