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小さく生まれた赤ちゃんに届け!低出生体重児ギフトプロジェクト【一般社団法人くるむ】第3回進捗報告レポ

本プロジェクトで開発する肌着の手作りキットが解決すべき課題は大きく二つあります。ひとつは素材や形状とサイズ展開、もう一つは母子間の愛着形成に寄与するかという点です。

これまでのブレストやヒアリングを経て、改めて競合他社のリサーチを行ったという協働クリエイターの大江さん。他社商品との差別化や、そもそもの課題解決へと繋がるコンセプトを検討されるなかで、新生児集中治療室(NICU)などで働く医療従事者向けに発行されている『長野県立こども病院方式 超低出生体重児の管理マニュアル』(メジカルビュー社、2019)を読み進めたといいます。

赤ちゃんの肌着といえば、ガーゼが多用されることが当たり前と思われがちですが、肌組織が未熟な状態で生まれてくることもあり、シーツの摩擦さえ配慮が必要とのこと。そのため、急性期ではボア素材のような柔らかな質感のマットが使用されたり、吸水性が高くない素材の方がよい場合もあるのだとか。

低出生児体重児に関する商品を検討するとなると、こういったデリケートな部分が非常に多く、当事者や医療の現場に携わる方でなければ想像さえできないことが多くあることを改めて実感するとともに、今回のキットで果たしてどこまで対応できるのかを考えると、超えなければならない山がまだまだあるのだと感じました。

一方、「愛着形成」だけを考えると、肌着でなくとも、たとえば既製品に刺繍をすることでも、愛着形成に繋がるのではないかという問いかけが大江さんからあり、佐藤さんからは、近年の低出生体重児のケアに関する考え方として、「ファミリーセンタードケア」の重要性が増しているというお話がありました。これは、医師や専門家による医療的ケアだけを優先せず、赤ちゃんの治療やケア方針の意思決定に、家族が積極的に関与したり、付き添いや日常的な世話にも関わるという、海外ではじまった新生児医療のプログラムだそうです。

機能性だけを追求する商品はすでに存在するなかで、「愛着形成」に比重を置いて考えた結果、やはり “わぁ、かわいらしい!” “写真が撮りたい!”といった気持ちを誘発する、くるむ社らしい一着が生まれることをゴールとするという方針を変えずに進めることが再確認されました。

So-So-LAB.長内

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