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analogpress アナログ製版・印刷製本における展開(*プロジェクト名は『仙台から発信するインディペンデント出版』より変更)【有限会社菊信紙工所】成果報告会レポート

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3歩進んでは2歩戻りながらも辿り着いたプロジェクトのテーマは「アナログ製版・印刷製本における展開」。シルクスクリーンやエッチングという過去に基本的な考え方が確立された版画技法やそれによって生み出されるプリントは、analogの介入によって新しい領地を獲得できるか?という挑戦だった。誰もが’当然’で’出し尽くされた’と受け止めていることに対して、本業が印刷製本業であるからこそ、疑い・調べずにはいられなかった、ということだと思う。

興味深かったことは、シルクスクリーン技法は誰もが知っている事柄ゆえ、作家であれデザイナーであれ、工程を逆算して「それ用のデータ」を作ってしまう。しかし、今回のように「それ用」でないものの場合、作家と刷り師(職人)としてのanalogが対話を通してお互いのイメージをぶつけ合いながら、作品を一度分解し、再構成していく必要に迫られることだ。

このコミュニケーションはそっくりそのまま製版作業に写し取られ、作品づくりへと繋がるわけだが、結果としてanalogが職人としての領域をはみ出し、作家も自身が当初思い描いていなかった表現へと辿り着いた。

今回の作品づくりはバンコクの版画スタジオPPPとの共同企画の一部を担うものであり、彼らとの緊密なやりとりを通してanalogは新たな視点や版画に対する純粋な熱意・熱量を得たように感じられた。本来ならここから初期のテーマである「版画の市場調査」に展開していくべきなのだろうが、昨今の社会的状況もあり次年度以降の宿題となった。

職人として版画の新しい可能性を突き詰める、プリントスタジオとしてインディペンデント出版をする、ワークショップなどを通して仙台の版画レベルを上げる、さまざまなテーマを考えてきたが、そのどれを軸足にするにしても市場調査は有効なように思える。

analog菊地氏自身がそうであったように、’当然’を排し、ディテールを詰めた調査を行うことで、何もなさそうなところに意外なヒントが隠れているかもしれないからだ。それは技術の向上にも関わるし、市民みなの財産になるかもしれない。

本プロジェクトを通して、analogなりの武器を得、エネルギーも充填されたように思う。次年度以降も精力的な活動を期待したい。

開催日:2021年3月18日(木)
執筆者:松井健太郎(伴走支援者/株式会社BLMU)

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